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歩いて木曽川



この文は(社)日本河川協会発行の「河川文化第39号」
(平成19年9月20日発行)に投稿依頼を受けて綴った
ものである。(一部修正、削除している) (H19.12.04)


1.木曽川編part4
 6月2日(土)午前9時、近鉄長島駅にウォーキング姿の人が50人ばかり集まっている。一宮友歩会のウォーキング例会に参加する人達である。好天気である。あいさつ、コース説明、準備運動などの出発式を終え、会旗を先頭に2列縦隊で出発する。木曽川に出て、右岸堤を上流に向けて歩く。
 出発して40分ばかりで「長島町輪中の郷」である。ここで20分ばかりの見学、トイレ休憩をとる。輪中の郷はこの地方の生活の知恵ともいえる輪中をテーマに、郷土の歴史、文化、産業を紹介するために、平成5年に開設された施設である。
 ここから長島輪中の北端に向かい、次は木曽川と長良川の水位を調節する重要文化財・船頭平閘門の見学である。明治35年の完成時には筏2500枚、船が2万隻利用した閘門も、橋ができ、陸上輸送が主体となった現在は、漁船やレジャーボートがわずかに利用するのみである。
 更に上流に向けて歩き、木曽川と長良川を分離する中堤に出る。そして、長良川大橋を渡り、国営木曽三川公園センターで昼食休憩である。小グループに分かれ、談笑しながらの昼食である。50分近くの休憩中に、センターの南にある治水神社を見学する人もある。午後は長良川大橋を戻り、続いて立田大橋を渡る。立田大橋から木曽川左岸堤に降りる。ここで治水史跡探訪会のYさんから、この地方の地形や木曽川・長良川の歴史などの話を聞く。深い知識と要領を得た話に、皆さん興味津々、真剣に聞いている。ここからショートコースの方は名鉄佐屋駅に向かうことになるのだが、そちらに行かれたのは4名のみであった。
 木曽川左岸堤を歩くが、車は通らない、他に人もいない。木曽川の広大な風景に気持ちも和み、自由気ままにのんびり堤防天端を歩く。このように気ままに歩ける場所は少ない。立田大橋から約2.5km歩いたところで堤内側へ降りる。堤防下にある安泉寺というお寺さんへ行く。トイレの使用が事前にお願いしてある。お寺さんの好意で冷たいお茶も用意されていた。少し汗ばんできた体に、冷たいお茶は本当に快い。本堂の階段に座り、88歳の住職より、境内に立っている「大成庄遺跡」碑の説明を聞く。和やかな雰囲気である。
 ここからは木曽川を離れて、天王川公園を経て、津島駅へ向かう。この途中でもYさんから、その場所場所にあった話を聞く。こうして約6時間、17kmのウォーキングを楽しく無事終えた。

 冒頭から何の説明もなく、平成19年6月2日に開催した一宮友歩会の第8回例会「河川探訪シリーズ・木曽川編part4」の状況を紹介したが、ここで、広く市民に河川に触れあう機会を提供している一宮友歩会の活動を紹介したい。 

2.一宮友歩会
 一宮友歩会はウォーキング愛好家の交流に、平成12年12月に発足し、平成18年から会独自でウォーキングの例会を持つようになった。テーマをもった例会を企画しようということで、当面、「史跡巡りシリーズ」と「河川探訪シリーズ」を立案した。河川探訪シリーズでは、一宮市の北部、西部に沿って流れる木曽川をまず取り上げることにし、上流の犬山から下流の長島まで、4回に分けて歩くことにした。
 友歩会は、一宮市に拠点を置くというだけで、参加者に何の限定もない。一宮地区の人が多くなってはいるが、名古屋市や西三河地方はもちろん岐阜県や三重県からの参加者もある。今のところ、会員制はとっておらず、参加毎に経費として300円をいただいている。ただし中学生以下は無料である。
 こうした例会を催すには、事前に歩いてコース設定をする。できるだけ安全に歩ける道を探すのは当然であるが、それより重要なことは、トイレと昼食場所を見つけることである。100人前後の人が団体で歩くのであるから、1時間程度に一度はトイレが必要だし、昼食場所は雨天の場合も考えておかねばならない。これと見所をつないでコースができるのであるが、コースリーダーともなると1度ならず、2度、3度と下見をする。
 現在、偶数月第1土曜日を原則に開催している。毎月でも開催したいのだが、今はその体制になく、いつかはそうなりたいものである。
 
3.木曽川編part1〜3
 「木曽川編part1〜3」も簡単に紹介する。
 part1は平成18年5月4日、第2回例会として、一宮市の名鉄本線木曽川堤駅から下流へ、名鉄尾西線山崎駅までの21km、参加者は80名で実施した。宝江の渡し跡、河川敷内にある伊勢神宮遙拝所、堤防鎮護の守護神を祀る堤治神社、起渡船場跡、現役の西中野渡船、祖父江砂丘などを巡った。
 part2は平成18年11月4日、参加者84名でpart1の続きを下流に向けて歩いた。名鉄尾西線森上駅より祖父江砂丘、馬飼頭首工、葛木水位観測所から津島神社を経て津島駅に向かう19kmのウォークであった。この日は、尾張七福神の内6つの七福神を参拝した。
 part3は平成19年2月3日、part1より上流に向かう。木曽川堤駅より愛知県側の堤防を犬山まで、19kmである。寒い時期ながらも参加者は104名、初めて100名を越えた。木曽三川公園として、また遊歩道として整備された堤防を、時には早く、時には気ままにゆっくりと歩いてもらった。野鳥公園では、その中で蛍を飼育している「一宮平成ホタルの会」の会長さんから、ホタル育成活動について説明してもらった。
 そして、最初に紹介したpart4となるのだが、これで犬山から長島まで、木曽川距離標で約50kmのウォークとなったのである。しかし、いずれの時も体調や都合に合わせて途中で帰ることができるショートコースを設けて実施した。

4.最後に
 河川探訪シリーズは良い提案であったと思う。コース設定も基本線が決まっているので比較的楽である。河川沿いには史跡や見所も結構ある。一般市民の方が河川に沿って歩く機会は、それほどあるわけではないので、興味を持って参加していただける。また、木曽川編のように4回参加すれば、犬山から長島まで、普通ではとても歩かない距離を歩いたという達成感も得られる。河川についての啓蒙にもなるなど、いろいろ利点が浮かぶのである。
 次回からはしばらく木曽川を離れて、日光川を歩くことになっている。毎回のことながら、どんなコースができ、どんな出会いがあるか楽しみである。


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