ちたの風 第249号
(平成12年12月号)
雑 詠
どこがどう違うのかしら天の句は 美保子
紅葉の絵を壁に貼り付け秋に至る ちづ
友に会う 緑が黄へと変わる野で 靖一
紅葉を愛でることなく雪囲い 恵美子
書き留めていた紙切れが見当たらぬ 八重子
大拍手 聞き取れなかった初舞台 典子
老眼鏡 四つも持って恙なし 風子
苦手だがときどき歌う子守歌 愛
星空がきれいに見える帰り道 あきこ
夫が帰ってきたからと電話切る 和子
コスモスが風に揺れ 僕も揺れ 英人
たこ焼きが口に広がるもみじ狩り 幸智子
流されてまた流されて蒔いた種 民夫
朝市で赤かぶ売るおばあちゃん 昌利
約束を思い出したら眠れない 和尾
沢 英人が鑑賞する今月の2句
人間の習慣性は結構強いもので ある。いつもの習慣で朝刊を取りに 出ると、ない。拍子抜けした気分に いつまでも引きずられる。しかし、 こんな時毎朝新聞のある生活のあ りがたさを実感する。 その他にも人はそれぞれそんな 習慣になったものを持っている。 少し立ち止まり、価値を認識した り、また、反省したりするのも必要 なことである。 |
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信号が青になるのも私のことを 思って青になってくれると感じ、当 然のこととは思わない作者。そこに は感謝の気持ちがある。そういう 気持ちですごせば、いさかいも起こ らないし、生活も明るくなる。作者の ものの捉え方に感心する。見習い たいものである。 |
課 題 「新聞」
家得ても家のチラシを読んでいる 千津子
朝刊の時間には起きてます ちづ
挟んであるチラシのほうが重かった 靖一
朝刊が届いて夫起きてくる 八重子
新聞に載ってしまったわたしの句 典子
紙面には哀しいことばかり 冬へ 風子
新聞で包んだ大根よく煮える 愛
新聞の向こうに見える過去未来 あきこ
新聞紙にくるまれた小さな秋 和子
熱々の焼き芋くるむ新聞紙 白紅
妻は留守 ゆっくり新聞でも読もう 英人
新聞を丸めゴキブリ追っている 幸智子
新聞の運勢を見て立ち上がる 民夫
新聞を読みテレビを見る日曜日 和尾
(随 想) かち歩き大会 沢 英人 今年も岐阜県のある町の「かち歩き大会」なるもの に参加した。この大会は「飲まない、食わない、走ら ない」を規則に、25kmを歩くのである。私は自分の 体力・脚力を確認する機会と思って、精一杯歩いた。 そして今年もおおむね満足であった。 この年齢になるといろいろ衰えてくる。ひとつずつ 確認しながら、衰えたところを工夫しながら、なにご ともやっていかざるを得ない。いまのところ、知力が 一番問題のようだ・・・・・今に始まったことではない か・・・・。 |
共 選 「雑 詠」
1席 食べて寝て爪はしっかり伸びている ちづ
2席 あれこれとつもる話があるカバン あきこ
3席 てっぺんの柿は小鳥に残すかな 英人
3席 一番近い人と話をしていない 八重子