川柳を味わおう
(平成12年4月号)
雑 詠
あの場所にいまも咲くだろ 黄水仙 ちづ
祭りの後に湧いてくる寂しさ 英人
友と会うスクランブルの交差点 風子
自転車が進まぬビルの風の道 白紅
思い出の本を子どもに読み聞かす 千津子
風感じ景色眺めて散歩道 恵美子
夕映えが綺麗な町と聞いている 昌利
影のある女と一度言われたい 美保子
乳母車 押し合い老婆話し込む 民夫
春一番 さくらめーるのハガキ買う 八重子
公開したらなんにも起こらない 和尾
課 題 「絵本」
沢 英人が選ぶ今月の2句 (課題「絵本」から)
絵本見る純な瞳を取り戻そうと ちづ
絵本の中ではぐんぐん伸びる豆の蔓 八重子
朝から雨で絵本が足りません 英人
かあさんは捨てた絵本の中にいる 靖一
ふる里は絵本にしたくなる風景 幸智子
忘れられていた温かさありこの絵本 恵美子
絵本にあるような赤ちゃんがお隣に 愛
ヨシヨシと絵本の犬をなでる孫 典子
絵本から香りも出ます声も出る 民夫
絵本にはむかし話が詰まっている 和尾
(随 想) 普通であること 典 子 子育ての時期には、健康であることが当たり前だと 思っていた。勉強や運動は、普通より少し上の部なら ば嬉しいと思い、また、それを願っていた。しかし今は 人間関係や、心の問題など理解できない複雑な社会 になってきて、普通であることが困難な時代になった ように思う。健康・勉強・運動だけでなく、精神面にお いても普通であることが、どれだけ大切で大変である か、つくづく感じるこのごろである。 |
共 選 「雑 詠」
1席 春一番 うまいみそ汁飲んでいる 幸智子
2席 木の芽ふくらむ私の夢もふくらむ 風子
3席 どこまでも歩きたくなる春の道 八重子