wah062
男滝・女滝
(おだき・めだき)
平成16年9月の一宮歩こう会の例会で、桃介橋から
中山道を通り、男滝・女滝まで歩いた。
男 滝
女 滝
吉川英治氏の著「宮本武蔵」の舞台として
取り上げられている部分を紹介する。
「 宮 本 武 蔵 」 吉川英治 ***風の巻・女滝男滝*** 「おらあ、峠に飽飽しちゃった。早く江戸の賑やかな所へでたいなあ。ねえお通さん」 お通は、牛の背から、 「いいえ城太さん、私はいつまでも、こんな人のいない所を歩くのが好き」 「ちぇ、自分は歩かないもんだからね。・・・お師匠様、あそこに滝が見えるよ、滝が」 「オオ、少し休もうか。城太郎、そこらへ牛を繋いで置け」 滝の音を心当てに、細道を分け入ってゆくと、滝つぼの崖の上には、人もいない 滝見小屋があり、辺りには、霧に濡れた草の花が一面に咲きみだれていた。 「・・・・武蔵様」 お通は、立札の文字を見て、その目を武蔵に移してほほ笑んだ。女男の滝とそれ は読まれた。 大小二筋の滝が、一つ渓流へ落ちている。やさしい方が女滝とすぐわかる。歩け ば休もうというくせに、城太郎は少しも落ちついていない。滝つぼの狂瀾や、岩間に ぶつかってゆく奔流の相を見ると、その水と自分のけじめが分からなくなったよう に、躍り跳ねて、崖の下へ駆け下りて いった。 |
久しぶりに「宮本武蔵」の本を開いて、この「女滝男滝」の
部分を読んでみたが、こんな部分があったのかと思うほどの
女と男の「情念」の箇所である。良い舞台である。