現代川柳を味わおう

       第250号
         (平成13年1月号)

                  雑  詠 

留守電だからちょっと丁寧に喋る   昌利          
機嫌良くシャボン玉飛ぶ高く飛ぶ   幸智子         
     理由を問う 誰もとらない柿のこと   英人 
      出しそびれたお礼状の二、三通    八重子 


 
   写真で見た京都の竹林歩いてきた     白紅
私作ったキャベツは一個五百円     民夫 
二千年 最後の冬に白い雲      あきこ    
  くすり屋は紙風船の匂いして     典子    


    
 スペアーを確保してから使いきる    千津子    
杉木立の一本だけの紅葉樹     恵美子
      ケータイが鳴るとまさぐるこのバック    美保子   
 夕焼け富士が一気に落ちる闇の中    風子

 とりあえず布団を干すか晴れた朝     靖一        
こんにちは 乾いた街でのご挨拶 
 和尾          


              沢 英人が鑑賞する今月の2句  

  人はなぜ競うのだろう。
  晴れるの待って、競って歩き出す、マイ
 ペースで歩けばいいのではないか。
  人はなぜかそれができない、新しい世
 紀はマイペースで歩くことを取り戻したい。
  透明なきれいな水だと思っても安心で
 きない、そこにはどんな有害物質が混
 じっているかも知れない、それが現代。
  新しい世紀はきれいなものはきれいと
 読みとれる時代にしたいものだ。
              

課 題 「澄 む」

澄み切った久しい空よ秋終わり   ちづ        
茶を飲んで気付いた澄まし汁の味     靖一            

          川底の石が光ってみえる朝    風子
  
   私は澄んだ瞳に映らない     千津子

 澄んだ空の下だったのに行き違う     和子
      夜空澄み星座の横に月があり    典子

  澄んでいる音色だ街が活気づく   あきこ                
澄んだ空 寒くないのかお月様    民夫               

澄み渡る空があっても羽根がない   八重子

幼児の夢見た話を聞いてみる   愛
 澄んだ目にやがて戻っていく痴呆症     英人

              こだわりを捨てたところに澄んだ空    幸智子
                眼科医へ澄んだ瞳を買いにいく    昌利

 
   (随想)    万博プレコンサート 
                               英 人

    いろいろ紆余曲折はあったものの、愛知万博が12月15日
  博覧会国際事務局総会において正式に承認された。これから
  万博を盛り上げるために、愛知県およびその近隣県において
  さまざまな催し物が計画され、実施されていくだろう。
   ところが、すでに3年も前から万博開幕の日に、会場で第九
  を歌おうという計画が進められていた。そして、平成12年12
  月17日名古屋ドームで第3回目のプレコンサートとして、聴衆
  2万人の前で3千人の合唱団員が第九を歌い上げた。その中
  に私と風子さんもいたのである。私にとっては、聴衆の前で第
  九を歌うのは何年ぶりのことだろうか。少しばかりの 緊張感も
  あって気持ちよく歌うことができた。
   しかし、5年後の万博会場で私は歌うことができるのだろうか、
  かなりの困難を乗り越えていかねばならないが、これもひとつ
  の夢として新世紀を迎えようと思っている。


      

         

    共 選 「雑 詠      

1席  守れない約束があって年の暮れ  典子

    2席
  逆らってみても流れは変わらない   八重子

3席  
改札を通った後の忘れ物  幸智子

4席
  やることがまだまだあって十二月   民夫


第10回朝日中部川柳大会は平成13年3月31日
       朝日新聞名古屋本社15階朝日ホールで開かれます