ウォーキング教室
平成15年4月25日から3日間、飯田やまびこマーチの開催にあわせて実施された
「公認ウォーキング指導者研修会」に参加した。この研修内容の概要を中心に、
私自身のことを付け加えてまとめてみた。皆さん方の参考になれば幸甚です。
(参考にしたテキストは主に(社)日本ウォーキング協会発行
「初心者のためのウォーキング教室」である)
1.ウォーキングの効用 現代人の運動不足が言われて久しい。その結果、生活習慣病(心臓病、 動脈硬化、高血圧症、糖尿病、肥満、腰痛など)などが問題になっている。 ウォーキングは身体にやさしい有酸素運動であり、運動不足の現代人に 全くふさわしい運動である。 ア)予防効果 生活習慣病、骨粗骨症、老化等の防止になる。 イ)治療効果 病気だから運動しないと言っていては体力はますます衰える。 高血圧、心臓病、糖尿病などは医者から歩くことを進められることが多い。 (始めるには医者と相談、高温・多湿・寒冷はさける) ウ)健康の維持・増進(美肌・美形) |
2.快適な歩き方・効果のある歩き方 ア)身体のくせを知り、良い姿勢を得る。 二人ペアになって体のゆがみをチェックする。 両手の指を組んで裏返し、頭の上に伸ばし体全体を引き上げ、体をその ままに手を下ろし、その姿勢を保つ。 イ)膝を伸ばして歩き、かかとから着地する。 膝を伸ばすことと腹を引くことを意識し、少し歩幅を広くとればかかとから 着地する。 ウ)かかとからつま先へ、足の裏を転がすように重心を移す。 最初はゆっくり重心を移動させ、足裏の感触をつかむ。 エ)つま先にしっかり重心を残す。 重心を残して踏み込むと、その反発力で、腰が前方へ押し出され、歩幅も 広がり、背筋が伸びて美しい姿勢になる。 オ)足の運びは左右それぞれの直線上を歩む。 かかとは握りこぶしひとつ、つま先は二つくらい開いてまっすぐに歩く。 カ)10〜15m先を見る。 目の位置と同じ高さのものを目標にする。 キ)ひじを軽く曲げ、腕をコンパクトに元気よく振る。 こうして歩くと速く歩ける(エクササイズウォーキング)。 ク)ややきついと感じる速さで歩く。 速度:時速 4.2km以上 心拍数:毎分 (220−年令)*(0.60〜0.75)内 (60才で96〜120) ケ)1日30分以上、週3回以上。 細切れでも効果はあるが、できれば1回30分以上、2日続けて休まない。 |
3.ストレッチング 準備運動、疲労回復、整理運動などとして、体の筋肉や腱を伸ばす運動。 運動前には伸張や弛緩をゆっくり繰り返す「動的ストレッチ」を、運動後は伸ばした 状態で10〜20秒静止する「静的ストレッチ」が有効である。呼吸をしながら(伸ば す時ゆっくり息を吐く)反動をつけずに行い、気持ちの良いところで止めることが 重要。 ア)ウォームアップストレッチング ウォーキングを始める前に準備運動として行うもの。体の柔軟性を高め、怪我や 故障を防ぐのが目的。 足踏み→背伸び→体側伸ばし→上体回し→前後伸ばし→足の振り出し→ 足の甲伸ばし→アキレス腱・股関節伸ばし→膝抱え→首曲げ・首回し→肩回し イ)シグナルストレッチング 疲れたなと感じたときに、信号待ちや列詰めなどの短い時間を利用して行う。 こまめに行って疲れを取ることが大切。 膝足首曲げ(体をまっすぐ保って膝と足首を曲げる)→膝押し→背筋伸ばし ウ)5分間ストレッチング トイレ休憩など5〜10分の休憩時間を利用したストレッチング。片足を腰の高さ くらいの台に乗せて行う。 足裏・アキレス腱・ふくらはぎ・膝裏伸ばし→足の甲・すねを押す→足首の回転 →アキレス腱ストレッチ エ)クールダウンストレッチング 明日への疲れを残さないための整理運動として行う。芝生などに腰を下ろし、 靴を脱いで行うのが望ましい。 つま先から甲・足首・アキレス腱と大腿部まで、順次上部へ曲げたり揉んだり マッサージする→体の前で両足の裏をあわせ、できるだけ引き寄せて体を前に 倒す→正座する→両足を尻からはずし座り込む→立って、両足を交差させ 上半身を前屈する→そのまま膝に手を置いて顔を上げる→大きく深呼吸 |
4.持ち物 上着・・・脱いだり着たりこまめに体温調整。ウインドブレーカーもあると良い。 下着・・・吸汗性・通気性のいいもの。 手袋・・・吸汗性の良いもの、冷え・むくみを防ぐ。 靴下・・・厚手・混紡、五本指のものがよい。予備を持って汗をかいたら替える。 スラックス・・・はきやすく動きやすいもの。ジーンズは濡れると重く不可。 帽子・・・つばの大きいもの、飛ばされないように留め具をつける。 雨具・・・ポンチョ、レインウエア。傘は危険であるのでできるだけ使わない。 ウエストバック・・・両手を自由にする。 靴・・・・つま先に1cmの余裕、指が動く程度の幅、かかとをきっちり保護。 タオル・・汗拭き、時には保温。 水筒・・・水分補給は重要、必ず用意。ペットボトルでも良い。 マイカップ・・・大会では湯茶のサービスもあり必需品。 歩数計・・運動量や目標のチェック。落ちしやすいので紐等でとめる。 手帳・・・見たこと聞いたことの記録、各種の覚え。 カメラ・・記念写真、覚え。 その他・・絆創膏等救急具、ティッシュペーパー、ゴミ袋等 |
「持ち物」の私の工夫 ア)上着・・・ポケットの沢山ついた網目状のベストを着用。手帳、カメラ、財布、 小銭入れ、ティッシュペーパー、飴、ペットボトル(暑いとき)等を常時 入れている。非常に便利。 イ)手袋・・・手袋の右手親指と人差し指の第1関節あたりに鋏みを入れ、指が 随時出せるようにしている。寒いときは手袋を取らなくても字を書い たり、細かな作業ができる。 ウ)帽子・・・私は異常な暑がり屋で、帽子は苦手である。暑くない時期はヘア バンドをして汗が流れないようにしている。暑くなると、頭に直接接し ない菅笠形式の帽子を着用する。共に私のトレードマークになって いる。 エ)タオル・・・汗かきであるので常時首に巻いている。ただし、一般のタオル では短いので、スポーツタオルの短辺を半分に切ったものを使用 している。首の日焼け防止にも役立つ。 オ)歩数計・・・ウォーキング時は2個腰ベルトにつけている。一つは普通の 万歩計(歩数、距離、消費カロリーを表示)、もう一つは加算距離 歩行計(設定日からの累計距離とその日の距離を表示)。 |
5.楽しく続けるために ア)目的を持ってウォーキングをする。 公園巡り、寺社巡り、史跡巡りなど目標を持って歩く。 イ)趣味を生かしたウォーキング。 スケッチ、写真撮影、草花観察、俳句・川柳など趣味を兼ねる。 ウ)歩く仲間を持つ。 友人を誘い合って歩く、ウォーキングの会に入会する。 エ)いろいろな大会に参加する。 鉄道会社などの催し、市町村の大会等に参加する。 オ)記録を取る。 ウォーキング日誌などをつけ、目標を持ち、成果を楽しむ。 カ)無理をしないウォーク。 怪我をしないように、疲れは早く取り除く。 |
「楽しく続けるため」の私の工夫 現在私は4つのウォーキングの会に所属している。おかげで沢山の歩友が でき、ウォーキングにでかける機会にも事欠かない。そして、テーマを持った 観察に心がけている。路上観察、狛犬、神の使い、留蓋、欄干のデザインと 観察物が広がっている。このことはこのホームページの他のページをを見て いただくとご理解いただけると思う。また、ホームページの作成が大きな 楽しみになっているので、そのことを念頭に置いた写真撮影、観察、記録に 心がけている。こうしてウォーキングの魅力を 「歴史を訪ね、自然に触れ、友と語らう」 と私は表現する。健康はそれに伴う副産物である。 ウォーキングに夢中の人を我々の中では「アル中」という。「歩き中毒」の 略である。私は軽度のアル中である。 |
6.事故なく歩くために ・体調が悪いときは無理をしない・・・熱、下痢、動悸、寝不足 ・歩いていて体調の不調を感じたら即中止する。 (夏季の注意) ・炎天下のウォークキングは極力さける。 ・こまめに水分補給をする。また、のどが渇く前に補給する。 ・蒸し暑いときは特によく汗を拭き取る。(汗で体中に熱がこもる) ・汗に濡れた服は早く取り替える。 (冬季の注意) ・暖かい服装で身支度をして、暖かくなったら、服を脱いで温度 調節する。脱いだ服は手に持たないで、ザックに入れる。 ・汗をかいたら冷える前に着替える。 (夜間の注意) ・車からわかるように白っぽい服を着る。 ・反射テープのある靴や反射テープを腕に巻く。 ・安全な道を選ぶ。 ・一人では歩かない。 |
7.困ったときの対応 ア)手のむくみ・・・長時間手を振り、下げていると「むくみ」を生じる。予防は手袋を はめる、手に地図やペンを持つ。なってしまったら、軽く肘を曲げ、軽く握った こぶしを心臓の高さまで上げて振る。手を頭上に上げて開閉する。 イ)足のまめ・・・予防はできやすい所をテーピングする。休憩時に靴を脱ぎ、靴の 熱や汗を取り除く、と共に足を乾かす。できてしまったら、消毒した裁縫針で まめを刺し水を抜き、きれいにして絆創膏を貼る。ガムテープはずれやすく、 返ってできやすい。 ウ)捻挫・・・・起こしたら歩かない。20〜30分患部を冷やす。伸縮包帯で圧迫する。 心臓より高くあげる。 エ)熱中症・・・・予防はこまめに(20〜30分)水分補給をする。なってしまったら、 風通しのよい、涼しい場所に移動して衣服をゆるめる。そして、全身に少し ずつ水をかけ、体を冷やす。皮膚のマッサージをする。救急車を呼ぶ。 オ)足の疲れ・・・状況に応じたストレッチングをする。特にクールダウンストレッチン グは大切で、靴を脱ぎ、腰を下ろしてマッサージすれば効果的。 |
(特別枠講座) ウォーキングでもっとも気をつけたいのが 「熱中症」ですので、特別枠講座を設けます。 熱 中 症 予 防 8 ヶ 条 第1条 知って防ごう熱中症 熱中症とは、熱い環境で生じる障害の総称で、主に次の4つをいう。 1)熱失神・・・皮膚血管の拡張による血圧低下。めまい。失神など。 2)熱疲労・・・脱水による症状。脱力感、めまい、頭痛、吐き気など。 3)熱けいれん・・・血液濃度の低下。筋肉の痛みを伴ったけいれん。 4)熱射病・・・体温上昇による中枢機能の異常。意識障害。 第2条 暑いとき、無理な運動は事故のもと 暑いところで無理な運動は効果が上がらないし、事故のもと。 第3条 急な暑さは要注意 夏の始めや合宿初日など、身体が暑さに馴化していない時期は要注意。 第4条 失った水と塩分を取り戻そう 暑いときはウォーク前に、そしてウォーク中はこまめに水分を補給する。 失った塩分を補給するために、0.2%程度の食塩水がよい。0.2%とは 市販の飲料でナトリウム量が100mlあたり80mgがめやす。 第5条 体重で知ろう健康と汗の量 運動による体重減少が2%を越えないように水分補給をすると、運動能力 や体温調節機能の低下が防げる。運動前後に体重を量ってみる。 第6条 薄着ルックでさわやかに 暑いときは軽装にし、素材も吸湿性や通気性の良いものを着用する。直射 日光は避ける。休憩中に衣服をゆるめる。 第7条 体調不良は事故のもと 体調が悪いと体温調節能力も低下するので、そんな時は無理をしない。 第8条 あわてるな、されど急ごう救急処置 熱失神・熱疲労・・・涼しい場所に移し、衣服をゆるめて寝かせ、水分を補給 する。足を高くし、手足を末梢から中心部に向けてマッサージする。 熱けいれん・・・生理食塩水(0.9%)を補給する。 熱射病・・・全身に水をかけたり、濡れタオルを当ててあおぐ。水がないとき は、飲料水を口に含み、患者の全身に霧状にして吹きかける。 熱射病は死の危険が差し迫った救急疾患であることをよく認識すること。 (出典:(財)日本体育協会発行「熱中症予防ガイドブック」) (第4条追加) 1)1回に飲む水の量は200cc以下とする。 (一度に大量に飲むと吸収が悪く、胃にもたれる) 2)コーヒー、アルコール類は脱水作用があり、厳に慎む。 (ビールは尿として出てしまい、水分補給にならない) 3)スポーツドリンクは各種栄養素が含まれていて有用であるが、高張液 (浸透圧が高い)のものもあり、適度に薄めた方が無難である。 |
8.ウォーキングマナー 日本ウォーキング協会では「ウォーキングマナー五カ条」として次の 5項目を掲げている。 やぁ!おはよう 明るい挨拶 さわやかに 信号で、あわてず あせらず 待つ余裕 ひろがるな、参加者だけの道じゃない 自分のゴミ、自分の責任もち帰り 歩かせて、いただく土地に感謝して このことを始めウォーキングマナーについて、感じていることを随想的に 書いていますので下記をクリックしてご覧ください。 ウォークマナー ウォーキング大会を主催者側から見た目で書きました。参加者に気を つけてもらいたいことも書いています。 ウォーク大会舞台裏 |
9.国際ウォーキング宣言 日本で開催された第1回世界ウォーキングフェスティバルに参加した 私たちは、次のような意見の一致を見た。 ウォーキングは 1、人間にとってもっとも基本的な運動である。 2、健常者、障害者の区別なく、誰でも参加できるスポーツである。 3、心と体によいスポーツである。 4、国内や国際レベルで人々が交流し、相互理解を深めるスポーツである。 5、自然と調和し、資源は限られたものであり、環境は守られるべきであるという 理解を深めるスポーツである。 そして、私たちは、次のように宣言する。 1、ウォーキングは日常的に行う運動として推進されるべきである。 2、更に大切なことは、個人や地域レベルだけでなく、全国的、国際的なレベル でのウォーキングとウォーキング大会を展開することである。 3、現代技術文明にますます依存する今日の生活習慣の中で、ウォーキングは、 21世紀をリードする最も重要なライフスタイルとして推奨すべきである。 1997年11月5日 日本・富士山麓にて |
10.その他なんでも Q&A ア)「1日1万歩」といわれる根拠は? 日本人は平均1日300kcalの栄養をとりすぎているといわれ、そのカロリーを 消費する運動量。 イ)これから歩き始める人はどれだけ歩けばよいか? 今までよりも1000歩多く歩く。 ウ)長距離を歩き通すコツは? あせって速く歩きすぎないこと。適度に休憩を入れる。 エ)ウォーキングに適した時間帯は? 歩きたいときが適した時間帯。ただし、暑いとき、寒いとき、早朝、夜間、空腹 時等は控えめにするなど適した対処をすること。 オ)有酸素運動とは? 肺から取り込んだ酸素の供給だけで、エネルギーを作ることができる程度の 運動。脂肪の燃焼には有酸素運動が有効。それ以上の運動になると無酸素 でエネルギーを作ることになり、心臓等の負担が大きく、老廃物質(乳酸)が 体内に蓄積する。 カ)浸透圧とは? 「水分を引き付ける力」のことで、浸透圧の高い飲料水を飲むと、細胞の中の 水分が外に出て行き、熱中症が悪化する事がある。人間の血液の浸透圧は285 ±10mOsmなので、これよりやや低目の浸透圧の飲料水が適している。コーラ類 や缶コーヒー、ビールなどは浸透圧が非常に高いので、汗をかいた時には避ける べきである。 |
11.私の所属している団体
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「ウォーキング指導者研修」の模様と「指導員としての抱負」に
ついてもまとめましたので、下記をクリックしてご覧下さい。
ウォーク指導者研修
愛知県ウォーキング協会会員10年になるのを機会に
「ウォーク10年を振り返る」と題してまとめてみました。
ウォーク10年
(平成15年5月4日初稿掲載)
(平成16年3月7日最終稿掲載)