zu069
びっくりどっきりの旅
・・・・腕輪紛失顛末記・・・・
今年の4月中旬、ある旅行会社の北九州方面2泊3日の旅に妻と参加した。名古屋から博多まで新幹線で行き、それからはバスで、まず長崎へ行く。長崎に着いてまず昼食である。この昼食時の自由時間を利用して、私のホームページの川柳連れ連れ草に参加していてくださる50代の女性に会う。もちろん初めて会うのである。1時間弱、妻と3人で長崎名物のトルコランチを食べながら歓談する。こんなことが実現できるのはそうあることではない。
彼女と別れ、長崎では今年のNHKの大河ドラマ「龍馬伝」ゆかりの史跡の見学である。まず亀山社中記念館に行く。ここで、妻とカメラを受け渡しした時、タイミングが合わず、畳の上に落下してしまった。レンズの筒が出たまま渡したので、その筒がずれてしまって動かなくなってしまった。まだ旅行は始まったばかりである。青ざめる。何とかならないか、いろいろ筒をいじってみるが少しも動かない。今度の旅行の写真は諦めざるをえないか・・・・。ところが1時間もいじっていたら、何の弾みか筒が動き、コトンと元に収まったのである。シャッターも切れる。助かった・・・精巧なものだけに、信じられない気持ちである。その後、長崎奉行所・龍馬伝館などを見学して雲仙に向かう。雲仙温泉では歌人吉井勇も泊まったというホテルに泊まる。
2日目は船で熊本に渡り、復元された本丸御殿でにぎわう熊本城に向かう。そして、阿蘇の草千里、湯布院と周り別府温泉で泊まる。3日目目は国東半島の真木大堂、富貴寺と参拝してから豊後高田に行く。豊後高田は古い町並みが残り、昭和の町として売り出している。この町を散策した後、門司に向かう。 そのバスの中で、妻が腕輪がないと騒ぎ出した。いくら探しても見つからない。2月下旬の旅行で買ったばかりのものである。やはり気にいっていたのであろう、青くなっていた。私は“腕輪なんて言うものは無くなるためにあるようなものだ”と言って冷静さを装っていた。 実はこの日の朝、私はホテルの脱衣場の籠の中で人の忘れた腕輪を見つけ、フロントに届けておいた方が良いだろうと判断して、届けておいた。人のものを届けていて、自分の妻が無くしていれば世話がない。内心は腹立たしいところであった。 妻はなくしそうなところをいろいろ考えて、途中下車時に添乗員さんに告げていた。そして、バス移動中に添乗員さんがやってきた。見つかったという。見つかった・・・そんなことがあるのか、嬉しくなるやら驚くやらである。
豊後高田の昼食を取った大衆食堂大寅屋という店で、後に来た人が見つけ、店の人に渡しておいてくれたという。どうも妻が上着を脱ぐときに一緒に抜けてしまったらしい。 門司について早速に大寅屋に連絡を入れた。間違いない、ホッとする。住所等を伝え郵送してもらうようにお願いする。 小倉から新幹線に乗って帰る。 数日後に腕輪は郵送されてきた。妻は早速にお礼の品を贈っていた。 この出来事にはいろいろな幸運が重なったと思う。妻の心当たりが当ったこと、店の名前を覚えていたこと、添乗員さんが連絡をつけられたこと、見つけて預けられていたこと、普通なかなかこうスムーズにはいかない。百に一つ、千に一つのたぐいではなかろうか。多くの親切にあずかったが、私は、私が見つけた腕輪をフロントに預けたことが最大の功労だとうそぶいている。まさに情けは人ためならずである。 今度の旅はびっくりどっきりいろいろあったが、うまく納まったものだと感慨ひとしおである。 (平成22年6月15日) |