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グラウンドワーク・第10話
C   S   R  (W)


 グラウンドワーク・パスコの活動も3年目に入り、かなり定着し、基礎もできてきた。前回書いてからちょうど1年がたつので、その後の状況をまとめておきたい。

 平成20年9月までは公式活動とし、10月から12月にかけては非公式活動をとして業務前に活動をすることにした。8時に集合し、業務開始までの1時間の清掃活動である。何人が集まるか非常に興味があったが、毎月20名前後の参加者があった。私としては10名もあれば喜ぶべきことという気持ちであったので、大満足であった。業務後の活動と同じように、通勤者が多い名古屋の中心街の桜通り、伏見通りのゴミを拾って歩く。心のある人には少々早く来ることなど問題でなく、する人はするのである。そういう人がこれほど現れてきたことに活動の意義を十分に感じる。
 1月から3月は寒さが厳しいこともあるが、会社の業務が最繁忙期に入り、残業、残業の連続となることもあってこの期間は休止とした。
 ある程度軌道に乗ってくるとまた新たなことが心配になってくる。こうした活動は人が替わることによって一変する。特に幹部や事務局になった人が消極的だと一辺に沈んでしまう。4月は定期人事異動の月である。今まで推進してきた事業部長も業務課長ももう長い。いつ異動になってもおかしくない。人が替わっても活動が低下することなく継続していくためにはどうすればいいのか。今する第1のことは規約を作ることだと考えた。理念や組織を規約として位置づけてしまえば、新たな人がそう簡単に無視することなどできないだろう。そこで、業務課長に規約を作るように依頼した。2月末には私が想定していた以上に立派な原案ができた。数回幹部会に諮り、4月1日からの発足にこぎ着けた。大半は現在まで行ってきたことを文書化したものであるが、特筆すべきことは各部署に推進委員を置き、推進委員会を設けたことである。
 4月の人事異動の内示があった。業務課長が大阪に転勤することになった。私は心配が当たったことと共に手を打っておいたことに安堵の胸をなで下ろした。4月早々規約に従って代表委員会、推進委員会のメンバーも決まった。推進委員長は今までの経緯もあり、私に要請があり、承諾した。平成21年度の清掃活動は、10月から12月の活動も公式活動とする他は、20年度の活動をほぼ踏襲することになった。


 第1回目の推進委員会を5月18日に開催した。その席上、清掃活動以外に何かできることはないか、考えておいて欲しい旨を伝えた。そしたらその席上、エコキャップ活動という言葉が出た。その後早速調べてみた。今の時代、インターネットで調べればかなりのことが分かる。本当に便利な時代になったものである。インターネットが使えるか、使えないかは生活に大きな違いが生じてくる。私は毛嫌いや臆することなく比較的早くから使えるようにしたので、本当に良かったと思っている。
 この活動について私も全く知らなかったわけではない。労力に比し、その効果の小ささに疑問視していた。調べてみて案の定、批判意見も多い。しかし、その労力を最小にして行えば、行う価値はあると思うに至った。会社でペットボトルのキャップを集める分には、何の努力も要らない。ペットボトルとキャップを分けるように伝え、キャップ用の箱をもう一つ置くだけである。問題はそれを扱ってくれる場所への搬入であるが、幸いにも名古屋市北区に再資源化事業所があり、社員が業務でその方面に出かけた折りに持って行けばいいのである。
 ペットボトルの使用は夏に多い。活動を始めるなら暑くなる前の方が良い。早速この活動の概要をまとめ、再度推進委員会を開く。そして、この活動の担当責任者を決め、2人で再資源化事業所を訪問する。いろいろ知識を得た上で、代表者会議を6月15日に開催し、準備の整い次第この活動を始めることで承認を得る。早い部署ではその情報が伝わったその日から、遅いところでも翌週には始まった。これからどのような展開になるのか楽しみである。
 このエコキャップ活動について、周知した内容の一部を書いておきます。


◎活動の趣旨
 ペットボトルのキャップを分別回収することにより再資源化を促進し、それによってCO2の発生を抑制でき、また、そのキャップの売却益によって世界の子どもたちにワクチンを届けることによって恵まれない子どもたちを救済する。
   (参考)キャップ400個で1kg10円、ポリオワクチン1人分20円、
         BCG7円、CO2発生量・・・400個焼却処分で3150g
◎実施の方法
・各部屋にキャップ回収箱を設置し、ある程度たまったら自動販売機横の大型回収箱に入れる。
・自動販売機横の回収箱がほぼ満杯になったら、再資源化事業所に搬入する。
◎ 活動のメリット
・活動の趣旨の他、ペットボトルの再資源化にはキャップを外す必要があり、この分別をすればその後の手間が省ける。
・エコ活動に参加しているという意識と共に、他のエコ活動についても意識向上が図られる。
・グラウンド・パスコの清掃活動に参加が難しい他の支店も参加することができる。
・ペットボトルについて一番のエコ活動はペットボトルを購入しないことであるが、キャップを集めることによって使用量を認識することができる。(→使用量の減少になれば効果大)
◎その他
・社員の家族等協力を得られる人には積極的に応じてもらう。(PRして活動の輪を広げる)
・各支店は集めておいて、名古屋事務所へ来るときに持参する。



     
 話を今年4月に戻します。今年度最初の清掃活動を4月8日に実施した。まだ人事異動で着任していない社員もいる中、34名という過去最高の参加者を数えた。
 4月20日には60名ほどが参加した社員研修の中で、私が30分ほど、グラウンドワーク活動について説明をした。
 社内組織であってもこうした自主的活動にはなかなか活動費が出ないものである。当初、軍手や手ばさみなど最小限のものは出してもらったが、それ以上のものはなかなか出ない。私は目立つようにベストの作製を希望していたがなかなか動かない。グラウンドワーク東海の合い言葉は「右手にスコップ、左手に缶ビール」である。活動後毎回慰労会を催していたが、もちろん自分持ちである。ここらあたりを何とかできないか持ちかけていたところ、クラブと認めてもらえば何とかなることが分かった。新年度に入って早速申請してもらった。なかなか承認の通知のない中、私のグラウンドワーク活動の説明を聞いた本社社員が動いてくれた。ゴールデンウィーク明けには承認が下り、6月の活動に間に合うように早速ベストを注文した。


 昨年6月は愛・地球博記念公園で家族も参加しての清掃活動、及び食事会を催した。バーベキューをしたかったが、まだその広場が整備されていなくて断念したので、今年はバーベキューのできる県営大高緑地に会場を移した。6月13日(土)、梅雨の中天気が心配されたが暑いくらいの上天気になった。35名の参加があった。私も孫を連れて参加した。活動は清掃活動班と緑地整備班に分かれて行った。新調したベストを着ての活動である。緑地整備班は林にはびこる竹の伐採ですが、慣れない作業に戸惑いと興味に結構面白い活動になった。約1時間の作業の後、バーベキュー大会である。会社としても初めての行事であったようだ。バーベキューは準備するところにも楽しさがある。ワイワイと協力しながら準備をし、後は食べて飲んで大いに盛り上がった。子どもたちは水鉄砲やスイカ割りも楽しんだ。
 7月8日は定例の清掃活動日であったが、雨で1週延期した。第15回にして初めて雨にたたられた。よくここまで好天に恵まれたものである。
 国土交通省名古屋国道事務所から8月8日(土)朝8時から開催される「国道19号クリーン作戦」への参加依頼があった。早速に社員に参加を呼びかけたところ、16名から参加申し込みがあった。お盆前の土曜日にこれだけ多い申し込みには私も驚いたが、国道事務所の方でもびっくりされたようだ。当日は朝からギラギラの太陽が照りつける暑い日であった。グラウンドワーク・パスコからは都合の悪くなった人もでき結局13名であったが、それでも総勢参加者が30名ばかりであったのでパスコの黄緑色のベストがひときわ目立った。約1時間ばかり、いつも行っている伏見通りの白川公園から日銀前を、さわやかな汗を額ににじませながら清掃活動に励んだ。以前と比較すると大幅にゴミが減少したように感じられた。私も参加する予定であったが、残念ながら急に起きた身内の不幸で参加できなかったので、当日の話は伝聞である。
 約1年を振り返ったが、こうして記してみるといろいろなことがあるものである。3年目に入ったといえどもまだまだ揺籃期なのであろう。少しずつ発展しながら定着していければ最高である。そんな気持ちでグラウンドワーク・パスコを育てていきたい。
                                (平成21年8月27日)


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