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川柳連れ連れ草 20周年240号達成

 記 念 特 別 号



 平成14年1月からこのホームページ上で始めた川柳作品の掲載が、おかげさまで令和3年12月で満20年240号を達成できました。これも挫けそうになる私を投句で支えて頂いた参加者の皆さんのおかげです。
 5周年、100号と特別号を掲載しながら、その後は節目の時に何も作成しませんでしたので、今回はほんの一期間だけのものですが、寒い日を利用して作成しました。


 
2017(平成29)年1月から2020(令和2)年12月までの48ヶ月の課題から、1人20句を選び掲載しました。お楽しみください。掲載号で★印をつけたものはそのままつけています。



***  ペ 天 使  ***

ふるさとを歌えば山河見えてくる  
悲しみを連れ去ったのは春一番  ★
ふたっつの望み叶って神社へと   
御仏に抱かれてると祖母が言う   
生きますか?サプリメント飲んでまで 
わたくしの心を見抜いて春の風  ★
ツーカーで通じる友がひとりいる  
健康で賢い子にと名付けたが  ★
遠いけど会いたくなって旅支度   
実のなる木植え楽しみは遠い先  
転勤でふるさとの良さ倍になる   
去年より小さくなった旅土産   
子に希む半分だけは胸の内 ★
満点は母の夜食で取れたかも  ★
お互いに褒め合ったのは同じ靴 
神前で誓って守って今がある ★
夢で逢う約束をして床に入る  ★
諦めず一筋の道今がある ★
君達に会うたび優しい母演じ ★
苦も楽も命の限りついてくる  


*** ペ 天 使 兄 ***

悲喜ともに淡くなってくる齢  
一瞬を満たして花火闇に消え ★
大きな荷背負いきた道愛おしい ★
働く日抱いた悩みの数知れず
胃が痛む確かに僕は生きている ★
手を当てて手術の傷を癒しけり 
太陽の当たらぬ蔵に京人形 ★
永遠に赤紙のない世を願う  ★
この笑い笑いの意味を測りかね 
空中に停まって先を読むトンボ ★
次の世で謝らなければあの友に ★
語れない古傷ひとつ墓場まで ★
ふるさとを思えば心晴れてくる
誰からか名無き綺麗な年賀状
女房に言われて正す背の丸み
一筋を二人で歩みとも白髪 
君逝きぬ遺作の碗で茶を点て
日が経てば苦しみ癒えて思い出に ★
別れ際見せた素振りが気に掛かる ★
 電車待つ時間苦にせぬ齢になる ★



*** ペ 天 使 妹 ***

年明けに目標ひとつ増やします ★
わが心赤か白かと自問する  
若い日は追いかけて今追われてる
「ありがとう」言って言われて満たされる★
身の丈に合った望みか自問する ★
抱いていた夢も忘れて生きている 
初釜の一服みんなあらたまる ★
病得て今朝生きてるを実感す  
昇る陽と沈む陽に会い今日終わる
急流に流されかけた日もあった ★
友の意味教えてくれた友がある ★
遠いこと理由の不義理父母の墓  
遠い岸目覚めたあとの疲労感  ★
老いの身に夏草パワー羨まし    
胸借りた先輩があり今がある   
お互いに刺激しあった友いずこ ★
忘れてたこの引き出しにこの小箱 ★
夢多し夢のままなりあの夢も    
たくさんの君が居るから我があり  
別れ道次の一歩が明日の我    
孫を待つ改札口で背伸びする ★


***  橘  ***

後悔も迷いもリセットされて朝 
大まかに丸いが三つカドがある
バランスをとるため手加減されていた ★
案外と望みは忘れた頃叶う 
留守電の亡母の言葉を消せぬまま ★
惜しいのはゆらゆら迷っていた時間  ★
歌うのは母の声した雪女 ★
今ならばもっと上手に恋をする ★
八百のウソにホントを潜ませる
笑われる覚悟が楽になる秘訣 ★
子の好きな虫の図鑑を裏向ける 
旧姓で予約してみる一人旅 ★
お誘いのなかった会が今夜ある ★
苦労することすら甘美に見えた頃
「実はね」で始まる話に身構える 
この坂を登れば知っている道に ★
知る人のない町誰でもない私 ★
逃げ道を思いつつ書く誓約書  
いい夢をみてやる明日は面接日 
君の名を聞かなきゃ他人だったのに ★
子と親に捨てられここにいる私   
    


***  瑞 希  ***

芽吹く春古希の心に灯りつく ★
重ねみる悲恋のドラマ若い日を ★
若い日の溢れる思いもう一度    
思いたい私の心大きいと     
亡き夫の心を抱いて生きている ★
かしわ手をみんなでたたき福を呼ぶ ★
生きるとは山坂越えてまた越えて    
童謡はその日その時思い出す ★
木漏れ日が射す先にある夢希望 ★
若い日の思い出残る赤い帯 ★
内緒です誰にも言えぬ嬉しい日
折れかけた心を友に癒される  
真実を言わずに過ごす日もあるさ
ふるさとは心の中の母の顔 ★
この岸辺遠い昔のストーリー ★
弟と柿の実取った木も老いた ★
電話する言う事いわずまた電話 
お茶をする互いに傷はさわらない ★
誓った日変わらぬ愛は今もなお ★
幾度の別れを越えて強くなる   
子や孫に命のタスキ繋ぎます ★


*** 靖 坊  ***

昨日まで冬を歌っていたスズメ ★
流されていればそのうち海に出る ★
恋せよと若い自分に伝えたい ★
ジョッキからあふれた泡に未練無し
母の声むかしは大きかったのに  
私よりあなたのほうが私らしい   
握る手を探し続けている我が手 ★
嬉しいと素直に言えばよかったな  
足元の影法師だけが友達さ    
遠ざかる背中ばかりを思い出す ★
実をつけぬ花がいくつか咲いている ★
茂らねば刈られることもあるまいが   
思い出す旅の途中で捨てた夢 ★
昨日より今日は良かったなと思う
仕事始め誰もがうつむいて歩く 
青空が今日旅立てと言っている ★
勇気なく互いに言い出せない言葉 
誓わないいつも自由でいたいから 
一筋に歩いていれば迷わない   
分かれ道で別れたままの我が理想 ★
たくさんの命を食べて生きている ★

   
  


***  さ く ら  ***

年明けて新たな夢を探す朝 
アラフォーもガラスの部分ある心 ★
若いねと言われて歳を実感し ★
頑張った姿に力もらう夏 ★
満たされた思い出胸に前を向く
君想う気持ちあふれて海になる ★
どうせなら大きくみよう夢だけは  
幸せも苦労も生きる栄養に    
わたし色徐々に薄まり馴染んでく ★
手を伸ばし届く位の夢さがし    
再びの出会い嬉しい里の秋 ★
悩み事友の笑顔で吹き飛んで
横顔で君の気持ちを知る夕べ ★
離れてもふるさと感じる我が心  
胸はずむ角を曲がれば君がいる ★
君思う巡る季節の片隅で ★
言い訳をすればするほど積もる雪 ★
お互いに想う瞳に舞う桜     
忘れない桜の下の約束を ★
青春は夢のかけらをさがす旅
永遠に君の笑顔は胸の中  
苦しみも微笑みがえし秋の空 ★
明日見つめ命をつなぐ笑顔の輪 


*** くまちゃん ***

心ぞうがドキドキしたよかるた会 
母さんに怒られ僕は悲しいよ   
お母さん若く見えるも若くない   
父さんはとても力がある男    
つりぼりで大きい魚つりたいな  
生きることそれはとてもすばらしい
道ばたでわたしわたしと言うおばちゃん
参かん日手をあげるの緊張だ    
太陽が赤く大きく燃えている     
流れ星たくさんねがいかなうかな  
おみくじで大吉ひいてうれしいよ   
釣り竿の穂先にとまる赤とんぼ   
ひとつだけふたつだけねとあめ食べる
ふるさとで食べる鰻はおいしいな   
茂ってる森からくまが出てきそう ★
何買おう修学旅行楽しみだ    
ワンチーム仲間思いの男たち ★
誰だろう電話の父さんへんな声 
お互いに声掛けかけこむゴール前
今日こそは守ると誓う予定表   
怖い夢起きた瞬間わすれてる   
一筋のソーメンすする夏休み   
席替えで別れた友の背中みる   



***  桃  華  ***

明けてくる空に向かって深呼吸
悲しみが消え去った頃バスが来る
流れには逆らわずに来た長い道 
大風船いつかはじける空の青 
夢を抱く気持ちまだまだ持っている
生きている母の教えがてのひらに
私とあなた結んだ交差点 
嬉しいと声高になる喫茶店  
私から逃れていったトンボたち
夫のこと知り尽くすまで生きていく
悩み事ひとつ捨てればひとつでき
ふる里の風に出合った墓参り
その橋を渡って対岸までの旅 
旅に出て老後の生き方見つめてる
胸騒ぎ続いてボタンかけ違え 
取りあえず外の空気を吸いに行く 
言い過ぎて反省しきりの日々過ごす
お互いの人生語る老夫婦 
若い日の誓い月日が風化させ
夢を見た続き見たくてまた眠る
君座るとなりの席にいる私 
風吹けば風のいのちを感じてる
 

***  野のはな  ***

胸塞ぐ夜だが明けぬ夜はない ★
人生の節目に歌がついてくる ★
悲しみを越えていくとき強くなる 
受け流すことが上手になりました ★
溢れだす意欲この子の為ならば ★
きっと私も大きい葛選ぶだろ ★
あなたも私も誰かのために生きている
流されるようにここまで生きてきた ★
ほどほどの暮らし笑いの種もある ★
知りたくはなかったことの二つ三つ 
遠回りばかり選んでしまう癖 ★
実はここだけの話が歩き出す ★
目標がひとつあるなら大丈夫 ★
向こう岸優しい顔を思い出す 
夏草は茂るなぜなら夢の址 ★
胸張ってひとつ誇れるものがある
後ろから誰か来ている帰り道 ★
不器用に生きてきましたお互いに
夢のため今日も明日も靴を履く ★
苦しんだけれど階段上がってる
出来るまで待つのが母の役目かな
ひとつきりもらった命生かしきる 



********  英   人  ********

 
春の歌唄えば春を呼んでくる
どちらにも転ぶ心のままでいる
悲しみを知ると優しさ倍加する
流すもの流し身軽になっていこう
まだ若いと鼓舞して歩む老いの道
余生とて力を入れる明日のこと
満たされた言葉を日記に書いておく
あふれ出るほどあった夢は今どこに
大きめの夢抱いたままただ老いる 
いっこうに望みが減らぬ余生です 
春が来る歳相応の夢を抱く 
みんなから貰う言葉が活となる
若き日を偲んで歌う歌がある 
陽の当たる場所ですればいい会話
 
嬉しさと同居する老いの不安感
友ができ友が去りこれ人生さ 
黄昏れて名簿から名を消す寂しさ
人の死を知るほど持つ謙虚さ
遠くから眺める人が美しい
ひとつずつ記憶をたどり書く遺言
対岸に渡る日のこと考える 
余生とて新たな望み胸に秘め 
取り取られ繰り返し今ここにいる
お互いに見つめ合う目は変らぬまま
次々と誓って忘れて生き延びる
一筋が別れ別れて迷う道 
言葉なく別れる人が増えて冬
待つことになれた後半楽になる



  1号から見てみたらもう2号から参加されている人がある。例えば1号から参加されているとしたら、1回6句で240号は1440句となる。靖坊さんや瑞希さんはこれに近いだろう。ちなみに私は4627句となっている。継続は大きい。

 この編集をして驚いたのは、★印が皆さん(くまちゃんを除く)10数句になっていることです。私の感性で★をつけていますが、これほど均衡しているとは全く思ってもいませんでした。最近句の作り方について何も言いませんが、皆さん、知らない内に会得してもらっているのかな、と思います。

 そして、これらの句は俳句ではないし、狂歌や他の範疇のものでもありません。また、一般でいう川柳とは少し違うかも知れませんが、これも川柳です。いずれも真摯な、真面目な人生があります。川柳は人生を詠います。皆さん、この川柳で良かったという気持ちではないでしょうか。

 正月明けの寒い日に、2日がかりでまとめました。疲れましたが、いい時間を持てました。投稿者の皆さん、また次を目指して続けましょう。
   (令和4年1月)


川柳&ウォーク