川柳を味わおう
ちたの風 第239号
(平成12年2月号)
沢 英人が選ぶ今月の2句
雑 詠
雨ポツリ咳もポツリよ二千年 風子
振り返ってみるつまずいた小石でも ちづ
泣きはじめは私が一枚かんでいる 千津子
賀状くる生きているぞと叫んでる 幸智子
顔を見て人を見て 判断されるもの ほしみ
友達の悩みは尽きぬ冬の雲 八重子
私小説 飾る余力は残しおく 昌利
人生とは 正月だから言ってみる 英人
小正月 なんども鏡の前を過ぎ 三千子
新聞に未来も少し載っている 和尾
課 題 「石」
この先はゆっくり石を磨きます 白紅
私の川に淋しい石転がり 風子
辛抱を教えてくれた庭の石 ちづ
二千年になったよ 石を積み始め 幸智子
石磨く石の硬さに負けている 愛
黙っている石の温かさと冷たさと 八重子
悔しいね 捨てた石に躓いて 昌利
木枯らしの通り道にある石地蔵 英人
庭石に引き立てられている万両 典子
雪に埋もれて春を待つ小石 三千子
母をもう歩けなくした石の道 順子
石投げる 波紋は池中に満ちる 和尾
共 選 「雑 詠」
1席 鳥の飛んでゆく方向に森の匂い 和尾
2席 街角は人で溢れる 病んでいる 三千子
3席 マニキュアの指で米をとぐ琴も弾く 典子
4席 友達が待っているから乗る電車 八重子
5席 ミレニアム 先が読めずメガネ拭く 昌利