so009
     (せんりゅうつれづれそう)
第9号(14年9月)

 木槿(ムクゲ)の章

(科目)アオイ科    (花言葉)信念・繊細美 

 今月もたくさんの人から寄せていただきました。
このページではじめて川柳を始められた方も多いのですが、
皆さんかなり理解を深められたと思います。嬉しいことです。
そして、ひと月早く始められた方は、ひと月の長がある気がします。
今月から私が佳い(好き)と思う句に♪マークをつけます。
これからの作句の参考にしてください。

あれほど暑かった今年の夏も、すっかり秋に代わり、
秋の句が多くなりました。秋を十分に鑑賞してください。


「 晩 夏 」   綾太郎

 夏なごり蝉の抜け殻 髪かざり
        襟足に白さが戻り夏をぬぐ
 星の降る夜空に抱かれテント泊       
 ♪物語はじまる予感 星が降る
        友達の旅の土産は輝く目

  

  「残暑」      利佳

冷房を止めたさきから悔いている
冷房の風に猫が毛なびかせて
暑いわね野良の猫にも声をかけ
つかの間に涼をいただく薔薇の世話
♪灼熱の中に一粒秋見えて



    「老母を連れて旅」     モツ子

      ヒドイヒト 老母の寝言にギクッとする
      寝言にも八十路の母の恨み節
  はじめての車椅子にも慣れはじめ
    ♪観光地母押しながら名残花
       光苔車椅子からのぞく母

 
    

   
   ・冷房の風に猫が毛なびかせて(利佳)
        (元句)冷房の風に猫の毛なびいてる

    元句は作者が見た風景を詠んだ、単なる写生の句で
   ある。「猫が」と1字変えることによって、単なる写生が、
   猫の意志に代わる。川柳は人間(擬人化を含めて)を
   詠むことに少しの注意を払いたい。

   ・ はじめての車椅子にも慣れはじめ(モツ子)

    「はじめての」と「慣れはじめ」は至極当然、ほとんど
   物語をなさない。例えば「老いた足」とか「不満でも」とか
   何か一工夫欲しいところである。「明日に向け」とか
   「野には花」となると更に夢が膨らむ。



 「 秋 」      こゆる

隠しても日焼けした肌皆語り
靴底に埋まりし小石と膝栗毛
みそ汁が冷める早さで秋が来る
♪土鍋出す日も間近なりザクロの実
金木犀その香に思う去年の秋

      


 「蓮の花」    摩夢多呂....

ほらそこに咲いている蓮誰に似て........
写す機を見透かすように日が映える..
優しさを包む花弁の優しさよ.......
眼をつむり安らい求め花思う.........
♪蓮台に乗っても悟れぬ我があり....


        「小さい秋」    ヒロ・アキニレ 

肩先を小さな秋がふれてゆく
  カレンダーめくって秋を待ち望む
    ♪ 足元に露草見つけ人恋し
         秋色の小さきノートに愛記する
              もういいよススキの青さ秋よこい

                            

 
  「湖北・観音の里」    ヒロ・アキニレ

    観音の里と言われる滋賀県琵琶湖の北東にある、高月町、
   木之本町の辺りには、多くの観音寺がある。
   その中の一つ、向源寺の渡岸寺観音堂に詣でた。国宝十一
   面観世音菩薩の中でも、最高に美しいと言われている渡岸寺
   (どうがんじ)十一面観音様。天平八年、僧泰澄によって造られ
   た檜一木彫り。
    腰を少しひねり右足を前に出し、今まさに衆生の苦しみを救わ
   んとされるお姿との事。お顔、お姿、頭上の十一面と、均整のと
   れた美しさの中に、凛とした力強さが感じられ、おすがりしたくな
   るようなお方であった。
    十一面は正面の三つが菩薩面、左三つは憤怒の面、右三つ
   は狗牙(くげ)の面といわれ、像の裏にまわって見ると、そこに
   もう一面歯をむき出して笑う、大笑面があった。この笑いは何で
   あろうかと、私の心に一つの問いを残した。


     **********************

   ヒロ・アキニレさん、私の好きな湖北の観音様について、特に、
  渡岸寺の観音様について、その説明と感想を書いていただいて
  ありがとうございます。
   関連した随想を私も書いていますので、併せてご覧下さい。
          「湖北の物語」



「水たまり」 靖坊     

ここにある 染み込むことも拒否されて
澱みには流れ始める意志もなく
雨が止んでも避けて行く人ばかり
♪泥水に映る青空澄んでいる
窪みさえ許さぬ街のアスファルト



         「 秋 」      瑞希

        登山帽さらって逃げた秋の風
       ♪よどんでる川は我が身と思う秋
          五十代つるべ落としに日が暮れる
         役目終えカカシは土手で昼寝する
            朝顔はまだ元気よと屋根で咲き



「七十歳の喜怒哀楽・6」  
           みいちゃん

可愛いと言われ複雑七十歳
闊歩する赤い花柄スカートで
この次の約束をして握手する
パソコンの上達今一つです
初サラリーで買った時計がまだ動く



「 孫 」   酒仙    

あそぼうよ じいが手をひく孫が引く
♪あそぼうよ言いつつ孫は夢のなか
まだこない待つ身の辛さ知らされる
孫の手と合わせ喜ぶ歳になり
まだ早い 追い返されたじいの声


    「宮迫正明展を見て」    楽子

       悠々と目覚める朝の美術館
   日本画の中から鳥が花が呼ぶ
          「秋飾譜」 絵のタイトルにこそ魅かれ
   日本画に絲綢之路が描かれる
        ♪農夫撒く籾 永遠に舞い落ちる



「2歳だも〜ん」     桃華....

親指と人差し指出し2歳だも〜ん......
♪バースデイパパまで買ってくるケーキ......
おしっこうんちオマルですると喜ぶママ.......
鍵までもはずして外が好きなんだ.....
シートベルトしめるとすぐに眠くなり.......

             
             
            「 月が出た 」    英人

          月が出た 星は静かに消えている
          月が出た 青春の悔いまだ残る
          月が出た となりの庭が良く見える
          月が出た あざやかになる僕の影
          月が出た 行く手明るい君の道
          月が出た 妻にたくさん友が来る
          月が出た 男あらたな夢を抱く


    (感想文) 気ままに一言・・・ 
 
     ・五十代つるべ落としに日が暮れる(瑞希)    綾太郎  
        日も短くなり、朝、晩の寒さに肌が慣れるまでの季節は
        人恋しいものです。
        そして、こんな時期はこの句をより実感!
        五十代を迎え季節の巡りが早く感じます。
        この調子では六十代、七十代は・・・??

     ・秋色の小さきノートに愛記する(ヒロ・アキニレ)   英人   
        「秋色」ってどんな色? 「愛」ってどんな愛?
        20歳代には20歳代の、50歳代には50歳代の、男には男の、
        女には女の・・・・・人によって色も愛も変わる。
        でも、記せる愛があることは嬉しいことだ。
        夫?子供?孫? はてまた・・・作者の記す愛は誰に対して
        なのだろうか。

    ・ここにある 染み込むことも拒否されて(靖坊)   桃華
        題が「水たまり」だから「ここにある」のは水たまり。
        でも、私には靖坊に見えます。拒否されていると感じるのは
        靖坊だけではないのかな。みんな待っていますよ、あなたが
        思いきって染みこんでくることを・・・・



       「川柳連れ連れ草」への投稿
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。

  1)毎月15日までに川柳5句(程度)をメール(下記)で送付
    してください。
  2)テーマは自由ですが、タイトルと雅号をつけてください。
  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。
  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。

             川柳投稿

川柳&ウォーク