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ウォークマナー


 余暇が増え、ウォーキングの効果が語られ、各種催しが盛んに開催されて、ウォーキング人口は増加の一途である。比較的早くからウォーク愛好家の仲間入りした私には嬉しいことである。私の所属する愛知県ウォーキング協会の会員は400人前後で長年推移しているが、その傘下は長いこと3支部であったが、ここ数年で9支部に増えた。30人程度の会から200人以上の会まであり、総数で何人になるか知らない。鉄道会社などは春秋のシーズンになると毎週のようにウォーキング大会を催し、毎回何千人規模の大会になるようである。
 そこで問題になってくるのがウォークマナーである。少人数では問題にならないことも、大人数だと問題になることが結構多い。今年から愛知県ウォーキング協会と一宮歩こう会の役員になったことから、マナーがより気になりだした。こうした会の行う団体歩行のウォークマナーについて、感じていることを少し書いてみたい。歩くマナーなどというものは言うのもはばかられるほど、易しく当たり前のことである。しかしなかなか守られないのである。

 日本ウォーキング協会では「ウォーキングマナー五ヶ条」として、次のことを掲げている。
1)やぁ!お早う 明るいあいさつさわやかに
 何事も挨拶からであり、明るい挨拶をかわして、今日も楽しいウォーキングをしようというわけである。私には他の集まりに比べれば元気な挨拶が多い気がする。元気な人が集まってくるのだから当然のことであろうか。
2)信号であわてずあせらず待つ余裕
 役員になる前は、信号機のある交差点で交通整理は不要だろうと思っていたが、そうではなかった。「赤信号みんなで渡れば恐くない」という言葉があるが、大勢なのでつい横暴になったり、無理な横断をしてしまう。話しに夢中になって、ただ前の人について歩いているだけで信号機に気をつけない人がいたり、知人と離れるのがいやで無理に渡る人がいたりする。こういうところほど交通整理者が少し早めに横断者を切ることが必要である。いつまでも横断者が続くので右左折車がなかなか曲がれないことがある。人家に出入りする車が歩行者の列で長く待たされる場合もある。こういうときには一旦人を止めて車を先に通すことも必要である。団体歩行に歩行者優先は必ずしも適切ではない。
3)ひろがるな 参加者だけの道ではない
 団体歩行の場合、最も気をつけたいことである。交通の激しくない道路では本当にすぐ横に広がってしまう。自転車や車が来ると大声でそのことを告げて道を空けてもらわねばならない。地域にとっては全く迷惑な歩行者である。
 私が先頭を引く場合は早めに歩くことにしている。ついて来れない人はどんどん遅れていく。そして、横に広がるより縦長になる。私はこれが良いと思っているが、遅い人にとっては非常に不満になる。しかし、遅ければ早い人から不満が起き、全員に満足がいかないなら、広がらないだけ早いほうが良いのである。先頭を歩くとこのスピードのかねあいが難しく、結構気を使う。
 いずれにしろ横に広がるほど迷惑なことはない、本当に気をつけたいことである。
4)自分のゴミ 自分の責任 持ち帰ろう
 屑籠があればそこに入れればいいと思われるかも知れないが、これも避けたい。一人、二人なら問題はないが団体であったらすぐに溢れてしまう。特に普段あまり人の来ない公園や神社では、片づける日も限られている。少しでも迷惑をかけないようにゴミは持ち帰るべきである。
5)歩かせていただく 土地に感謝して
 本当に団体歩行は通られる地域にとって迷惑なことである。交通上のことばかりではなく、話し声がうるさかったり、通りかかると犬がよく吠えたりする。その土地を歩かせていただく気持ちで訪れることが肝要であろう。

 
そしてこの五ヶ条は愛知県ウォーキング協会の例会のコース図にいつも記入し、喚起を促している。私は鎌倉ウォークでいただいたこの五ヶ条を印刷したペナントをリュックサックにつけて、後の人の注意を引くようにしているが、効果は出ているのだろうか。
 この五ヶ条ができる前の日本ウォーキング協会のスローガンは
    「帰るときはきたときより美しく
       写真以外は取るべからず
         足跡以外は残すべからず」

 であったと思う。このスローガンもよく分かり心したいことである。写真はいくら撮ってもいいが、草花などを取ってはいけないのは当然である。先ほどのゴミの持ち帰りも含め、団体歩行ではこれらのマナー違反を起こす人をほとんど見かけないのはさすがである。まわりの人の目があって、できる状況でないからであろうか。
 たばこを吸っている人を見るとオヤッと思うくらいであるから、ウォーカーで喫煙者は少ないと思う。だからたばこのポイ捨ても見かけることはまずない。

 そして、休憩場所で気をつけねばならないことは、他の人がいたらその人達に配慮しなければいけないことである。大きな団体は場所を占拠し、わがもの顔に振る舞い、又、そのように取られやすい。
 以前日本ウォーキング協会の機関紙上で鈴論争があった。リュックに鈴をつけて歩くことの是非である。私は団体歩行の時はつけるべきでないと思っている。つけている人は背中で快いくらいの響きであろうが、後の人が目の前でなるのを常時聞かされるのはかなり苦痛である。問題にしない人も多いかも知れないが、苦痛になる人がいるのは事実だから止めるようにしたい。
 ラジオをイヤホンで聞きながら歩く人がいるが、その日特別にどうしても聞きたいということであれば、それまで止める気はないが、折角のウォークである。騒音もその地域の音と聞き入れ、また人との会話を楽しみたいものだ。交通安全上からも好ましいことではない。
 歩くのが遅い方は出発の時、できるだけ先頭近くを歩かれることを勧める。だんだん遅れていかれてもそれほど遅れることはない。遅いからと遠慮されて最初から後の方におられると、どんどん先頭と開いて、次の休憩時間が予定より長くなったり、アンカー担当の役員に迷惑をかけることになる。これはマナーと言うよりひとつの知恵であろう。


 一宮歩こう会は、発足してまだ3年ばかりで基盤も弱く、会員も120人程度の小さい団体であるが、全国的な大会を三つも開催するという他に類をみないことをしている。その世話をしながら状況を見ていると、こういう大会に参加慣れし、サービスを受けることが当たり前になったウォーカーの横暴、傲慢さに戸惑ってしまう。500円から2000円位の参加費をいただいているが、それだけでもって頭ごなしに叱りとばされてはかなわない。世話をしている人はボランティアであり、湯茶のサービスなども寄付によってまかなわれているのがほとんどである。ボランティアの喜びはただ一つ、参加者の喜びの声を聞くことである。ボランティアだから少々のまずさは許されると思っているわけではないが、苦情を言う場合も配慮をしながら言っていただけたらと思う。
 役員に推されていることを長く役員をやっている人に話したとき「10に9は苦情だということを覚悟していなさい」と言われた。こうした催しが、商売や仕事としてやっている催しと同列に扱われては苦情不満ばかりであろう。しかし、参加者はついその区別がつかなくなってしまう。自分が参加するときは十分にそのことに気をつけ、感謝の気持ちを言葉できちんと伝えるようにしなければと思う。こういうことも運営に携わってみてより分かったことであれば、役員になったことも感謝しなければならない。
 思いつくままに最近気になっているウォークマナーについて記してみた。つたない内容であるが、少しでも心していただければ幸いである。
                      (平成14年6月30日)

                   川柳&ウォーク