現代川柳を味わおう

        ちたの風 第247号
         (平成12年10月号)

                  雑  詠 

薬箱開けてちょっぴり長寿論   昌利          
冷房の部屋で地震のニュース見る  美保子       

        木陰には秋が来ている一休み  靖一 
      陳腐だと笑って幸せにもなれず  千津子 


    ミニトマト ポツンと熟れてもう九月  典子
挽回をしているような青い空  八重子 

出産を前の家族がよく集う   英人    
  産声の小さな体こわれそう  恵美子    

          いい年になっても怖い稲光  幸智子    
  犬小屋も雨漏りらしく犬叫ぶ   愛
        台風接近 爪だけは切っておこう  和子

雨・雨・雨 畑の芋は丸裸   民夫
 暑すぎて隣の庭木二本枯れ   白紅

つまらないことも年中行事です 
 和尾


              沢 英人が鑑賞する今月の2句  

  隣の芝生は青い
隣の茄子も気にかかる
数えてみてもなんにもならない。
しかし数えてみたくなる。

何気なくしてしまう仕草であるが、
そこに人間の性がある。作者はそ
んな性を何事もないようにサラッと
詠む。これが川柳である。
 私も子育てのことはもう昔のこと、
すっかり忘れていたが、この9月に
初孫が誕生、1ヶ月ばかり一緒に
生活している。こんなに大変だった
のか、母親(娘)にまだコーヒーを
飲んでいる余裕はなさそうだ。
 作者は二人の子持ち、もう余裕
がある。寝かしつけてコーヒーを
飲むのも技のうち。子育てを楽し
んでいるのだろう。楽しんで子育
てをしてこそ、良い子が育つ。
              

課 題 「珈 琲」

コーヒーはまずいがゆっくりできる店   風子        
オーイ珈琲なんて叫んだ夢の中   美保子            

          コーヒーは十年ぶりでこの自由   ちづ
  
   残雪の山を眺めてコーヒータイム   白紅

 真っ白な砂糖が闇に溶けていく   靖一
      珈琲の風抜けて来る曲がり角   典子

  コーヒーの苦さほどよく話進む   八重子                
妻の出す苦い珈琲に慣らされる    英人               

日曜のアメリカン 夫がいる風景   和子

暑い日に熱い珈琲などいかが   愛
 珈琲は口実 きみに逢いたいの   幸智子

              一杯の珈琲で三時間いる喫茶店    恵美子
                愛珈琲の味も分からず喫茶店    民夫

句会終え珈琲が待つ指定席    昌利
コーヒーを一杯飲んで始めよう    和尾


 
   (随想)    再び第九を歌う 
                               英 人

  私の住む近郊2市1町で「第九で21世紀を迎えよう」と、来年1月
 21日に第九の演奏会が計画され、5月から練習が始まっている。
 参加することを迷っていたが、誘いもあり、9月から参加を始めた。
 第九を歌うのは、もう7年ぶりのことになる。昔一緒にやっていた
 人も沢山いて、早速歓迎会を開いてくれた。
  「第九を歌う会」の初代会長として運営に苦労しただけに実に懐
 かしく、又、平生にこんな大きな声を出すことはないものだな、と改
 めて感じている。再び良い思い出 にしたいものだと練習に励んで
 いる。 
 
      

         

    共 選 「雑 詠      

1席  逆らえば流されそうな雨の音  昌利

    2席
  ぎ喜びの種をいくつか播いて置く   美保子

2席  
特急の後の普通で来る夫  幸智子

4席
  昼寝する未来のことは考えない   英人

4席
  出席に大きな○をつけました   和子

  

          (お知らせ)
        川柳みどり会主催の 『第9回センリュウトーク』
           平成12年10月28日
           朝日新聞名古屋本社15階朝日ホールで開かれます