zu110  老人クラブ(その4)

 世代間交流事業として企画した11月19日(日)開催予定の「皆で歩こう会」や12月17日(日)開催予定の「童謡に親しむ会」は、参加者募集や準備に一生懸命になっている段階です。このことについては行事が終了してから書くことにし、今回は老人クラブの現状について紹介してみようと思います。
 (その2)でも少し触れましたが、老人クラブはクラブ数も会員数も減少の一途です。平成20年度と28年度で会員数を比べれば、愛知県では380千人から313千人へ、一宮市では41千人から33千人に、約2割の減少です。老人人口は103千人から120千人に増えているのにです。これですから一宮市の60歳以上の人の老人クラブ加入率は40%から28%に減っています。3割の減少です。3人に1人どころか4人に1人になろうとしています。これから見てもいかに老人クラブが衰退しているか、歴然たるものです。ところで千秋町連区は一宮市の中でどのようなところに位置しているのでしょうか。一宮市は22連区あり、平成29年でクラブ数は39で第2位、会員数は2351人で第4位、加入率では39.7%で第6位です。千秋町連区はこのように上位に位置しています。


 私は千秋町老人クラブ連合会長に着任早々から、いろいろな会合で「老人クラブはあと10年ですからね」と、半ば驚かす感じで言ってきました。これは、全く老人クラブが無くなると言う意味ではなく、今の状態は保てない、様相が全く変わるだろうという意味で言ってきました。しかし、データを持って言っていたものではなく、あくまで私の感じです。それでは真実味が無いと思って、9月に各町内のクラブ会員の年齢構成を調べてもらいました。結果は16町内の内60歳代が20人以下の町内が8町内、その内5人以下が5町内というものでした。これは私の想像以上に悪いものでした。現在は半数が70歳代で、活動もその人達でほとんどを担っています。ちなみにクラブ長や女性部長の年齢を見ると、私が72歳でそのプラスマイナス3歳にほとんどの人が入ります。5年、10年すればこの人達の行動はかなり鈍り、役員どころでなくなるでしょう。その時主役になるのは今の60代の人です。その60代がこの人数では、近々無くなる町内が次々現れるでしょう。


 この現状を知って、10月の役員会で「老人クラブについて」の意見交換会を行いました。存在意義、問題点、これからどう進めるべきか等々、意見が出るか心配しましたが、出始めると次々発言があり、またたく間に1時間半近くがたってしまいました。もちろん、簡単に答が出るようなものではなく、言い放しになりましたが、皆さんが問題意識を持っていることは分かりました。そこでもう1度12月にすることにしました。今度はもう少しテーマを絞ってするつもりです。一番の問題点は分かっています。役員の引き受け手がないことです。まずはこれに尽きるのです。この意見交換会の席で、ある町内から今年度で解散することが伝えられました。会員は140人もいます。それなのに役員の引き受け手が無く解散するのです。私にすれば「140人もいて1人も無いのか、それ程に辛い役員なのか」と問いたいのですが、そんな問いは通用しません。高齢者は、やってもやらなくてもいいことならやらない、それだけだという気がします。我々の世代までは“60歳になれば老人会に入るもの”でした。それが次第に自由になりました。そして入らなくなり、先ほどの加入率になっていったのです。役員を頼もうものなら「それなら会員を辞めます」と言うのも普通のことになっています。


 老人クラブの位置づけは、簡単に言えば単なる趣味の会です。それくらいの位置づけであり、バックアップもありません。その会に対して、行政は行政の意向に沿うことをしたら助成金を出します、という姿勢です。そうしていろいろなボランティア活動がされているのです。道路公園のゴミ拾い、草取り、遊具のペンキ塗り、資源ゴミの回収手伝い、一人暮らしの人の訪問、そして老人の健康維持活動等です。そしてこれらは役員の分担になるのです。「会員になるとどんなメリットがあるのでしょう」と問われることがありますが、私は「ボランティアができる」と答えたことがあります。こんな言葉が通じて欲しいのですが、ほとんど通じることはありません。こんな活動が多いことも役員になることを拒む一因でしょうか。
 1人1人は老人クラブが無くなることに何の痛みも不安も感じないかも知れません。この加入率を見れば明らかです。でも、私のように老人クラブの役割を知った者には、無くなることに大きな損失を覚えます。高齢者は今までの体験、知識、人脈など大きな財産を持っています。また時間もあります。でも高齢でNPOやボランティア組織を作るほどのエネルギーを持つ人はほとんどありません。しかし、少しのエネルギーで済む今ある組織を利用したり、活用することは多くの人ができます。若い人は自分のことに忙し過ぎ、この人達よりも元気な高齢者の方が社会活動ができる場合が多いでしょう。これから高齢者はますます増えていきます。放り出したら行政の負担はますます大きくなるでしょう。高齢者が高齢者の面倒をみる、これには組織が必要で、それが今あるのは老人クラブです。行政も老人クラブが衰退していることは分かっているはずです。これに対してどのように対応しようとしておられるのでしょうか。なくなっても構わないと考えておられるのでしょうか。加入者が4人に1人になろうとしている今になってはもう遅いかも知れません。でもまだ4人に1人が加入していると思って、今までの考え方をスッパリ捨てて考え直して欲しいと思います。特に良いことをやったら褒美を挙げると言う今の助成制度などは、崩壊を早めているようなものです。また1地区を50人程度で分けると有利になるような施策もおかしな施策だと思います。

 老人クラブは趣味の会と書きましたが、地区毎のクラブで趣味的なことをしていることは少ないかも知れません。それは趣味の会ができるほどの人が集まらないからです。千秋町老人クラブ連合会には6つの趣味の会があります。グラウンドゴルフ、ゲートボール、バードゴルフ、カラオケ、歩こう会、童謡を歌う会です。これは千秋町内全域を対象にしているからこそできることです。これらの会員は老人クラブの会員であることが条件になっています。地区の老人クラブが解散したらその地区の人は参加できません。老人の出る機会を喪失させることになります。老人に必要なことは「今日行くところがある。今日することがある」と言われます。何もしなくなったら老化がドンドン進むでしょう。老人クラブを解散した地区で、新たな活動が始まればいいのですが、そんなことができるならクラブの解散にはならないでしょう。地区を越えた老人クラブができるといいと思いますが、いろいろなことが地区毎で動いている現状を考えるとこれはかなりの難しさを伴うでしょう。でも考えられないかと思っています。


 私は地区の老人クラブで、地区の公民館(以下浅野羽根公民館と書きます)で今年6月から月1回のサロンを始めました。まさに出る機会を持つためにです。さてこのサロンも今年度はいいのですが、役員すべてが替わる来年度はどうなるのでしょう。この負担を来年度の役員に押しつけたら、それこそ役員の引き受け手が見つけられないかも知れません。冒頭に挙げた「皆で歩こう会」や「童謡に親しむ会」も同じです。新しいことを始めれば役員の負担は大きくなります。そこで私は言っています。前者のサロンについては「私が中心になって来年以降もやっていきます。そこで、今年の役員はもう1年私に付き合って欲しい」と先日言いました。クラブ活動として活動し、規則をそれにあうように変えるつもりでいます。後者については「世代間交流事業は老人クラブがするようなことではない。今年が最初の最後と思って欲しい」と言っています。老人クラブ連合会は老人クラブの会員に呼びかけるだけの権限しか持っていません。全世代に呼びかけるような事業はそれにふさわしい団体がやるべきだ、と思っています。成功裏に終えて、他の団体に任せられたら最高だと思っています。


 今の時代、若い人がボランティアに尽くす姿を多く見かけます。我が千秋町では公民館活動をしている人が沢山あります。私も今年は千秋公民館の役員になっており、先日もその集まりに参加し若い人の多さと元気さにびっくりしました。しかし、その活動は各地区では行っていません。千秋町の中心にある千秋公民館での活動に限られています。これでは参加する人も限られてきます。特に遠くの高齢者は参加できません。毎月千秋公民館で教養講座が開かれています。今年5月は、始めて浅野羽根公民館で開催されました。私の地区から千秋公民館に出かける人は毎回3、4人ですが、浅野羽根公民館で開かれた時は50人以上が参加されました。これには私もびっくりし、悟りました。高齢者には歩いて行ける、または少しの自転車で行ける近場の行事であることが重要である、と言うことです。現にサロンも毎回40人ほどの人を集めています。4月から浅野羽根公民館で始まった健康体操クラブも会員が30人を超え、毎回20人以上が参加しています。こうなると高齢者にとって地区のクラブ活動がいかに重要かと言うことがはっきりしてきます。千秋公民館での活動等は、公民館に近い人、また元気な高齢者には役立っているかも知れませんが、本当に必要な多くの高齢者には役立っていません。今のところ高齢者のことは老人クラブがする、このことをしっかり認識し、企画していかねばならないと考え始めています。連合会と地区クラブの役割も考えねばと思っています。今年は発言する機会も多く、機会があれば積極的に発言しています。皆さんに考えてもらいたいと思って、思いついたことはドンドン言っています。異論、反発も誘っているつもりです。前回も書きましたが、私はもう余生です。今更損得も名誉も不必要です。「老人は楽しく」「奉仕を楽しむ」、この気持ちでもう少し頑張って行こうと思っています。
                              (平成29年10月27日)
 

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