sotoku2
川柳連れ連れ草
100号達成記念 特別号
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靖 坊 暖まるほどに寂しいひとり部屋 (11) 永遠に終わらぬ留守番ひとり暮らし (71) 一人身のこたつにて我が春を待つ (87) 私も猫もひとりで食べている (89) 一人立つ丘の空には星無数 (99) |
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酒 仙 旅に出て夫婦の絆再確認 (86) ガンバレと腹の底とはうらはらに (88) 若者は逃げられぬよう手を繋ぐ (89) 講釈は自分に出来ず人にする (91) 好きな人顔を眺めて声も出ず (93) 観光地誰もかれもが二人連れ (95) 年とると待ちきれなくなる真心が (96) 人は人人の真似して気を使う (98) 僅かでも一人になると妻の顔 (99) 花が咲き喜ぶ人と泣く人が (100) |
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ぺ 天 使 君のこと忘れぬように桜咲く (15) 遠い耳世間聞こえぬおかげさま (26) 姫一人家来七人七五三 (35) 煙草吸うじいじが居ると告げに来る (41) 満開を見届けて吹く花嵐 (52) アレアレで通じる時もある夫婦 (64) 放す時は教えて欲しいつないだ手 (65) ラブレター貰った人と住んでいる (72) 昔から二歩だけ下がってついてきた (73) あと一つ夢叶ったら終わりとす (81) |
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ぺ 天 使 兄 結び目がどうにも分からぬ赤い糸 (15) 気にしつつ親には無沙汰してとおる (32) 故郷の山の小径は草に負け (37) 野の花を花見の客が踏んでいく (42) ままごとのママは真顔で話してる (54) 空の青水の青にも染まる我 (62) ブランコや人生いろいろありました (66) 咲いた夢枯れた夢あり古希近し (81) 朝歩き小菊一本野のみやげ (84) お祝いの卓に童は気取り顔 (96) |
ぺ 天 使 妹 浜辺行く我が足跡の不確かさ (26) 結論は空回りして夜が明ける (31) 演出があるかと見える蛍舞う (55) 別れ道なかなか賽が振り切れぬ (60) 風になって青空に君居るんだね (62) ひとりごと聞いていたのねレモンティ (63) 読むほどに解らぬ手紙暑さ増す (68) 珍しく返礼されていい日和 (80) あやしてるはずの幼子に遊ばれて (82) 帰りきた家に人あり灯りあり (83) |
(ぺ天使妹) ぺ天使さんを励ますつもりで投句させて頂くように なりましたのがご縁です。近年は「締めきり前でもいいので、早めに 提出してください」と連絡があるようになり、「ほっ」としています。 “川柳と言えるかしらと投句する” |
柳 立 花一輪見初めし頃も雨のなか (42) 年尽きる深い慚愧に咳三つ (48) 降りつつも我が身溶かして名残雪 (63) 形変えまた変えながら雲ひとつ (64) 墓なでて父母の名を読む手の熱さ (68) シンとして日記短く夜は長く (71) 雨やんで虫の音一つほっとして (81) 薄紅の乙女椿を唇を (86) 春なのにまた歯が抜けて淋しい日 (98) |
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悠 澪 哀しみも時が過ぎれば思い出に (39) 日が昇るまでが勝負と草を刈る (44) 井の中を飛び出す勇気ない蛙 (47) 森林浴死にたいなんて笑っちゃう (48) ハラハラとこんな私に花吹雪 (64) |
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美 智 優 ふと思う鏡の中に母の顔 (42) 強風を左右にかわしススキの穂 (47) 難問も明日解けるかも今日は寝る (55) 叶わぬなら出直すためにあきらめる (62) ライバルの前についつい背伸びする (98) |
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さ く ら ため息も溶けるといいね明日の朝 (49) 夜明け前新たなドラマうずいてる (52) 7月の予定書く手が弾んでる (54) 満月もいつしか闇に溶けていく (58) コスモスも君の笑顔も揺する風 (59) 年越しの蕎麦より嬉しい君のそば (61) 傘の花咲いて始まる梅雨の日々 (66) ラブレター心に永久保存済み (72) 子の夜泣き母は夢見る暇もない (81) |
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まつぼっくり 羽広げ飛んでくれればそれでいい(65) いい顔をしているほうがずっといい(70) 赤い靴履くとなんだか軽くなる(74) 水しぶき浴びてころがる子の笑顔(78) 不機嫌もカラリと乾きハッピーに(80) 夕暮れは私が私になれるとき(85) 夜が好き好きな人だけそばにいる(97) |
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野 の は な 曇り空赤いパラソルさして行く (90) 9回の裏が残っている勝てる (91) 妻たちの晴れの休みはこれからだ (93) じゃんけんに弱くていつも鬼になる (93) いえこれは欠伸の涙拭いただけ (94) エプロンをはずしてものを考える (98) |
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桃 華 明日にはしぼんでしまう赤風船 (25) さまよったときに私が帰る家 (27) いつものように朝の音から始まって (30) 温かいものが詰まった箱もらう (33) 狂ったようにボクに向かってくる落ち葉 (48) 散り際も楽しそうに舞うサクラ (52) 重ね合う手と手が少し増え始め (57) どの人もボクにカメラを向けている (57) 泣き声を見せないようにごあいさつ (69) 死ぬまでに必ずくださいラブレター (72) |
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英 人 期することひとつやふたつ 雑煮食べ (1) 夢という文字が浮かばぬあぶりだし (11) ススキの穂ゆったり揺れて平和かな (21) 炎天下生きて生かされ席譲る (31) 祖母に母 娘があって歴史です (41) 大掃除ほうきの先に残る未練 (51) 忍ぶこと慣れて夫婦という絆 (61) 枝たわわ辛い時には愚痴を言う (71) 秋迎え風はよし夢追うもよし (81) ありふれた花火にもある使命感 (91) |
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