zu112  老人クラブ(その5)
***「皆で歩こう会」と「童謡に親しむ会」***


 子供から老人までいろいろな世代が参加し交流理解を深めようと、世代間交流事業が広く企画されています。それが我が一宮では老人会の事業として組み込まれています。一宮市でも一宮市老人クラブ連合会でも、また千秋町地域作り協議会でもそうです。そして実施すれば何がしかの助成金が支給されます。それに答えるために千秋町老人クラブ連合会では長年、ゲートボール大会、グラウンドゴルフ大会、カラオケ大会の3つが実施されてきました。私が千秋町の老人クラブ連合会会長になるとすぐに、これらを止めて欲しいという意見が寄せられました。そして、実態を調べると疑問だらけです。まず上記の3つがいずれも老人の趣味としては分かりますが、若い人が興味を持つことでしょうか。世代間交流事業です。オール世代がある程度興味を持つものでないとふさわしいとは言えません。そして止めて欲しと言う要望は、参加者を集めるのに苦労しているからです。参加者は毎年、30人から80人位です。これでは人口17000人の町の世代間交流事業と言うのには寂しすぎます。そして、ゲートボールとグラウンドゴルフは8月に実施しているのです。理由は小学生が夏休みということです。これだけ熱中症が騒がれている時代に、8月に実施する事業でしょうか。大きな事故でもあれば主催者の開催責任を問われる気がします。現に、大きな事故には至っていないが事故は起きているようです。時期を変更できないか、事業実施を実質担っている団体に聞いてみましたが、やはり夏休みにしか行えないといいます。カラオケについても問題がありました。では止めようか、ただ止めて済むなら簡単です。今年は老人クラブの事業として計画されている責任があります。別の事業を企画しなければ済まないでしょう。

 何がふさわしいか、何ができるか、いろいろ思考が頭を巡ります。この話を私をよく知っている人に話せばすぐに「ウォーキングをやればいい」と言う答が返ってきました。確かにこれは1つの良い事業でしょう。他には何があるか。次に思いついたのがラジオ体操です。もうないか・・・。老人クラブ連合会の傘下に「童謡を歌う会」というクラブ活動があって、その活動状況を聞く機会がありました。そして、ふと思いついたのです。童謡をみんなで歌えば楽しかろう。ここまで腹が固まれば、もう打って出られます。そしてラジオ体操については「老人クラブ(その3)」で詳しく書いたので省きます。「皆で歩こう会」と「童謡に親しむ会」については、7月の老人クラブ役員会でその構想を話し、実行委員会設立を提案し、委員も決めました。ここまでは(その3)で書いていますので、その後を書いていきます。

 まず、11月19日に実施した「皆で歩こう会」です。これについては川柳連れ連れ草に「英人の20句抄」として掲載した句を活用しながら書いていきます。
      世代間交流図る良い事業
      従来の事業を止めて何とする
      お前ならウォークがあると人は言う
      考えて次第に意欲湧いてくる
      実施する組織を作り動き出す
 老人クラブ連合会傘下にあるクラブ活動「千秋歩こう会」を共催者として取り込み、協力団体として町会長会と児童育成協議会にお願いしました。老人クラブで回覧を回しても周知はそれ程になりませんし、肝腎の若い世代に回りません。全戸配布すればいいのかもしれませんが、それは費用がかかりますし、ただ配布しただけではあまり効果は期待できません。全戸に回覧するには町会長会に頼まねばなりません。また町会長に頼めばある程度骨折りも期待できるでしょう。そこで、9月13日の町会長会に出席してお願いしました。そして主要なターゲットは小学生です。そこで子ども会を束ねる児童育成協議会にもお願いをしました。
      周知には話すことと場を求め
 そして
      目標を高めにおいて話しかけ
 最初から低く言っていてはそれ程望めません。500人と言いました。「何と言う大洞を」と思った人も多いでしょう。実は後に知ったことですが、1昨年の町民運動会が雨で流れ、その変わりとして昨年の2月に公民館事業としてウォーキング大会が計画されたのです。その時の事前申込者が230人でした。しかし、これも雨で流れ実施されませんでした。公民館は非常に大きな組織です。そこでこれだけの数字では、老人会が500人と言っても誰も本気にするはずがありません。
 そして回覧が回り始め、申し込みが届くようになります。
       当日の参加は天気に左右され
       事前の申込数を重視する
 内心は300人とおいていました。事前申し込みは340名となりました。
       内心の目標超えて安堵する
 当日朝方は晴れていましたが、昼頃から時折雨が降り出しました。出発式は1時半です。小降りですが雨です。自分は天気には恵まれている方だと内心思っていましたが、これは何という不遇でしょう。自分にとって今年最大の事業と思っていただけに、残念です。
       出発式迎えて雨が降り始め
       人生はこんな不運の繰り返し
 出発式では私の挨拶、来賓の挨拶、注意事項等を話し、いよいよ出発です。5kmコースの半分、2.5kmコース、5kmコースの残り半分、1.5kmコースの順に出発してもらいました。何かあった時の判断や聞かれた時に答えるために私は本部にとどまっていました。じっとしているので寒さに震えてきました。そして、3時50分、すべて無事終えて終了です。
       雨の中無事に終わりまずは良し
       雨中のウォークという体験
       たくさんの人に与えた思い出
 細かなところではいろいろ反省点はあったと思いますが、特に事故もなく無事終わりました。今日の参加者の多くは、雨の中のウォーキングは初体験だったでしょう。2月の公民館主催事業では雨天中止でした。私には雨天中止という発想は元々ありません。私の25年に及ぶウォーキング人生で雨天中止は一度もありません。募集要項にも「雨天決行」と書きました。
 老人会は衰退の一途です。でも老人の知識、体験、そして人脈等その力は捨てがたいものがあります。そして時間があります。これはもうラジオ体操で実証済みです。危険と思われる交差点や横断歩道には交通誘導に立ってもらいました。箇所の割り振りをした時、誰一人苦情を言わず引き受けてくれました。後に写真を見るとキチンと旗で誘導しています。
        老人の実力見えた催しに
 基本はほとんどが私の発想です。委員会で少し修正する位です。
        時折は一人芝居と思ったけど
 でもこのように協力してもらえると、やはり一人芝居ではなかったのだ、と安堵します。他にも多くの人に協力をお願いしました。見所説明では浮野古戦場保存会の会長さん、一宮市博物館の学芸員さん、そして私が会長を務める一宮友歩会の役員さん等です。自分が一緒に歩けないだけに、コースリーダーに不安がありました。そして、つい頼んでしまったのです。まさかこんなところで一宮友歩会の役員に助けてもらうことになるとは、思わぬ成り行きです。私の財産です。安心して本部に控えていることができました。
        久しぶり大きな意欲持てました
        総括は実施して良かったこの一言
        余生には十分すぎる喜びで
 結局参加者は、事前申し込みにかなりの欠席者が出ましたが、当日参加もかなりあり、ほぼ330人でした。


 そして1ヶ月後の12月17日に「童謡に親しむ会」を実施しました。この催し物も川柳連れ連れ草に「英人の20句抄」として掲げましたので、それを載せます。 
       世代間交流図る第三弾
        カラオケを止め童謡に親しもう
         童謡を歌う会あってこの発想
           歌う会売り出す機会二兎を追う
    童謡を今の子供は知らぬまま
   親も子も一緒に歌えば楽しかろ
 老人も歌おうむかし思いだし
              委員会作って準備を整える
              できることそれは熱意を見せること
              ただ話す機会捉えてただ話す
          会場も舞台も一緒になり歌おう
        歌って歌ってまた歌う会
      合間にオカリナ演奏入れてみる
     オカリナが聞けて良かったと後の声
          参加者が二百人超えまずは良し
           役員は思い以上によく動き
             来年もやって欲しいと声上がる
          目的を十分果たし安堵する
          これもまたやって良かったの一言で
          一番に満足してる私です
 この句を読んで頂ければ、大方想像して頂けるでしょう。中学校の屋内運動場に約220人の参加がありました。大いに満足できる結果でした。

 もうまもなく1年の老人クラブ連合会長は終わります。もう大きな事業はなく、今年度終わりに向けての整理と来年度に向けての準備となります。結局私の連合会長の大きな仕事は世代間交流事業となったようです。そして、3つすべてが想像以上の成果を収めて終えることができたようです。しかし、世代間交流事業は老人クラブが主催する事業ではないと思っています。「皆で歩こう会」の中でも書いたように、全世代に呼びかけられる団体の方がふさわしいのです。協力を求めた町会長会や児童育成協議会、または公民館が主催者となって本気で呼びかけたら、今回の何倍もの参加者になったでしょう。協力ではしょせん他人ごとです。老人会が協力でいいのです。今更老人会が表に出ることはありません。今、盛んにこのことを訴えています。私に残された役目とも思っています。
 1年近く老人会や千秋町の状況を見てきました。声をかけられた事には積極的に参加したつもりです。そして必要と思ったことは、参加者数の拡大です。行事は多すぎるほどに企画実施されています。近くの人、積極的な人は何にでも参加します。延べ人数は多いが、実質人数は意外に少ないのではなかろうか。積極的な人は放っておいても自分で場を探してきます。公の団体がすべきことは、あまり出ることのない人を誘い出すことではなかろうか。例えば、健康に関する講演をしても、自主的に参加する人はあまり必要のない人で、本当に必要な人は放っておいては参加しません。主催者から積極的に働きかけることが必要です。たくさんの行事に精力を注ぐことより、行事を絞って、多くの団体が協力して精力を注ぐ。その結果は参加者数が増すことで分かります。これは特に老人会に言えることです。私はこう思っていろいろ行事に取り組んできました。ある程度の成果は見せられたと思いますが、まだまだ不十分です。特に世代間交流事業については、こういった意味で他の団体に主催をゆだねたいのです。
                                 (平成30年2月21日)


川柳&ウォーク