2012/06/01(Fri) (第1616話) ある日の出来事 |
寺さん |
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“小雨が降るある日の昼下がり。デパートから帰る途中のバスの中でのことでした。私の前の席に、若いお母さんと赤ちゃんが座っていました。幾つかのバス停を過ぎ、あるバス停に止まった時でした。一人の若い男性がすーっと立ち上がり、ベビーカーを持ちました。その後ろに若いお母さんが赤ちゃんを抱っこして続き、降車口に向かいました。てっきり夫婦だと思いましたが、いったんバスから降りたその若い男性が急いで車内に戻ってきて元の座わったのを見て私は《ああ、二人は夫婦ではなく、若い男性が女性の降車を手助けしようとしたのだな》と気付きました。 そして、次のバス停でその男性も私も降りましたが、降り際にバスの運転手さんが彼に「先ほどはありがとうございました。助かりました」と、お礼を言っていました。これもまた心温まる一こまで、再び、ほのぼのとした気持ちになりました。私もその若い男性の行動に心から拍手を送りたいと思いました。外の雨は、いつの間にか上がっていました。”(5月18日付け中日新聞)
浜松市の田中さん(男・78)の投稿文です。人に親切にすることは、できそうでなかなかできない行動である。特にこうした見ず知らずの人となればよりである。気がついたらすぐに行動に移さねばいけない。タイミングを外したらもうできない。常の心がけ、気配り、状況の把握などできないといけない。小さいことながらもう人格に関わることである。 この場合、若い男性と赤ちゃんを抱いたお母さんとの間にどのようなやりとり、意思疎通があったのだろうか。多分、目と目で、あうんの呼吸があったのであろう。そしてこの様子を運転手さんも、この投稿をされた田中さんも温かい目で見つめていたのだ。いい風景である。 一昨夜ナゴヤドームへ野球を見に行った帰り、電車内で席を譲られてしまった。ニコニコしてお礼を言って座りました。これはボクがひ弱い老人に見えたばかりでなく、妻が座れたのでその隣を譲ってくれたという、もう一つ別の配慮があったと思う。
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