so213
     (せんりゅうつれづれそう)


             
  第213号(R1年9月)
風 知 草
(ふうちそう) の

               (科目)イネ科     (花言葉)未来、未来を思う、
本州の山地の崖や尾根に見られる多年草。多数の茎が株立ちになって垂れ下がり、長さ15cm前後の細長い葉をつけ、8月から9月に茎の先端に細かな穂をつける。地味な色合いで、冬は全体に黄色く黄葉したあと、地上部は茶色く枯れて冬越しする。日陰でも育つ盆栽向き。

今月は台風の句が多かった。雨に風、被害も大きかった。いろいろ対策がされるが、災害はその隙を突いて起こる。人間は自然を克服できるなどと思わず、謙虚であらねばならない。備えしかできない。私に伊勢湾台風は貴重な体験であった。                            (★印は英人の推奨句)



課 題   「 旅 」

思い出す旅の途中で捨てた夢   ★靖坊
エプロンを外して旅の人になろ    野のはな
夢探しいつまで続く電車旅    瑞希

この坂を登れば知っている道に   ★橘
目を閉じて此処はハワイとひとり旅    さくら
何買おう修学旅行楽しみだ    くまちゃん
去年より小さくなった旅土産   ペ天使
食べ立ちが旅の醍醐味主婦なれば   ペ天使

この頃は旅のパンフで満足す   ペ天使妹
旅に出て老後の生き方見つめてる   桃華
楽しみを旅に見つけてあと幾年   英人

 



    「 長 月 」   橘

  選んだら苦労する道子は選ぶ
 知らぬ間にこんなに育っていた子ども
置いていくものも多くて子は巣立つ
  ★うろたえる母であったな二十五年
    二十五の子に捨てられてオメデトウ



「九月九日」    靖坊

重陽の節句はいつも人気なし
菊の日と言っても菊はまだ咲かぬ
菊酒に代えて普通の酒を飲む
秋ナスと栗ご飯食べ長寿祈願
★雑草が菊のふりして咲いている



 
(随想)  「ええっ!私も?」  桃華

 私は運転歴30年余のゴールド免許。臆病な私は交通ルールを守り、田舎の運転しかできないが、運転ができてありがたいと思っている。
 そんなる日、町内を20kmぐらいで運転していると、路地から高校生がパッと出てきた。危ないなあと思い、ブレーキをゆっくり踏んだ。でも、車はズルズルと動くではないか。エエッ、どうなってるんだ?!。気がついたらブレーキではなくアクセルを踏んでいたのだ。
 高齢者の踏み間違いの事故がよく報道されているがまさしく私もしてしまったのだ。急なことはパニックを起こす。私も例外ではなかった。余裕を持って運転していても、何が起こるか分からぬもの、心して運転しようと誓ったところである




   「 残 暑 」    野のはな

   台風が残していった爪の跡
 こんなにも電気に頼っている時代
結論を先に延ばしているすべて
   ★ぽっかりと時間が空いている不安
     忙しくしているほうが安心で


「かぶとむし」  くまちゃん

★しげしげとしげる林にかぶと虫



「秘境の秋」   瑞希

たくさんの秋を見つけに旅にでる
秘境に来て心癒しの宿泊まる
★人生の黄昏を知る日もあって
汽車は行く喜怒哀楽を皆乗せて
老夫婦謳歌している青春を



 

 
・・・英人の20句抄・・・「富士周遊」

   富士を見に妻と出かけるバス旅行
    何度でも出かけてしまう富士巡り
         富士なのに雨の予報に気が滅入る
         昼過ぎて雲の切れ間多くなる
         好転を浅間大社で祈願する
               白糸の滝のか細さ人を恋う
               音止めの滝の轟音世を憂う
               本栖湖で全姿見せる富士に笑み
               千円札出して見ている本栖湖
               美しさを二重に見せる逆さ富士
               精進湖で感嘆の声重ね富士
      五合目の寒さ気にして重ね着し
     目の前の富士の大きさ仰ぎ見る
    雲流れ一瞬に隠れため息が
   網膜に納めただけで良しとする
            富士登山三十五年前の懐かしさ
             山頂に登る機会があった恵み
               世界遺産施設と人が増えていく
         富嶽十三景巡って帰途につく
         パワースポット訪ね昨日との違い問う



    「  池  」   ペ天使

睡蓮は池の女王風に揺れ
   二周して池のほとりへ座り込む
      ★近づけば挨拶にくる鯉の群れ
 庭の池落ちた思い出ニガイ味
   姉弟が池ではしゃいで夏が行く



「備えあれば憂い無し?」 
  さくら


うす暗い雲連れて来るぬるい風
ベランダの物をしまって部屋狭く
強烈な風の目覚まし午前二時
建物が揺れて嵐の恐怖知る
★音消えて台風の目に我は居る

「台風と旅」   桃華

台風に向かって旅に出たけれど
波高く巡航船は欠航し
情報が分からぬままの一夜なり
★波高く心も騒ぐ旅の朝
台風と遊んだ旅は思い出に



 


・・・ お 便 り 欄 ・・・
句と共にいろいろなお便りを頂くので、皆さんに紹介したほうが良いと
思われるものについてはここに紹介していきます。ご承知下さい。

 
◎靖坊
 残暑が厳しいですね。今年の十五夜はかき氷を食べながら名月を眺めようと思います。(9/10受け)

◎橘
 
先月に引き続き子どもに置いて行かれた句ばかりになってしまいました。さだまさしの「つゆのあとさき」や「案山子」なんて歌が身にしみます。とはいえ、一人減っただけでとても楽になりました。・・・よほど世話を焼いていたということですね。(9/12受け)

◎さくら
 数週間前に千葉県に被害をもたらした台風ですが、息子の小学校では、学校の壁が一部飛ばされたり、図書室の窓ガラスが割れたりしました。給食の牛乳の工場が被災してしまい、牛乳の提供が出来ない状態が続いています。




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 
置いていくものも多くて子は巣立つ(橘)    桃華
     子が巣立つのは親として嬉しいけれど寂しいものです。小さな頃の思い出は
    すべて置いていき、さっさと新しい生活に飛び出していく。本人は意気揚々として、
    見送る親は寂しげに。どこにもある風景です。私の孫もさっさと出て行きました。
    みんなの心配をよそに。旅立ちはいいものです、応援しましょう!

 夢探しいつまで続く電車旅(瑞希)   桃華
     瑞希さんはいつも好奇心旺盛ですね。一人でも見たいものがあれば出かけて
    しまうバイタリティ。羨ましいけれど私にはできないな。真似したいけれど度胸なし。
    一人旅は淋しいから。一人になったらどうしよう?!

 思い出す旅の途中で捨てた夢(靖坊)    英人
     何が旅の途中で捨てさせたのでしょうか?こういう夢はいつまでも気になりますね。
    思い出したが縁、再度挑戦しませんか?歳月が経って、そのままは無理かもしれ
    ませんが、今できる形でするのも無駄ではないでしょう。

 エプロンを外して旅の人になろ(野のはな)    英人
     いいですね、そうしましょう。孫もいいですが、旅もいいものです。私などは
    ごらんのように旅行三昧です。究極の楽しみは旅行と思っています。温泉に入れ
    て、ごちそうを食べさせてもらえて極楽です。飛び出してみましょう。

 この頃は旅のパンフで満足す(ペ天使妹)    英人
     旅に出かけられない事情があればこれも仕方がないですが、ただの出不精だっ
    たらこれはいけないですね。いつ本当に出かけられないときが来るか分からない。
    出かけられるときに出かけておく。旅ばかりでなく、できるときにしておく。これは
    体験談です。

 
・建物が揺れて嵐の恐怖知る(さくら)     英人
     今年千葉を襲った台風の被害は驚くほどでしたね。台風の経験はいつ以来です
    か?私は伊勢湾台風がトラウマになっています。自然災害の被害ははますます
    大きくなっています。楽観せず、まず備えです。空振りは幸運です。今回の体験を
    生かしてください。

 ・楽しみを旅に見つけてあと幾年(英人)   靖坊
     「老いたから遊ばなくなるのではなく、遊ばなくなるから老いるのだ」とは作家の
    バーナード・ショーの言葉。よく遊びよく旅に出ていれば老いることはないのです
    から、幾年どころかまだ数十年は楽しめるものと思われます。これからもどんどん
    旅を満喫してください。


       投稿をお待ちしています。


    
       「川柳連れ連れ草」への投稿案内

             次の要領で川柳及び感想文を募集します。

  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2019年「課題」
      (1月)名 (2月)知る (3月)遠い (4月)実
      (5月)ひとつ (6月)ふるさと (7月)岸 (8月)茂る
      (9月)旅 (10月)胸 (11月)取る (12月)思う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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