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グラウンドワーク・第8話
C   S   R  (U)

 私の勤めている会社は、できることからCSR活動、つまり社会貢献活動を進めていこうということで昨年(平成18年)10月に、NPO法人グラウンドワーク東海に企業の協力会員として入会した。
 入会してまもなくの12月2日、名古屋港ポートビルにおいて開催された「グラウンドワーク東海設立10周年記念フォーラム」に、私の他に会社から3人の人に参加してもらった。グラウンドワーク活動を知ってもらうのにちょうどいい機会である。1人には朝から会場設営にも加わってもらった。午後からのフォーラムでは9活動団体および2人の活動が報告された。また、19団体の活動紹介のパネル展示もあった。3人には今まで無縁の世界であったようなので、新たな感動をもって受け入れられた。アトラクションとして抽選会があり、1人に松阪牛が当たるという余録もあり、大いに盛り上がった。
 フォーラム後発刊された「グラウンドワーク東海10年の歩み」という冊子では、企業会員として紹介(広告)もされ、いよいよ世に出ることになった。そして、私は12月6日の社内研修の折、30分ばかりグラウンド活動について話をさせてもらった。


 しかし、実践活動をしないと、なかなか意識が高まらないし、社会貢献をしているという実感も起きない。そこで、今年に入って実践活動をすることを提案し、事務局となっているK課長と検討を始めた。その結果、まず会社近くの道路清掃から始めようということにした。そして、4月1日、活動目的を「職場周辺の中区大通り歩道を清掃し、この清掃活動が地域に波及し、職場周辺がゴミ一つないきれいなビジネス街となり、働きやすい環境の創造を目指す」と大上段に掲げ、「グラウンドワーク・パスコ(略称・グランパス)」を立ち上げた。グラウンドワーク東海へは、企業協力会員から地域活動団体へと登録替えをした。

 
第1回目の活動日を5月16日(水)、業務終了後の5時半からとして準備を始めた。軍手、火ばさみを購入し、腕章も作製依頼をした。名古屋市の環境事業所へも説明し、ゴミ袋の提供、集めたゴミの収集等協力を仰いだ。会社は名古屋市中区の桜通りと伏見通りの交差点近くにあるので、そこを中心に、桜通りの名古屋駅と久屋大通(名古屋テレビ塔)の間、伏見通りの名古屋城と白川公園の間とし、約4kmの歩道のゴミ拾い、草取りとした。参加は自由意志とし、4月末から参加者を募った。
 そして、5月16日を迎えた。事前申し込みは22名であったが、当日には31名が集まった。20名程度の参加者がほしいと願っていたので、期待以上である。もうこれだけでも成功である。初の集まりということで、まず発足式を行った。実行委員長が挨拶、経緯を説明する。次に私がグラウンドワーク活動、および今日の作業の進め方について簡単な説明を行なった。清掃範囲を7地区に分け、1地区を4人前後のグル−プで担当することとする。そして、ゴミの状況を観察しながら約20分かけて最終地点まで歩き、ゴミを拾いながら出発地の会社に戻るなどと説明した。K課長が軍手、腕章、火ばさみ、ゴム袋を配布し、更に細かな注意点を説明する。勢揃いの記念写真を撮り、5時50分頃いよいよ出発である。
 私も久屋大通方面のグループに加わった。説明したとおり、状況を観察しながら約20分かけて久屋大通まで歩く。そして、帰りながらゴミ拾い開始である。燃えるゴミと燃えないゴミを分けて袋に入れる。たばこの吸い殻、空き缶、ペットボトル、紙袋、雑誌等々、中程まで帰るともう袋が満杯である。草取りどころではない。袋がいっぱいになると結構重い。40分ほどかけほうほうの体で会社に戻る。もう薄暗い。汗もいっぱいかいている。
 7時から1000円会費による懇親会である。グラウンドワーク東海の合言葉「右手にスコップ、左手にビール」通りの計画である。皆満足感でいっぱいである。いろいろな報告が出される。改善の提案もある。第1回目にしては大成功である。


 
その後、K課長が社内用のホームページでこの活動報告をした。どのような反響になるだろうか。その報告の中に、参加者の声が掲載されたので、その一部を紹介する。
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 ◎(男性)エントランスの掃除をしている会社とそうでない会社ってゴミを拾っていると分かるものですね。生産性と相関とれるかなぁなどとブツブツ言いながらゴミを拾っているうちに、あっという間に辺りが暗くなりました。腕章が目立たずちょっと怪しい目で見られた瞬間がありました(それとも単に僕が怪しいからでしょうか)。街は綺麗になるし、歩くことで健康にもいいし、地域社会へのアピールにもなるし、いいことづくめの活動だと思います。この活動の今後が楽しみです。
 ◎(女性)私は、会社西側方面の名古屋駅へ向かってゴミを拾い歩きました。最初は、会社帰りのOLやサラリーマンが多い中、抵抗感がありましたが、班の方々と一緒に話しながらゴミを拾いつづけて行くうちに、なんだかゴミを見つけるのが楽しくなりました。これなら、「次回も参加しようかな?」なんて気持ちにもなりました。ゴミを拾い終えて感じたことは、やはり圧倒的に「タバコのポイ捨て」が多いことですね。
 最後に、愛煙家の方々に一言・・・社会人のマナーです。「タバコのポイ捨て」辞めましょう。
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 私がこの活動の一番の効果は、参加者自身にあると思っている。少しでも社会に役立ったという心地よさ、そして、こういう活動をすると自身がゴミを捨てなくなることである。また平生はあまり話す機会のない社員の交流にも役だったようである。
 当面年2回程度の活動なので、こうして大げさに書くほどのものではないが、でもこの小さな活動でも、継続すれば大きな効果を生むし、またこれがきっかけでどのように発展になるかもしれない。私も男性の声のように、この活動の今後が楽しみである。
                                (平成19年6月10日)


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