川柳を味わおう
ちたの風 第240号
(平成12年3月号)
雑 詠
知らぬ間にひびわれていた胸の中 靖一
節分の後の災難もてあます 英人
春はもうすぐ恋ももうすぐ蕗の薹 幸智子
思い出の遙か彼方の牡丹雪 八重子
泣く夢を覚めれば子どもが泣いている 千津子
豆を撒き 平凡という願いです 愛
目を入れた達磨に自己主張される 昌利
行き詰まる もう一口の酒に聞く 民夫
あの人の尻尾なかなか掴めない 美保子
春はそこに 川の流れがありました 和尾
課 題 「海」
沢 英人が選ぶ今月の2句 (課題「海」から)
読み返す海の匂いのする便り ちづ
賑やかだった故郷の海が眼裏に 風子
海猫の騒めき なにも言わぬ君 靖一
悟るまで何度海へ行くのだろう 英人
遠くから見ているほうがよい海だ 幸智子
朝凪夕凪静かに海が光りだす 八重子
母と見た夕日に染まる海 懐かしい 白紅
親騙し海へ行く日が子にも来る 千津子
二人して真冬の海を青く塗る 典子
海のいろ少し変わって春そこに 昌利
共 選 「雑 詠」
1席 愚かだと気づいてからの夜の雨 典子
2席 やり直しばかりしていて日が暮れる 八重子
3席 大特価母が好きなすしを買う 幸智子
3席 生ゴミを埋めたところに芽が出てる 愛
3席 目の前のことをやり遂げれば 春に 八重子
随 想 「ちたの風」と共に 八重子 20年前の6月1日、どきどきしながら、集会所で 開かれていた川柳の会に初めて出席した。専業 主婦の私は、今まで味わったことのない緊張感と 心地よい疲れを今も覚えている。 時は流れ、いつからか編集の仕事をするように なった。和文タイプから始まり、ワープロからパソ コン編集へと、今模索しながら21年目に向かっ ている。 これからは新しい人の時代。若い人にも、作る 喜びを味わっていただけたらと思う。 |