zu051
災害への備え
地震が日本各地で頻繁に起こり、土砂崩れなどの災害ニュースも相変わらず多い。今年の10月から緊急地震速報も出されるようになり、何か目前に迫ってきた感じにとらわれる。特に東海地方の人は、発生が近いと想定されている東海地震、東南海地震の対象地である。また私の勤める会社は、土砂災害や洪水など自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化(ハザードマップ)する業務も行っており、常にそんな話が飛び交っている。 私のホームページの「伝えたい話・残したい話」(話・話)の中で、最近災害関連の話を5回ほど取り上げていた。その話を題材に少し修正を加えて綴ってみたい。 ***************************** ◎第825話(平成19年9月21日掲載) 9月1日は防災の日、更に9月は台風の襲来時期、それにちなんでこの時期、マスコミでは災害に対する話や特集も多くなる。 “わが家は地震や風水害、火災に備えて、それぞれ災害マニュアルを作っている。 地震への備えは、まず食器棚を金具で固定しておくこと。屋内にいて地震が起きたら、すぐにテーブルの下に隠れる。隠れる余裕がない時は、座ぶとんや枕などで頭を保護する。2階にいる場合は下におりない。はだしで歩き回らず、スリッパなどの履物を着用。ガスは必ず元栓を閉め、火災が発生するのを防ぐ。 風水害に対しては、懐中電灯やラジオを準備しておく。台風のニュースを聞き、むやみに外出はしない。断水になることもあるので、飲料水を確保しておく。窓ガラスが破損しないように雨戸を閉める。鉢の植木は軒下に入れる。 火災に対しては、家の周りに燃えやすいものを置かない。天ぷらを揚げる時はその場を離れない。電気器具は使用説明書を読み、たこ足配線はしない。消火器の使い方を知っておく。 私は万一に備えて以上のことを心掛けている。備えあれば憂いなし。何事もあわてずに、行動したいものだ。”(9月5日付け中日新聞) 岐阜県不破郡の農業・渡辺さん(女・72)の投稿文です。この短い文で、地震、風水害、火災に対するかなりのことが盛り込まれ、まさにこのままマニュアルである。このマニュアルを参考に各家庭に応じたマニュアルを作ることもできる。 ◎第826話(平成19年9月23日掲載) “今夏は台風襲来による勧告で避難しました。これより前の春にも地滑りで避難しましたが、実際避難しようとすると何を持って行くか分からず、手間もかかりました。しかしこれらの避難で貴重なことを学びました。それは各家庭が避難訓練の必要性を感じ、年1回ぐらいは行うことです。また、持参する物をメモにして整理しておくと、手早く避難できると思います。 さらに避難した場合は@ジーパンよりジャージーの方が軽く、そのまま寝られるAスプーンやフォークを入れたキャンプ用セットが便利Bハンカチがアイマスクになるなどが分かりました。 最後に、災害を防ぐため現場で頑張る人たちに感謝の気持ちを忘れないことも大切です。”(9月9日付け中日新聞) 土岐市の自営業・水野さん(男・53)の投稿文です。マニュアルを準備し、年1回位は避難訓練をする、納得である。でも難しい。難しいというのは、大きな災害にあうのは生涯に一度あるかないかの出来事であるからである。でも新聞等では毎年日本のどこかで起きた地震、水害などの災害報道が何回も出されるが、それでも他人事である。最近の新聞で、住民の災害訓練を行ったが、全くだらだらした態度で主催者がいらいらしている話を読んだが、これなどもその証明である。体験して初めて自分の問題となる。 私の場合で言えば、最大の災害体験は伊勢湾台風である。それ以来もう50年近くたつ。でも台風が近づくと聞けば、かなりの準備をする。体験の効果は大きい。今度予想されるのは東海地震である。被害を受けるような地震の体験はない。地震は一度でほとんどすべてをなくすほどの被害を及ぼす。体験が良い勉強などと言っておられるようなことではない。 ◎第542話(平成19年2月17日掲載) “昨年12月、重い腰を上げて名古屋市が実施している無料耐震診断を受けた。我が家は昭和42年築の木造平屋建てだ。 明けて1月中旬、診断結果の報告を受けた。「総合判定(判定値)0.65(結果)倒壊または大破壊の危険があります」と言うものだった。 診断結果をもとに知り合いの専門家に大雑把に見積もってもらった。市からの耐震助成金を上限60万円全額支給されたとしても、別に自己資金が100万円前後いるらしい。”(2月9日付け毎日新聞) 名古屋市の主婦・窪田さん(63)の投稿文。近い将来、東海大地震の発生が確実されている東海地方は、近年この地震対策で大わらわである。公共の建築物はもとより、企業、個人までその対応が始まっている。窪田さんが利用されたような無料診断も行われている。対策をすることに越したことはない。しかし、持ち出し用の保存食の準備、家具などの転倒対策などは比較的手軽に行えるが、建物となるとそう簡単なことではない。私も先日神戸の防災センターを見学する機会があった。地震の凄さを実感した。 ◎第603話(平成18年6月11日掲載) “先日、防災士講習会が開催されたので受講した。防災士はまだ私たちになじみが薄いが、自分たちの地域を自分たちで守ることを目指し作られた制度だ。 今回の講習会では、阪神淡路大震災で亡くなった人の八割が建物の倒壊によるものであったこと、また倒壊した建物は比較的古く、耐震補強がされていなかったことなどを学んだ。 災害の発生を防ぐことはできないが、備えを十分にすることで損害を減らすことはできる。そのためにも防災士の増加が望まれるが、まずは自分が早く資格を取って家族を守り、地域を守ろうと思う。”(5月30日付け中日新聞) 名古屋市の団体職員・鈴木さん(男・65)の投稿文です。 東海地方では大地震はもういつ起きても不思議でないと、騒がれるようになって久しい。そういっている間に思いがけない地方で地震が起き、かなりの頻度で地震速報がテレビなどで流されている。地震国日本で地域を特定するのは無意味の気がしてくる。 鈴木さんが言われるように、我々にできることは知識を得て対策を取っておくことであろう。講習会や防災訓練に参加する、さらには鈴木さんのように防災士の資格を取ればなおよい。 実はつい先日、築60年の我が家も耐震補強工事をしてもらった。外観からの耐震診断では「倒壊または大破壊の危険有り」であったが、起震機による測定をしてもらったら意外に良くて、勧められる対応も簡単だったのでしてもらった。どんな場で地震に遭遇するかは分からないので、対応に十分と言うことはあり得なく、常の心がけが大切であろう。そして隣近所、身近な人の協力も大切である。 ◎第817話(平成19年8月27日掲載) “「男は『いざ』という時頼りにならないので、自分と赤ちゃんの身は母親が守りしょう」。弥富市で開かれ乳幼児の親を対象にした防災講座で、講師の女性がきっぱり言った。 自分自身、福井で勤務していた昨年7月、近くの川が大雨で増水し、付近に避難勧告が出ている中で取材のため妻子を家に置いて深夜に出掛けた経験がある。話を聞くうち、当時生後4ヵ月の長女を抱えた心細そうな妻の表情がよみがえった。 消防署員や警察官、自治体職員、インフラ関係の会社員など災害時に仕事に出掛けなければならない人は意外と多い。そうした人たちの家族は不安も大きいはず。講師は「妊婦や、赤ちゃんを抱えた被災者は災害時要援護者と同じ。助けてもらえるように、普段から近所の人たちに協力をお願いしましょう」と呼びかけていた。”(8月15日付け中日新聞) 「ぺーパーナイフ」という記事欄からです。「男はいざという時頼りにならない」という言葉に、男性はここまではっきりと女性に見放されたかと愕然としたが、よく読めばそうではなかった。災害時などの緊急時に家庭をかえりみず仕事に出かけねばならない男性は意外に多い。そしてそんな男性のいる家庭は、弱者な家庭とは見られておらず、災害時要援護者などには数えられていないだろう。この女性講師はそこをつかれたのである。確かに落とし穴、見逃されている部分である。そしてそこまで行政等に望むのは無理と、近隣の助け合いの重要さを呼びかけられたのである。 実は私も定年まではそんな職場であった。台風などの予報が出されると、早くから自宅の対策をし、帰ってこられなくてもいいようにして出勤していた。今はその必要もなくなり、その負担の大きかったことを実感している。 **************************** つい10月16日、「迫り来る巨大地震に備えて」という防災講演会に参加した。@巨大地震はいつ、どこで起きるのか分からないのが現状である、Aほとんどの人が巨大地震の近いことを知っているが、対策をしている人は半分以下である、B自主防災組織の組織率は100%近いが、参加率は40%に満たない、などの話があった。ここに記した話の裏付けのようであった。 「話・話」の私の意見は、一部修正もあるがほとんど掲載したときのものである。こうして連ねるだけで、まずいながらも一つの文章が形成できたのは面白い。でも面白がっている話ではない。 (平成19年10月25日) |