zu114  老人クラブ(その6)

 私の千秋町老人クラブ連合会長は平成30年3月31日を以て終わりました。後任には、私の小中学校同級生の人が選ばれました。これは私にとっても彼にとっても好都合でしょう。そして引き継ぎもスムーズに終わり、平成30年度事業が始まっています。
 しかし、年度末に予期せぬことが起こりました。一つの町内に老人クラブが無くなることは分かっていましたが、他に2町内にクラブが無くなってしまったのです。1町内はいずれ近いうちになくなるだろうと予想していましたが、もう一つは全く予想していませんでした。いろいろ活発な町内です。まさかそこがなくなろうとは、唖然としました。皆にもショックだったでしょう。会員はたくさんいるのに、なくなってもいいと思っている訳でもないのに理由はただ一つ、クラブ長のやり手が見つからないことです。16町内すべてにあった老人クラブが一挙に3町内から無くなりました。恐れていたことですが、これでこの流れがますます早まる懸念を感じます。


 終えて3ヶ月近くたち、もう完全に連合会長の係わりはなくなりました。老人クラブについて4回に渡り書いてきましたので、話はダブルかも知れませんが、ここで総括しておきたいと思います。
 老人は増えているのに老人クラブは衰退の一途です。これは全国的なことです。衰退の理由は、若い人が入ってこないこと、そして先にも書きましたように高齢になった会員に役員の引き受け手がないことです。今の人は、60才過ぎても、65才になっても、70才くらいまで働きます。完全退職はその後です。私にしても完全退職は昨年6月、71才でした。又、私たちは60才になったら老人クラブに入るものと思っていました。今はそんな意識は全くありません。そして、退職したら入るかと思えば、それもありません。元気と言っても、70才になって新たな組織には入りにくいものです。入ったとしたら、1、2年後には役員を仰せつかります。それが分かっているから、なおさら入りません。もしそれを引き受ける人があっても、何年も務まりません。先に紹介した、なくなると思っていなかった町内のクラブ長さんはもう6年も続けておられ、77才になるので辞められました。そして後任の引き受け手がみつからなかったのです。何年も続けておられる役員さんが何人もあります。その人が辞めるといった時、どうなるのでしょう。

 では老人クラブの存在意義がなくなったのでしょうか。私には、高まりはすれども、なくなったとはとても思えません。今後ますます高齢化社会は進みます。既存の町内会や子供会、女性部に頼れるでしょうか。その活力はどうでしょう。これも低下の一途です。私の町内で言えば、住民は増えています。しかし、増えているのは他から移ってきた人です。少し偏見かも知れませんし、すべてとは言いませんが、地域に根付いていません。愛着も大きいと言えません。それだから町内会に入らない人も増えてきていますし、子供会や女性部がないところも増えています。そして輪番制で、いきなり役員と言われてもただ言われることをするだけです。更に若い人は忙しすぎます。自分の家庭のことで精一杯です。しかも今の人は、強制されたり人と一緒にすることを嫌がります。そうなると、できるのは地域に長く住んだ高齢者です。まさに老人会の対象者です。高齢者には知識も体験もあります。その上時間があります。でも、それらがあっても一人ずつでは何もできません。やはり組織です。組織があってこそできるのです。上手に引っ張っていけば大きな力を発揮します。これはこの1年で私が体験済み、実証済みです。これから元気でない高齢者も増えます。その高齢者を支えるのは元気な高齢者です。更に老人会は老人のことばかりでなく、児童の見守り、清掃活動等地域の奉仕活動も盛んです。これが今までの老人会です。この役割が増えても減るとは思えません。老人クラブの存在が高まっていると思うのはこんな理由です。数え上げればまだいろいろあるでしょうが、もうこれだけでも十分です。

 組織にはリーダー、役員が必要です。私にはなぜこれほどに役員になりたくないのか、本当はよく分かりません。やらされると思うからでしょうか、人の為にするのを損と思うからでしょうか。私は1年連合会長をやって、随分得をしたと思っています。いろいろ知る楽しさ、体験する面白さ、そして知り合いも増えました。私は地元に生まれ育ったと言っても、職場は地元ではありません。人生の主要時代は地域外です。若い時に父を亡くしているので、比較的若い時から地域に顔を出していますが、それでもこれまで地元の活動の多くは妻任せです。知っているようでもあまり知っていませんでした。しかし、連合会長という大役で一挙にいろいろ知ることになりました。何という大きな得をしたことでしょう。
 そして、連合会長と言う役は切れましたが、その延長線上のものは残りました。老人クラブ連合会傘下のクラブ活動に誘われて、昨年途中から歩こう会とグラウンドゴルフに参加しました。歩こう会は原則毎土曜日に、グラウンドゴルフは毎日曜日に例会があります。老人には「今日出かけるところがある、今日することがある」が大切と言われます。お陰で何もない時の土曜日、日曜日の数時間はこれらにあてがいます。その上、歩こう会では副会長を引き受けました。恐れているのはグラウンドゴルフです。何しろ男性では一番若いのですからいずれ何かの役員を言われるでしょう。活動が広がってありがたいのですが、こちらは困惑もあります。

 そしてもう一つ書かねばならないことは、我が村の老人会白寿会のことです。昨年6月から「サロン羽根邨」と5月から健康体操クラブ「羽根る会」を始めたことは(その2)(その3)でも触れましたが、このことについてもう少し書いておきます。サロンについては毎月準備も要りますし、いろいろ企画も必要になります。月1回と言えどもなかなか大変な事業です。毎年交替する白寿会役員では長続きしないでしょう。ただでさえ難しい役員の引き受け手がこんな事業があっては更に困難でしょう。そこで発案した責任上、私が当分中心になって継続していくことにしました。サロンの主催者はあくまで白寿会で、その運営は白寿会傘下のクラブ活動として「サロン羽根邨世話人会」を立ち上げ、その会長に就きました。自分から会長に就くと言ったのはいつ以来でしょうか。それだけ意義を感じています。協力者も昨年の役員に頼みました。これから新たな協力者を発掘していくつもりです。皆さんに喜ばれているだけに、もっともっと発展させたい、他の地域にも広めたい。私の一つの願望になっています。今年度(2回)の参加者は毎回40人超えと増えています。また羽根る会も白寿会傘下のクラブ活動としました。こちらは会長代理に就きました。今のところ男の参加者は私一人ですが、私がやっていればそのうち男の参加者もできようと思っています。こちらは毎回23人程度の参加者となっています。
 これも会長を務めた延長線上であり、余禄でしょう。本当にやって良かったという一言です。もちろんたくさんの時間を取られ労力も要しましたが、これは何の損にも感じていません。何しろ余生です。


 さて衰退一途の老人会をどうなっていくのでしょう。どうすればいいのでしょうか。最後に少し考えてみたいと思います。まずは衰退の原因ですが、老人会という名称がいけない、と言う人がいます。我が千秋町内では「老壮会」「白楽会」「不老会」「寿康会」「悠々会」更に「若葉会」と言った名称のクラブがあります。ですからこれは言い逃れでしょう。入会が60才というのが若すぎるという人がいます。そうなら65歳、70才ならいいでしょうか。入会資格がますます狭まるわけですから、増えるとは思えません。そしてますます役員の引き受け手がなくなるでしょう。衰退の第1因は、町内会始め子供会、婦人会など地域の活動団体の入会が任意ということが広く広がり、実際にそのようにする人が増えたことでしょう。私も任意ということは昔から知っていました。ただ地域の慣行として、何も言わず入会してきました。それが今は堂々と拒否する人が増えたことです。1人が入らないと連鎖的に入らない人が増えていきます。これが今の現状です。法律的にはそうであっても本当にこれでよかったでしょうか。ボクには非常に疑問に思えます。次に70才近くまで働くようになったことでしょう。これは時代の流れです。これに異議は唱えられません。しかしこれは第1因と重なりますが、働いていても入会していれば何かの活動はできます。現に私は昨年6月まで勤務していました。第3因は老いも若きも地域への愛着が薄れたことです。地域力の衰退です。これも第1因にも第2因にも関係します。このように考えていくと、原因は1つ、人間関係の希薄です。これがめざす社会でしょうか。
 この実態を役所はどう捉えているのでしょうか。時代の流れと淡々と受けとめているのか、これではいけないと危機感を覚えているのか、本音で聞きたいところです。老人クラブに対して役所の今までは、役所の方針に沿った事業をすれば助成金を出しますよ、と言う姿勢と私は捉えています。沿った事業とは高齢者の活動の場作りと社会奉仕です。助成金以外それ程の支援はありません。連合会長の集まりでよく出る不満の声は、事務処理についてほとんど支援のないことです。これはまさに役員の負担です。私なども会議に出、配る資料を作り、自分で説明し、更に事業をしていました。町会長の長や民生委員の長、公民館長などはかなりの支援があり、老人クラブ連合会長とは全く違います。ひょっとして町内の公職で老人クラブ連合会長が一番大変なのではないか、と思ったりしました。どの組織も大切ですが、老人クラブは名目以上に大きな働きをしていると思っています。どの組織であろうが、ほとんどの長が60歳以上の人ですから、地域を実質動かしているのは老人クラブ会員対象者です。そういう人達をまとめている老人クラブがもっと活発になれば地域は大きく変わるでしょう。

 老人クラブの衰退を止めるのは、大きくは行政の考え方、施策に寄りますが、今自分達でできることはないでしょうか。一番の問題は役員の引き受け手のことですから、このことだけを考え、理解できる人達で議論を尽くし、できる範囲の行事として分担していけば、何とかならないでしょうか。老人クラブは単なる趣味のクラブであってもいいのです。老人に活動の場を与え、健康で呆けない人作りだけでも存在意義はあります。役員の負担をできるだけ減らし、この程度ならやってもいいと思う人を作る事、見つけることです。解散したら元も子もありません。私は昨年の経験を生かし、私が健在である限り、解散させない気持ちで臨みたいと思っています。
 思いつくままに書きましたが、またまだ書き足りない気もしていますが、ひとまずここで終わりにしておきたいと思います。
                                (平成30年6月25日)


川柳&ウォーク