川柳を味わおう

        
         
(平成12年5月号)

  平成12年4月9日 第242回の川柳東浦の会の例会を行った後、
   川柳東浦の会設立20周年と合同句集発刊の祝賀会を開いた。
ちたの風第242号は幸智子が祝賀会の模様を記し、
祝賀会の中で英人が行った合同句集鑑賞も載せ、
通常の5割り増しの18ページの冊子となっている。

             まず 英人の「合同句集」鑑賞へどうぞ 鑑賞

                                                                                                                     

          雑  詠          
                     
         

音階を転がすように サクラ咲く   風子

桜待つ自分の進路定めよう    ちづ

雑巾をぎゅうぎゅう絞る四月馬鹿    浪枝

捨てていく場所がない壊れた記憶   靖一

私の秘密の場所に出る土筆   八重子

冬と春 境目なきは落ち着かぬ    恵美子

笑っている父とわたしの遠い日日   愛

なにもかも洗いたくなる春うらら    典子

どの枝が幸せなのか 聞いてみる    昌利

タンポポの視野に旧友立っている    和尾

  

           沢 英人が選ぶ今月の2句 



席 題 「そして春」

満開の花の中には故郷が  風子                        
         
    食欲が出てくるさくらが咲いてくる  浪枝
新鮮なリズムが響きそして春  昌利                      
            
コート脱ぎ見栄も脱いで春に  英人  
日も長く空も明るく私に春  恵美子                       
            
ウグイス餅を三つ買うのが母の癖  愛
指定席離れてわかる春の影  ほしみ                     
             
電柱の真上の空も春なりし  和尾    

    
       課 題 「押す」
 

  電車から押し出された春の電車     風子
  ピンポーンと明るい客が玄関に     白紅
  押し返すものがあるから押せるのだ  靖一
  暖簾押す 今日の疲れを取るために  英人
  
決心がついたときだけ印を押す    幸智子
  ボタン押す 突然画面は花盛り       愛

  押し返す意気地もなくて曇る空      ちづ
  押さないでください 卵を抱いている   恭子
  押さえ消え肩凝りがひどくなる春だ   ほしみ

     押されたと思えば押している私     千津子
  みんなで押している夢のトロッコ    三千子
  キーを押す手にも油を射さなくちゃ    順子
  真っ直ぐに押すにはあなた弱すぎる   昌利
  
                                                      

      共 選 「雑 詠」      

1席  少しだけ不満はあるが春は来る   民夫

    2席
  当然のように食べてる目玉焼き   幸智子

2席  
友だちがたくさん寄って風となる   三千子

4席  よく笑う君の後ろが満席に   愛

5席  遠来の客に合わせて咲く桜    英人

 
 
                        祝 賀 会 の 模 様   

・祝賀会はお客様にも来ていただいて、22人の参加者で始まった。

・英人会長の「3,40才代という時期から20年という、人生でもっとも勢いのある年代に、一つのことを続けることができたのは非常にありがたいことであった」という挨拶から始まり、祝電披露に。民夫さんが代表しての和尾先生へのお礼の言葉と続く。 

・花束贈呈は6才のまきこちゃんより和尾先生へ、すべての仕事を引き受けてくれている八重子さんへ、東浦町文化協会の文芸部副部長として本会を側面から盛り上げている愛さんへと続く。

・会食中は昌利さん苦心の作「パソコンによるCGや動く句集紹介」や英人さんがホームページで「川柳東浦の会」や「ちたの風」を紹介していることを、ホームページのコピーで説明される。

・終宴に近くなるとお客様より1分間スピーチをいただく。突然の指名にもかかわらず、ユーモアたっぷりのお祝いの言葉が続く。

・終宴後、近くの桃山公園に、桜は満開、最後まで良い20周年記念の思い出につながった。 

                          (一部掲載  記・幸智子)