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還暦同窓会

                       
  私は今年60歳、還暦である。今の時代、還暦を実感するのは定年退職であろうか。60歳は一昔前ならこれで現役引退であろうが、長寿社会となった今はそんな時代ではない。還暦の意味のごとく、再び生まれ変わるのであり、第二の人生の出発である。
 しかしながら、人生の節目であることに違いなく、この機会にいろいろな行事が行われる。こうした中で行われた同窓会について書いてみる。

 まず、中学校の同窓会が11月5日(土)、6日(日)と宿泊付きで行われた。伊勢神宮の評議員をしている同窓生がいて、彼の誘い、世話で「伊勢神宮参拝還暦同窓会」と名を打って行われた。中学校の同窓生は総勢108名の小さな田舎の中学校である。もう7名が亡くなっている。宿泊参加者は17名、6日だけの日帰り参加者は11名であった。中学校の同窓会は3年前から毎年6月に開くようになり、その時は30名前後であることと今回は宿泊付きのことを考えると、かなり多い参加者である。5日は地元からバスで行くだけで、車中の歓談、夜の懇親会であった。そして、翌日はあいにく雨の日となったが、バスで内宮、猿田彦神社、外宮と参拝する。評議員の同級生のおかげで、御垣内参拝などどこでも手厚いもてなしを受けた。実は私はこの同窓会の会長ということになっており、代表で玉串奉奠などもした。皆なかなかできない経験に感激して帰宅した。

 翌週の11月13日(日)は高校の同窓会であった。中学校は同級生だけの同窓会であったが、こちらは高校全体の同窓会であった。そして、その同窓会の世話を還暦となる年の学年が行うことになっていた。私はこの同窓会には今まで一度も参加したことがなかったが、この役割に参加者の勧誘が行われ、私も初めてながら参加することにした。同窓会は名古屋市内のホテルで行われた。対象者は何万人にもなるだろうが、参加者は300人弱で、半数近くは担当年の人である。これでは担当年は人集めをしなければならない。そして、一部は全体を、二部は同級生のみの会となっていた。
 私が出るにはもう一つ理由があった。実は同窓会誌が毎年1回9月に発行されていて、その中で随想を担当年が書かなければならないことになっていた。役員は書いてくれる人を探すのに苦労していて、私にも指名があり、一度は断ったが結果的に引き受けてしまった。これを書いた手前もあって出席せざるをえなかったのである。まあ、これも還暦ゆえのできごとであろう。

 さてこうなって小学校の同窓会はどうなるのだろう。これも実は、といわねばならないが、実はこちらはずっと私が幹事長で、私が勝手に案内を出して勝手に開いているのが実状である。中学校の同窓会を毎年開くようになって、小学校の同窓会はもうここ5年ばかり開いていないのである。中学校を開けば対象に入らないのは、他の中学校に行った2人のみである。2人といえども寂しく思っているだろうし、また、中学校はあまり出る気にならないが、小学校なら出たいと思っている人もあるように見受けられ、高校の同窓会が終わって急に開催を思い立った。小学校は1学年1クラス、32人とまたまた小さな学校である。もう4名が亡くなっている。まず2人の都合を聞き、来年1月8日(日)と決めた。いつもなら往復はがきで案内するところ、これも思いつきで、4名に案内を出し、その中に連絡して欲しい人を指定した。私の手紙より親しい人から直接呼びかけてもらった方が、出席者が多くなるのではないかという判断である。そしてそれが見事にあたっている。従来なら10〜12名くらいであったが、もう18名の出席の連絡を受けている。開催が楽しみだ。

 還暦にかこつけて私の同窓会の状況を簡単に紹介したが、私に特に会いたい人や特別の想いがあるわけではない。でもお互いに同窓生を大切にしてもらいたい気持ちがある。長寿社会になってより思う。同窓会に出られる人は幸せと言われるが、確かにそれはあるだろう。学校時代にいい思い出のない人、今の状況が許さない人などあろうが、私としては少し無理してでも出て欲しい、きっと出てよかったと思えると思っている。いつも二次会に喫茶店へ行くが、よほど都合の悪い人以外ほとんどが参加する。学校成績の良し悪しなど今ごろ何の関係もないし、今の状況など同窓生には関係ない。若かったころのなつかしく楽しかった思い出と今の悩みやこれからの生き方などを話すだけで時間は過ぎていくのである。
 往復葉書で同窓会の案内を出しても全くなしのつぶての人が幾人もあり、経費節減と手間の省略に案内の欲しい人だけに出すことを考えたこともある。しかし、小学校の同級生で「開催案内をもらっても出るつもりはないので今後は不要です」と以前書いてきた人が今度出席するのである。嬉しいではないか。状況は一定ではないのだ、変化していくのである。手間を惜しんではならない、いい勉強になった。

                                      (平成17年12月24日)