川柳を味わおう

        ちたの風 第244号
         (平成12年7月号)

                  雑  詠 

昼食は窓の若葉と初かつを   ちづ          
付き合いに疲れて 今朝は動物園   風子       

           静と動 正反対の人と住み   白紅              働ける 食える なんという贅沢   靖一

愛なんていらないという紅の口  千津子
電灯の光にいまを映し出す   あきこ 

アジサイが咲いて電話をしたくなる   英人    
新ジャガの日替わりメニュー考える   八重子   

        ハガキが届く 午後一時のバイク音   愛
       お好みのアメリカン入れ君忍ぶ   典子

とりあえずストレス捨てに栄まで   幸智子
ほどほどの生活ですよとよく笑う   昌利
夕日の見える窓で未来を探索中 
 和尾


              沢 英人が鑑賞する今月の2句  

 あまりに当たり前です。そのまま
受け取ればつまらない句ですが・・・
ところが人間と置き換えてみれば・・
 人間は往々に自分を省みず、それ
ができると思っている。それが間違い
のもと、素晴らしい人生の警鐘の1句。
 ぼくたちは自分が金魚を飼って、金
魚を見ていると思っている。本当だろ
うか?ふと疑ってみる。
 見られているのはいつもおかしなこ
とをやっている方である。
 あきれて遊んでいるのは、実は金魚
の方であったと気づく。冷静な目で作
者は事実を見ている。
              


課 題 「金 魚」

夏だからやはり金魚を飼いましょう    民夫        
自己流の金魚を描き絵手紙に   ちづ            

          広い海を見たい金魚が金魚鉢   美保子
  
   金魚鉢には熱帯魚が泳ぎ   白紅

 ぼくもまた鉢の中から出られない   靖一
      
いさかいもあるがおおむね平和な金魚    千津子

  金魚よ テレビの番は止めにして    恵美子                
外に出て星を眺めたい金魚たち    あきこ               

天国にも地獄にもなる金魚鉢    英人

 目があった金魚するりと身を    八重子

              むかし金魚と話しができた娘    和子
                安売りの金魚を買ってもう五年    愛

赤い実を食べてしまったのか金魚    昌利
金魚とトマトと もひとつ赤い私の心    和尾

 
   (随想)    押し売りの気持ちに
            ある日なってみる 

                                  美保子

 
昨今不景気なのか、やたらと訪問販売が訪れます。そのたびに
鉄砲玉のような言葉を発しお引き取り願うのですが、敵? も手強
いのです。生活がかかっているので大変なのかも知れません。こち
らも必死ですから、時にはあとで苦い思いをすることがあります。
 断ると、あなたは不幸になると宣うのです。威嚇されたみたいでい
やな気持ちになります。でも本当はいけないことですが、
 『じゃあね、あなたは幸せですか?』って質問をします。
 すると、たいていは玄関の戸を思い切りピシャンと閉めてお帰り
になります。 いけないことと言ったのは、その人が見るからにみ
すぼらしい格好をしていたからです。
ですからこんな句が浮かん
でくるのです
。 皆様はいかが思われるでしょうか。
                             (かなり省略してあります)
      

         

      共 選 「雑 詠      

1席  携帯も暇です僕の日曜日  昌利

    2席
  ぎりぎりになるまでやらぬから転ぶ   八重子

3席  
雨の匂いに飽きて欠伸してる猫  和尾

4席
  友と会う友も同じく年重ね   恵美子

4席
  足音も少し明るい梅雨晴れ間   昌利

  

          (お知らせ)
        川柳みどり会主催の 『第9回センリュウトーク』
           平成12年10月28日
           朝日新聞名古屋本社15階朝日ホールで開かれます