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川柳連れ連れ草 
100号達成記念 特別号


 川柳連れ連れ草100号達成記念に下記要領で特別号を編纂しました。
●過去掲載の句から5〜10句を自薦して頂きました。句の後の数字は掲載号数です。
●100号に寄せる感想、思い出、抱負等を語って頂きました。
●参加者は第100号参加者としました。掲載順序は参加歴の長い人順としました。
 ゆっくりご鑑賞ください。   (平成22年5月2日)




靖    坊

暖まるほどに寂しいひとり部屋 (11)
永遠に終わらぬ留守番ひとり暮らし (71)
一人身のこたつにて我が春を待つ (87)
私も猫もひとりで食べている  (89)
一人立つ丘の空には星無数  (99)



 このアパートに越してきたのが10年前。川柳つれづれ草100号の歴史はまた私のひとり暮らしの歴史でもありました。毎月の川柳投稿は観客がまばらなスタジアムの中をぐるぐると走り回っているようなもの。このままグラウンドに倒れ伏すまで走り続けたいものです。



酒    仙

旅に出て夫婦の絆再確認 (86)
ガンバレと腹の底とはうらはらに (88)
若者は逃げられぬよう手を繋ぐ (89)
講釈は自分に出来ず人にする (91)
好きな人顔を眺めて声も出ず (93)
観光地誰もかれもが二人連れ (95)
年とると待ちきれなくなる真心が (96)
人は人人の真似して気を使う (98)
僅かでも一人になると妻の顔 (99)
花が咲き喜ぶ人と泣く人が (100)


 
 100号を迎えたことで改めて歴史を振り返る機会になりました。もう9年目を迎えていることに驚きました。寺さんとウォーキングで知り合い勧められて今日を迎えています。時間が許す限りパソコンに向うとすぐインターネットのホームページを開いています。月日の過ぎるのは早いものですね。これを契機に過去をふりかえって調べると平成14年3月の第3号から続けていることに驚きました。今後も焦らずがんばって行きます。



ぺ  天  使

君のこと忘れぬように桜咲く (15)
遠い耳世間聞こえぬおかげさま (26)
姫一人家来七人七五三 (35)
煙草吸うじいじが居ると告げに来る (41)
満開を見届けて吹く花嵐 (52)
アレアレで通じる時もある夫婦 (64)
放す時は教えて欲しいつないだ手 (65)
ラブレター貰った人と住んでいる (72)
昔から二歩だけ下がってついてきた (73)
あと一つ夢叶ったら終わりとす (81)


 今は2人だけのゆったりとした、また時にはあれこれと忙しい日もある生活の中で、川柳を作ることが楽しみのひとつです。題材は不足なく周りにあるけれど、片寄ってしまう幅のなさ!時に鑑賞して頂いた時は「ヤッター」と心が弾みます。人が「クスッ」と笑って読んでくださるような句を作りたいという気持ちは常にあるのですが・・・・、ヘタの横好きで続けたいと思っています。



ぺ 天 使 兄

結び目がどうにも分からぬ赤い糸 (15)
気にしつつ親には無沙汰してとおる (32)
故郷の山の小径は草に負け (37)
野の花を花見の客が踏んでいく (42)
ままごとのママは真顔で話してる (54)
空の青水の青にも染まる我 (62)
ブランコや人生いろいろありました (66)
咲いた夢枯れた夢あり古希近し (81)
朝歩き小菊一本野のみやげ (84)
お祝いの卓に童は気取り顔 (96)



ぺ 天 使 妹

浜辺行く我が足跡の不確かさ (26)
結論は空回りして夜が明ける (31)
演出があるかと見える蛍舞う (55)
別れ道なかなか賽が振り切れぬ (60)
風になって青空に君居るんだね (62)
ひとりごと聞いていたのねレモンティ (63)
読むほどに解らぬ手紙暑さ増す (68)
珍しく返礼されていい日和 (80)
あやしてるはずの幼子に遊ばれて (82)
帰りきた家に人あり灯りあり (83)



(ぺ天使妹)   ぺ天使さんを励ますつもりで投句させて頂くように
なりましたのがご縁です。近年は「締めきり前でもいいので、早めに
提出してください」と連絡があるようになり、「ほっ」としています。
“川柳と言えるかしらと投句する”



柳    立

花一輪見初めし頃も雨のなか (42)
年尽きる深い慚愧に咳三つ (48)
降りつつも我が身溶かして名残雪 (63)
形変えまた変えながら雲ひとつ (64)
墓なでて父母の名を読む手の熱さ (68)
シンとして日記短く夜は長く (71)
雨やんで虫の音一つほっとして (81)
薄紅の乙女椿を唇を (86)
春なのにまた歯が抜けて淋しい日 (98)

 
皆さん身近な句に家族への愛が満ちて
いますね、どれを読んでも楽しいです。
私の独り言の様な句作りにはなぜか
亡妻が登場して来ます。
また私のお気に入り句はほとんど
そんな時に出来た句です。
まだ彼女に恋してる かな?




悠     澪
 

哀しみも時が過ぎれば思い出に (39)

日が昇るまでが勝負と草を刈る (44)

井の中を飛び出す勇気ない蛙 (47)

森林浴死にたいなんて笑っちゃう (48)

ハラハラとこんな私に花吹雪 (64)


 幼い頃、父は毎晩のように晩酌をしながら、私を胡座の中に座らせて、俳句や短歌を言って聞かせては、その意味を説明してくれた。三つ・四つの子どもに理解できるわけもなく、私は欠伸をかみ殺していた。
学校に行くようになって、国語の教科書に俳句や短歌を発見したとき、ほとんどの句に聞き覚えがあって何か懐かしさを感じ、しかも、何の苦労もなく、すらすらと句を覚えることができた。そして、父とのひとときを思い出した。私はこうして、五・七・五のリズムが好きになり、俳句や短歌に川柳と、見よう見まねでやってきて、今は川柳だけを頑張っている。



美  智  優

ふと思う鏡の中に母の顔 (42)

強風を左右にかわしススキの穂 (47)

難問も明日解けるかも今日は寝る (55)

叶わぬなら出直すためにあきらめる (62)

ライバルの前についつい背伸びする (98)


 川柳を始めて、今年で六年になる。ラジオの川柳の番組を聴いていて、これなら私にも出来そうだと思い投句してみると、 どうゆうわけか、自分の句がラジオから流れてきて、すっかり舞い上がってしまい、川柳にはまってしまいました。始めた頃は有頂天になり、ラジオに新聞やインターネット上のいろいろな募集に投句していました。自分の名前が出るとやはり嬉しくて、自信にもなりました。図書券やクッキーやビール券などの賞品に賞状なども嬉しいものです。が、3〜4年も経つと、始めの頃の突っ走りはいずこへ・・・。少々疲れを感じ、作句にも行き詰まり、今では、投句しているのは二箇所だけです。始めた頃のあの勢いが懐かしいです。



さ   く   ら

ため息も溶けるといいね明日の朝 (49)
夜明け前新たなドラマうずいてる (52)
7月の予定書く手が弾んでる (54)
満月もいつしか闇に溶けていく (58)
コスモスも君の笑顔も揺する風 (59)
年越しの蕎麦より嬉しい君のそば (61)
傘の花咲いて始まる梅雨の日々 (66)
ラブレター心に永久保存済み (72)
子の夜泣き母は夢見る暇もない (81)


 寺さんから川柳への参加のお声を掛けて頂いた時には、正直言って自信がありませんでした。ですので、約50回もの間よく続けてこれたなと思います。これも、寺さんはじめ川柳仲間の皆さんの励ましがあったからと大変感謝しています。
 私の一番想い出に残るのは、2007年9月号の時です。9月10日に出産して、赤ちゃんが寝ている間に病院のベッドで川柳を考えました(笑)。考えたものを携帯電話のメールにメモして、それを主人に送り、その回は主人が私の代わりに送ってくれました。川柳も家族や友達の支えがあってこそ、思いのこもったものが作れるのだなと思います。



まつぼっくり

羽広げ飛んでくれればそれでいい(65)
いい顔をしているほうがずっといい(70)
赤い靴履くとなんだか軽くなる(74)
水しぶき浴びてころがる子の笑顔(78)
不機嫌もカラリと乾きハッピーに(80)
夕暮れは私が私になれるとき(85)
夜が好き好きな人だけそばにいる(97)


 私が始めて参加させていただいたのは第58号からですから、43回参加したことになります。年数にすると3年半。私が川柳と出会った年数とほぼ同じです。その時々は無我夢中ですが、過ぎてしまえばあっという間ですね。始めた頃は今いらっしゃる方々のほかにも何人かの方がいらっしゃいました。皆さん本当に川柳がお好きな方ばかりだと思います。私もいつまでこうやって参加できるかどうかわかりませんが、こうやって出会いがあった一期一会を大切にして、これからも川柳といい関係でいたいと思っています。



野 の は な

曇り空赤いパラソルさして行く (90)
9回の裏が残っている勝てる (91)
妻たちの晴れの休みはこれからだ (93)
じゃんけんに弱くていつも鬼になる (93)
いえこれは欠伸の涙拭いただけ (94)
エプロンをはずしてものを考える (98)

 
 
川柳をしていると言うとえっ?と言われていた。 最近はテレビのお陰で川柳にもスポットが当てられていてほっとする反面、俳句はお上品で川柳はお下品なものとしてくくられていることもあり心外だ。
 川柳に「有夫恋」から入門してしまった私は当初肩に力をいれていたが、 今は川柳は「毎日の暮らし」だと思っている。自分のかわいい足あとだ。




桃     華

明日にはしぼんでしまう赤風船 (25)
さまよったときに私が帰る家 (27)
いつものように朝の音から始まって (30)
温かいものが詰まった箱もらう (33)
狂ったようにボクに向かってくる落ち葉 (48)
散り際も楽しそうに舞うサクラ (52)
重ね合う手と手が少し増え始め (57)
どの人もボクにカメラを向けている (57)
泣き声を見せないようにごあいさつ (69)
死ぬまでに必ずくださいラブレター (72)


いつの間にか100号になってしまった、
という感じである。
日々の生活の中でちょっとした
発見が句になったり、
人との触れ合いが句になったりと、
どこでも転がっていそうな題材が多い。
私には生活記録のようなものである。
皆さんの句からその生活、
考え方等を想像するのも楽しい。



英     人

期することひとつやふたつ 雑煮食べ (1)
夢という文字が浮かばぬあぶりだし (11)
ススキの穂ゆったり揺れて平和かな (21)
炎天下生きて生かされ席譲る (31)
祖母に母 娘があって歴史です (41)
大掃除ほうきの先に残る未練 (51)
忍ぶこと慣れて夫婦という絆 (61)
枝たわわ辛い時には愚痴を言う (71)
秋迎え風はよし夢追うもよし (81)
ありふれた花火にもある使命感 (91)


 時には苦しい時もあったが、淡々と続けて100号。続けることに大きな価値を置く私は十分満足している。
 川柳東浦の会が解散し、川柳の場をここに求めた。投句してくださる人は私には支援者だ。そして、川柳歴も30年となった。ありがたいことである。ここまでやれば中味はどうであれ、やって来たと言えるだろう。塵も積もれば山となる。駄作も重ねれば立派な成果である。



 人は区切りのいい数字に価値を見いだす。それは人生を送る上で一つの目標になり、好ましい一つの知恵であると思う。今回は100号を記念して、過去の句から自薦をし、短い文をつけて貰いました。協力ありがとうございました。
 読んでみていかがでしたでしょうか。それぞれに価値を見つけ、生活の潤いになっていることが感じられませんか。今参加されいる方は次の目標に向かって励み、読者の皆さんは作る仲間になりませんか。



川柳&ウォーク