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熊野古道・ツヅラト峠

伊勢と紀伊の国境をなす峠。標高357m。 伊勢から熊野へ
向かう旅人は、この峠に立ってはじめて熊野の海を目にした。
ツヅラトとは九十九折のこと。 峠を越えると、紀伊長島町への
下りはカーブが連続し、木立の中に石畳が現れる。
江戸時代初期に紀伊徳川藩主・頼宣公が入国して
以降は東寄りの荷坂峠ルートに替わった。



          峠の東屋



ツヅラト峠から見た紀伊長島の町と熊野灘



   石畳道は200mほど残っている

紀伊長島側登山口より峠を見る



       見えてきた「熊野古道」の課題
          (2002年12月30日付中日新聞の記事より抜粋要約)

 2004年の世界遺産への登録に向けて、今月6日に国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦が正式に決まった「紀伊山地の霊場と参詣道(熊野古道)」。三重県東紀州地方の地元有志が11月末、古道として世界遺産の先輩格に当たるスペイン北部サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を視察した。

 熊野古道は三重、和歌山・奈良の3県にまたがり、かっては多くの巡礼が熊野三山などを目指して、この道を踏みしめた。このうち、三重県内で世界遺産の登録を目指すのは、馬越峠(海山町〜尾鷲市)や松本峠(熊野市)などの峠道や、古道に関連する史跡など21カ所。個々の峠道に石畳など古い遺跡が保たれているが、全体のルートは各地で国道や県道に姿を変えた。「祈りの道」として歩き通す雰囲気は乏しい。
 古道ブームで、週末の峠道などにツアー客を乗せた大型バスが目立つようになった。しかし、巡礼の姿を見かけることはない。
 「熊野古道は信仰の道とPRに努めているが、現状は石畳の風情や景色に頼るしかないのが実状」「関係自治体がいまだに”紀伊山地の霊場と参詣道”という共通認識を持っていない」「行政の壁に阻まれて、文化的な情報が思うように届かない」などの声がある。
 こうした現状で、熊野古道を訪れる人に何が提供できるのか。世界遺産の正式登録まで約1年半、地域には難しい宿題が残されている。


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