現代川柳を味わおう
ちたの風 第257号
(平成13年8月号)
雑 詠
着メロは乙女の祈り 返事待つ 和子
ブレーキをかけすぎ擦り減った心 靖一
健康な人などいなくなった街 八重子
森の中の石碑に思い馳せている 恵美子
味見して中元用のメロン買う 白紅
羽化すれば美しい蝶の筈だった 典子
夕食にラーメン食べに行く男 千津子
歩かねばなお暑くなる交差点 昌利
暑い日は熱いお茶が良いのです 英人
去ってゆく二人はとてもいい感じ 幸智子
休んだら涼しくなってまた走る 風子
ゆっくりと咲く花もある待っている 美保子
遠慮がちに炎天下をくる青アゲハ 愛
新聞もノートもゴミになる定め 和尾
東浦町文化展 出品作品
とき:6月9日(土)・10日(日)
ところ:東浦町文化センター
(昌利制作によるCG川柳)
(残り分については256号で紹介)
課 題 「 途 中 」
夢の途中で擦れ違う 一期一会 和子
途中下車したまま過ぎた数十年 靖一
治療中の薬が多過ぎる 八重子
途中には本屋があって遅刻する 千津子
行き先の経由を間違え途中下車 白紅
シャンプーの途中で届く宅急便 典子
パスポート忘れ途中で切り上げる 昌利
途中から可愛い猫がついてくる 愛
駅に着くまでに行き先決まらない 英人
途中まで話し相手のいた旅路 幸智子
動物園に来てから思い出す約束 風子
この道はまだ途中なのがんばろう 恵美子
蝉しぐれの合間を縫って人の声 民夫
ダイエットどれも途中で音をあげる 美保子
現実も途中できょうも暮れてゆく 和尾
(随想) 介 護 幸智子 友人の姑は少し痴呆が出て十年。家の中の無茶苦茶 ぶりとうって変わって、他人に対しては健常者と変わらぬ 応対をし、どこが痴呆?と信じてもらえぬ状態にほとほと 困惑していた。このときの要介護認定は2であった。 ところが、昨年末に転んで骨折、寝たきりになりボケも 進んで要介護認定は5になった。憎い嫁を看護婦と勘違 いしてか「すまないねえ」「ありがとう」と言うようになったと いう。彼女曰く「義母には悪いが、元気なときよりこうして 寝たきり状態になった今の方が、私の心は落ち着き、優 しくなれる。一方が小さくなると一方はどこまでも優ししく できるのだと痛感」と。 本当にそうだと思うが、毎日の介護は大変。私の義母 は要介護3。気候がいいせいかこのところ元気、草取り もしてくれる。夫曰く「前より元気になったみたい」と、 ・・・・・介護4年目の猛暑。 |
共 選 「雑 詠」
1席 しっかりと狭い畑にも根づく草 昌利
2席 あれやこれや真夏は汗をかくばかり 和尾
2席 にわか雨 あの人は駅に着いたかな 幸智子
4席 玄関の花も暑さに耐えている 八重子