zu016 グラウンドワーク・第1話
大江川クリーン作戦

 わが町の広報で「大江川クリーン作戦」なるものが、今年も行われることを知って参加を申し込んだ。実は昨年誘われたのだが、都合が悪くて参加できなかった。



   案 内 標 識

      開 会 式


 11月9日(土)朝8時、12月中旬の気温という寒い日であったが、長靴に防寒着姿でゴミ挟みを持って、集合場所の公園に自転車を走らせた。着いてみればもうすでに多くの人が集まっていた。団体で、協賛企業として、個人で参加といろいろな人がいる。なつかしい人に何人も会った。今日の参加者は800人ということであった。開会式、注意事項説明のあと、それぞれの配置場所でゴミ拾いを始める。川の中へは降りやすいように仮設の階段が設置されている。私も川の中へ降りて、用意された袋に持ってきたゴミ挟みでゴミを拾っていく。堤防上では小学生や女性が清掃をしている。作業は1時間ばかりで終わった。その後用意されたおにぎりと芋煮をいただいて散会となった。


清掃状況


 大江川は一宮市の中心部を南北に流れる用水路である。平安時代の尾張の国司・大江匡衡(まさひら)が開削したと言われ、氏の功績をたたえて名付けられたと伝えられる。一宮市ではこの大江川沿いに緑道を設置し、昔からの桜350本と共に四季を通じて憩いの場所として整備してきた。しかし、川の流れは生活雑排水で汚れ、ゴミも多く捨てられる状況が続いていた。
 そこで、整備された大江川にふさわしい環境にしようと住民の方が立ち上がられ、平成11年9月に住民、企業、行政の11名で構成される「グラウンドワーク一宮実行委員会」が設立された。目的は生活雑排水で汚れた大江川を美しくし、この活動を通じて地域住民の環境への関心が高まり、ゴミの投棄防止と環境改善につながればと期待しているとある。そして、活動は「大江川クリーン作戦」と称して、約2kmの川底と遊歩道の清掃とされた。
 平成11年11月に第1回目の清掃活動がなされ、今年で4回目であった。終わった後、いろいろな人が地域住民の環境意識はかなり高まってきていると話されていた。事実、自転車とかタイヤなど大型のゴミはほとんど見かけなかった。



  綺麗になった大江川緑道

    芋煮のサービス


 私がグラウンドワークなる言葉を知ったのはまだ昨年のことである。仕事の上で知り合った建設会社の社長さんが「グラウンドワーク東海」の会長さんであったのである。会う度にグラウンドワークについて熱心に話される。私も地域活動に少し興味を持っていたので自然に話を聞いた。そして、今年6月に名古屋で開かれた「グラウンドワーク・フォーラム」に参加した。160人ほどの人が熱心に活動報告や意見交換をされた。フォーラムなどと言っても静かなものが多いのに、その活発さに驚いた。

 グラウンドワークについて、少し長くなるがその時いただいた資料から要点を記述してみる。
 「グラウンドワークとは、地域を構成する住民・行政・企業の三者がパートナーシップを組み、グラウンド(生活の場)に関するワーク(創造活動)により、生活の最も基本的な要素である自然環境や地域社会を整備・改善していく活動です。従来のような行政のトップダウン的な地域計画ではなく、住民と企業を加えた三者の協力システムによって、地域の環境創造や改善のためのアイディアを出し、汗を流し、実践するものです。
 こうした運動はイギリスの農村で1980年代に始まりました。
日本では(財)日本グラウンドワーク協会が1995年に発足し、各地域の様々なグラウンドワーク活動を支援し、アドバイスをしています。
 グランドワークの三つのキーワードとして、@対立からパートナーシップへ A行政依存から住民参加型へ B保護から地域マネジメントへを挙げ、その実現のために@地域の環境をみんなで良くする運動 Aみんなで実際に汗を流す運動 B住民・企業・行政のパートナーシップによる運動 C地域の活動を総合的にマネジメントできる専門能力を持つ「中立的な地域組織」の存在の四つのポイントを挙げています・・・・・・」


 大江川クリーン作戦で会場に行ったとき、早々に会長さんに出会った。そして、大学生からグラウンドワークについて質問を受けていて、清掃のあと座談会を持つことになっているので、参加してみないかと誘われる。知るのにちょうど良い機会と了承した。そして大学生6名とグラウンドワーク東海側8名で3時間近く意見交換が行われた。学生側からは質問がまとめて提出されていた。
 @グラウンドワーク東海の組織概要と活動状況 Aグラウンドワーク東海のメンバー B地域における市民参加、協同に対する見解 Cグラウンドワーク手法 D事業評価
 などとかなり難しい質問である。それに対して、まず会長さんが一通り説明された。そして、グラウンドワーク三島がかなり先進的、代表的成功例であること、グラウンドワーク東海は参加団体数等規模も全国的に見てかなり大きいが、難しい状況に来ていることもわかった。最後に私自身の疑問点を尋ねさせてもらって会は終了した。
 地域環境整備が緊急・必要な状況になっていること、住民・企業・行政が対立したり、バラバラではいけないことはもう十分理解されてきている。今後グラウンドワークという手法がますます重要視されていくことは確かだろう。私のこれからの人生において、自分の中でうまく整理して積極的に関わるものにならないだろうか、ウォークや川柳と並ぶもう一つの柱にならないだろうかという期待がある。今の私にはグラウンドワークについて語る知識も資格も全くないが、そんな期待があって駄文をしたためた。これからまたグラウンドワークについて語るときが来れば幸いである。
                    (平成14年11月11日)

川柳&ウォーク