*** ペ 天 使 ***
| ふるさとを歌えば山河見えてくる |
| 悲しみを連れ去ったのは春一番 ★ |
| ふたっつの望み叶って神社へと |
| 御仏に抱かれてると祖母が言う |
| 生きますか?サプリメント飲んでまで |
| わたくしの心を見抜いて春の風 ★ |
| ツーカーで通じる友がひとりいる |
| 健康で賢い子にと名付けたが ★ |
| 遠いけど会いたくなって旅支度 |
| 実のなる木植え楽しみは遠い先 |
| 転勤でふるさとの良さ倍になる |
| 去年より小さくなった旅土産 |
| 子に希む半分だけは胸の内 ★ |
| 満点は母の夜食で取れたかも ★ |
| お互いに褒め合ったのは同じ靴 |
| 神前で誓って守って今がある ★ |
| 夢で逢う約束をして床に入る ★ |
| 諦めず一筋の道今がある ★ |
| 君達に会うたび優しい母演じ ★ |
| 苦も楽も命の限りついてくる |
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*** ペ 天 使 兄 ***
| 悲喜ともに淡くなってくる齢 |
| 一瞬を満たして花火闇に消え ★ |
| 大きな荷背負いきた道愛おしい ★ |
| 働く日抱いた悩みの数知れず |
| 胃が痛む確かに僕は生きている ★ |
| 手を当てて手術の傷を癒しけり |
| 太陽の当たらぬ蔵に京人形 ★ |
| 永遠に赤紙のない世を願う ★ |
| この笑い笑いの意味を測りかね |
| 空中に停まって先を読むトンボ ★ |
| 次の世で謝らなければあの友に ★ |
| 語れない古傷ひとつ墓場まで ★ |
| ふるさとを思えば心晴れてくる |
| 誰からか名無き綺麗な年賀状 |
| 女房に言われて正す背の丸み |
| 一筋を二人で歩みとも白髪 |
| 君逝きぬ遺作の碗で茶を点て |
| 日が経てば苦しみ癒えて思い出に ★ |
| 別れ際見せた素振りが気に掛かる ★ |
| 電車待つ時間苦にせぬ齢になる ★ |
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