zu040
タミーノの「熱田・伊勢初詣でウォーク」


  知人のタミーノ氏から熱田伊勢ウォークに参加した感想文をいただいた。
 折角の文である。氏の了解を得て、ここに掲載させて頂く。 
ウォークの魅力が 十分に記述されている。
これからの人に大いに参考になると思う。
  こうした理解ある知人を持つと言うことは嬉しいものである。
この場を借りて今後の支援もよろしくお願いしたい。


「熱田・伊勢125キロ初詣でウォーク」に初めて参加した。この大会は第2回目である。4日間連続のウォークであるが、初挑戦でもあり、今回は第一日目の全ウォーク(29km)と四日目のショートウォーク(14km)に参加した。

 第一日目、熱田の「七里の渡し跡」を過ぎてからは、しばらく工場地帯の単調な景色が続いた。旅は道づれと言うし、単調さをまぎらわすため、いっしょに歩いている人たちに声をかけながら歩く。
 大会の参加者は、背中のリュックに名前や県名やスローガンを書いたゼッケンをつけている。そのゼッケンを見て、名古屋から参加したという70歳代の元気のいい女性に声をかけた。この人は、ウォーキング発祥の国オランダを始め世界各国のウォーク大会にも参加した実績を持ち、兵隊と一緒に歩いた経験など楽しい話をいろいろ聞かせていただいた。話をもう少し聞きたかったが、信号が変わったところで、私を置いて先に行ってしまった。

    

 また、徒歩で九州を一周した男性を見つけ、後ろについて歩くフォ−ムをまねてみた。ウォーキングの秘訣が盗めるのではと思っていっしょに歩いてみたが、以外に普通の歩き方で、他の人の歩き方と変わらない。この「普通」が極意かもしれない。
 また少し行ったところで今度は、地球ふた回りする距離をすでに歩いたという人にあった。どうやって歩いたんだろうと思うと、想像するだけで気が遠くなる。全く脱帽だ、恐ろしい人がいる。
 歩き始めて2時間、名古屋を出てよく晴れた濃尾平野の水郷地帯を気持ちよく歩く。わたしの後方から、楽しそうにワイワイ言いながら私を追い抜いて行くグループに会った。そのグループのリーダーは、一見農協の幹部風の男性だ。よく日焼けした人の良さそうな顔つきのその男性は、豪快な声で周りの人たちを笑わせていた。からだを横にゆらしながら歩くその人のゼッケンをみると「福島県」と書いてあった。ああ、こんな遠くからも来ているんだと感心した。この大会には、北海道や九州からもたくさん来ていた。
 さて、ウォーキングする人の中には、ただ目標に向かってまっすぐ歩く人もいるが、いろんな人と会話をしたり、時には立ち止まって観察しながら歩くのもけっこう楽しい。

 四日目のショートコースでは、地元のガイドによる説明を聞きながら少し歩いた。ひとりでは見過ごしてしまうような名所・旧跡などを楽しく観光案内していただいた。初めての土地を歩くときにはありがたい。
 ガイドは、地元の役場に勤める公務員さん。この人は、感心するほどの博識だった。歴史・風土はもちろん観光や行政などを詳しく説明していた。また、どんな質問にも丁寧に答えてくれるので、おかげでこちらの知識も広くなった。
 長距離のウォークでは、長距離のウォークならではの景色の変化が楽しめる。いつも見慣れている養老山脈のなだらかな輪郭が、桑名ではおわんをかぶせた形に変わる。同じ山でも、見る場所によって形が変わるものだということを実感した。さらに、聞こえてくる言葉も、名古屋弁から桑名・伊勢の関西弁へと知らず知らずに変化していくのも面白い。
 斎宮から内宮までの街道沿いには、軒先に板の暖簾をかけたような独特の「軒がんぎ板」や「妻入民家」が見られた。また、どの家にも「笑門」や「蘇民将来」と書かれた注連縄(しめなわ)が一年中飾られている。珍しいので、カメラに撮る。

          

 一方、変わらないものがあることも歩いて気づいた。ひとつは、訪れた土地の人が持つ旅人に対する好奇心である。だいたい声をかけてくるのは年配の女性で、「どこから来たのか」「なぜ歩いているのか」そして「がんばってね」と、行く先ざきで同じ質問をうけた。こちらが、「125キロの道を名古屋から歩いている人もいる」と言うと、みんな「へえー」と驚く。だが、その顔は「なんと物好きな」と言っている。名古屋から伊勢に嫁いで来たという地元の女性は、なつかしそうにふるさと名古屋の話しを聞かせてくれた。
 もうひとつ変わらないものを見つけた。自然と伝統だ。スタートの熱田神宮とゴールの伊勢神宮は、ともに深い森と巨木に囲まれ、ともに厳かな空気に満ち、そして、ともに変わらぬ市民でにぎわう初詣の華やかさがあった。

 さて、歩く楽しみに、訪れた土地の名物を味わうことがある。これだけ歩けば、おなかがすく。桑名では、「七里の渡跡」の近くにある、地元で人気の「回転すし」へゴールとともに直行。昼どきは長い行列ができるそうだが、さいわい時間が過ぎていたのですぐ席にすわれた。この店は、地元の魚の卸業者が始めた店らしい。名物のハマグリや新鮮でネタの大きなマグロのにぎり、そして磯の香りがいっぱいの「はまぐりの吸い物」が安くてうまい。とても名古屋ではこの味をこの値段では食べられない。大満足して店を出た。また、伊勢の宮川に昔からある茶屋で、やわらかい「へんば餅」と「赤飯」、内宮のおかげ横丁では「てこね寿司」と「みたらし団子」を味わった。しかし、名物「赤福」と「伊勢うどん」は、残念だが次回の楽しみにとっておくことにした。

 今回、2日間のウォークを無事に完歩することができた。そして多くの満足感を味わうことができた。これができたのも、なんといっても大会を運営された関係者のおかげである。この「熱田・伊勢125キロ初詣でウォーク」を計画し実行したスタッフの熱意とご労苦に大きな声でブラヴォー”と言いたい
 特に、ルートの交通安全やトイレの確保、参加者の予測、気になる天候など大会の準備はさぞや大変だっただろうお察しする。加えて、当日のポイントごとの人の配置、さらに、愛知県と三重県にわたっての広域開催の調整など、いろいろな問題を乗り越えての開催だったと思う。おかげで、快適に安心して歩くことができた。スタッフの皆さんに心から感謝しなければならない。

 ウォーキングを始めてから半年たった。ウォーキングを始めたのは、ごたぶんにもれず生活習慣病のイエローカードをもらったのが始まりだった。しかし半年経過した現在、医者が感心するほどのスピードで、検査の数値はすべて正常値にもどった。いま歩くことが段々と楽しくなってきた。来年もまた参加しよう。

                                              (2006.1.17)

川柳&ウォーク