川柳を味わおう
ちたの風 第238号
(平成12年1月号)
雑 詠
偽物の自分を連れて歩く街 靖一
泣いている私と泣いている子ども 千津子
天声なんてあるはずもない寒い空 八重子
脱ぎ捨てて身軽になっていく体 白紅
ここまでは気ままに生きてきたけれど 英人
美しくなるために切られゆく小枝 幸智子
褪せた日を語れば赤く燃え上がる 典子
風の中をおろおろと庶民です 和尾
沢 英人が選ぶ今月の2句 (課題「間」から)
課 題 「間」
朝日が昇る瞬間のありがたさ ちづ
瞬間の後悔雑事に流される 千津子
思い出となってしまえば軽くなる 八重子
夕暮れは家路に急ぐくせがある 風子
間の抜けた話と人のことなら笑う 美保子
床の間のない生活もはや十九年 白紅
間がもてぬ休日 妻は大掃除 英人
現実と理想の間にある扉 昌利
手に受けた瞬間消える淡い夢 幸智子
あなたとは友達という間柄 典子
間延びした心 不況も長引いて 和尾
(随想) インターネット 沢 英人 世の中、インターネット・インターネットと騒がしい。これ以上の 情報がどうして必要なのか、なにがいるのか、一歩距離を置い て見ていたが、娘婿との話が発展して、ついに私も始めてしまっ た。まだ始めて一ヶ月ばかりであるが、確かにいろいろな情報が いながらに得られる。何か大きな図書館を持った気分である。 平成十二年の目標のひとつは、インターネットの活用になるの だろうか。(一部省略) |
共 選 「雑 詠」
1席 二千年へ持ち越してゆく夢や傷 八重子
1席 なにもかも忘れて部屋の掃除する 昌利
3席 ところどころに私の匂い犬の匂い 愛
3席 血圧上昇ストレス上昇 でも家族 幸智子
5席 かけ違えたボタンを直す最初から 幸智子