so165
     (せんりゅうつれづれそう)


             
  第165号(27年9月)

箒 木 (ほうきぎ) の 

      (科目)アカザ科       (花言葉)恵まれた生活、夫婦円満、
茎は堅く細く、下部から多数分枝し、緑色でのち赤色になり、葉は互生する。夏から秋、淡緑色
の小花を穂状につける。実は小さく平たい球形で、漢方で地膚子(じふし)とよび利尿薬に、また、
とんぶりとよび食用にする。中国が原産であり、干して箒を作る。コキア又はほうきぐさとも言う。

あれほどに暑かった今年の夏も、後半からは雨続きで、残暑も知らずに終わ
りそうである。わが家の箒木も色が変わり始めた。皆さんの句も一気に秋と
なった。もの思う秋、生を慈しみながら過ごしたいものです。秋は更に短い。
                           (★印は英人の推奨句)



 課 題    「 青 い 」

「青ですよ」軽く鳴らしたクラクション    ペ天使
まだ絶えぬ青い地球の戦火かな   ペ天使兄
風青く身体の芯を清めけり    ペ天使妹
余呉の湖青空澄んで秋いろに    瑞希
平穏は季節の菓子と青い茶で   ★柳立
青いまま咲かずに萎んでいく蕾      靖坊
青いねと笑う ホントは羨んで    橘
青い空戻る皮肉な雨のあと    野のはな
空の青暑さに溶けて海になる    さくら

空の上見上げてみたら青かった    くまちゃん
肩の荷を降ろしてみれば青い空    ★桃華
青いまま柿が落ち知る不確かさ    英人


  「 秋 味 」     柳立

★光る目で我を食べよと新サンマ
  松茸は小さいながらも肩を張る
    デコボコの二流梨でも味は好し
      友に会う到来品はみょうが攻め
 ちょっと見る料理番組渋皮煮



 

「 秋 」    野のはな

ひんやりと朝すっきりと目が覚める
★四季があることに感謝の梨葡萄
新さんま焼いても生も堪能す
骨密度血管年齢要チェック
溌溂としていなければ楽しめず


 
(随想1)    「 娘の結婚 」  野のはな

 今年の一大イベントは娘の結婚とその披露宴。クリスチャンではないが式場のチャペルはとても素敵で、パイプオルガンの生演奏、聖歌隊の天使の歌声!。空っぽのチャペルでリハーサルをしたときには娘はお父さんにドレスの裾を踏まないでね、とゲラゲラ笑っていた。
 さて本番は、涙涙・・・牧師さんも外国人のかたで、英語で話されるのでもうすこし何を仰っているかわかりたい私でした。
 そして披露宴では花嫁の父は普通黙って寂しがっているものですが、もしも指名されたら変なことを言うよりは、と私が詩をコピーしていたものを持たせておりました。で、指名はなかったのですが歓談の時間に司会者と打ち合わせたらしく花嫁の父、声を詰まらせながら詩を朗読する、の図になりました。
 詩人・吉野弘さんの「祝婚歌」でした。いい思い出になりました




「やさしい」     ペ天使

やさしげに眉を弧に画く食事会
優しいと言われてからは撫子に
孫たちに見せる笑顔は特別よ
赤ちゃんへやさしい声をかけたくて
★やさしさも包んで今夜はハイ餃子



「夏休み後半」     
      ・・・スコットランド旅行
           さくら


エジンバラ城が見守る世の平和
目を凝らしネッシー探すロマンかな
スカイ島太古の自然そのままに
朽ち果てた城壁夢の跡残し
★哀愁と愛が漂う嵐が丘



(随想2)  「ロンドン便り(その11)」   さくら 

 夏休みの後半の一週間、車ではるばるスコットランドまで旅行に行きました。まずエジンバラでは、エジンバラ城で夏に行われるミリタリー・タトゥーを鑑賞しました。ミリタリー・タトゥーでは、色々な国の軍隊の演奏や有名なダンスパフォーマンスを観る事が出来ました。エジンバラ城をバックに上がった花火がとてもきれいでした。
 そしてエジンバラから東に行き、ゴルフの聖地であるセント・アンドリュースのゴルフコースを見学してから、北上してネッシーで有名なネス湖、ハイランド地方をドライブした後、スカイ島に渡りました。スカイ島は、遠い昔からの自然がそのまま残っていて、昔、恐竜がこの辺りを歩いていたに違いない…と言うような景色が絶え間なく続いていました。
 そしてイギリスで一番高い山のあるフォートウィリアム、グラスゴーにも行きました。スコットランドにさようならした後、昔、イギリスがローマ帝国に支配されていた頃に建設されたハドリアヌスの城壁、イギリス文学「嵐が丘」、「ジェーン・エア」で有名なブロンテ姉妹の故郷であるハワースを観光した後、帰途につきました。
 スコットランドは、ロンドンのあるイングランドとはまた違って、古都の雰囲気もあり、豊かな大自然も広がっていて、見事なまでの景色にずっと感動と驚きの連続でした。とても素敵な夏の思い出が出来て良かったです。




「 長 月 」    橘

  いい知らせ来ると信じて引き寄せる
   花火など喜ばぬほど子は育ち
言いにくいけど老化ですよと医師は言う
 ★手に入りそうなら好きになってみる
    ブンガクを語るダメ男が好きで


「秋の日」     瑞希

萩の花こぼれいよいよ秋進む
虫の音に送られながら義兄逝く
★義兄逝き秋雨さらに詫びしくて
あの星は兄弟星か輝いて
兄嫁の心中思い涙する




「100点だ」   くまちゃん

★学校のまとめのテストで100点だ



 
・・英人の20句抄・・ 「九月の戦さ」

 長月に読経の機会増えている
  読経の意味を問いつつ読経する
   質朴な生活にある信仰心
    巡礼の旅で心の行方問う
      唱えれば孝行となる永代経
               青いまま寿命が果てる柿いくつ
               冬瓜に悩みの種が詰まってる
               雨続き変調きたす僕と野菜
               降り続く雨に敵意があるのかな
             種を蒔くそれを見ている鳥がいる
           秋蒔きの種が蓄えるしたたかさ
    運動会世話役を買って出たものの
    老いても出番が欲しい運動会
         ガンですよ気持ちに変化覚えてる
          告げられ気分新たな戦です
           喜びは苦労の量に比例する
       七十歳と書く寂しさと誇らしさ
      七十歳を機に覚悟は新たなり
    乗り越えるもの乗り越え自然体
   降り続く九月の雨に伸びる爪



「 急な雨 」    靖坊

日向ぼっこしている顔に雨粒が
さっきまで青空見えていたのにね
地を叩く祭り太鼓のような雨
★音止めばすぐに日が差すガラス越し
さっきまで大雨降っていたのにね

 

「 秋 」    桃華

途中下車彼岸花のお出迎え
風鈴を片付けごくろうさんと言う
保護色を小憎い孫に教えられ
★秋刀魚焼く隣の匂いに誘われて
初物と言えばうまいという夫


 


・・・ お 便 り 欄 ・・・
句と共にいろいろなお便りを頂くので、皆さんに紹介したほうが良いと
思われるものについてはここに紹介していきます。ご承知下さい。

 
◎靖坊
 九月になって雨が多いですね。少々ウンザリ気味です。

◎橘
 今年の夏は、親は家でくすぶっていた一方、娘たちはそれぞれに忙しく、また充実していたようです。大学4年の上の子は就活、卒業制作に悩み、高校2年の下の子は勉強は?ですが、オープンキャンパスに行ったり、10日足らずとはいえ、オーストラリアにホームステイに行ったりと活動的に過ごしていました。


◎瑞希
 義兄は長年の闘病を前向きに生き、同病の方に希望と勇気を与えていました。分家である弟である私の夫が先に逝き、その後我が病を忘れたが如く我が家を支えてくれました。支柱を失った感です。70才の声を聞くまでは頑張って下さいと願っていましたが残念です。今頃は[兄貴ここに来るのは速すぎだよ]と言いながら楽しく天国でお酒を酌み交わしている事でしょう。


◎さくら
 天候も悪く、自然災害の多い事で、離れて生活している両親や兄弟、お友達の事など気になる事の多い日々ですが、ロンドンにいても寺さんの事は、川柳という大切な繋がりで続いている事を感謝しています。




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 デコボコの二流梨でも味は好し(柳立)   桃華
     一級品は高い分だけおいしくて当たり前。二級品は形不揃い、凸凹ありなど少し
    不良品。でも味は一級品と変わらぬ位おいしいことが多い。私はどちらかというと二
    級品を買うことが多い。安くておいしいので得した気分になる。人とのおつきあいも
    容姿より人間味のある人が好きである。


 
赤ちゃんへやさしい声をかけたくて(ペ天使)     桃華
      最近、赤ちゃんを無性にあやしたくなる。孫が成長し、私の手を借りることがなく
    なったからだろうか。赤ちゃんの顔は優しくてホッとさせるものがある。いつまでも見て
    いたいが、よその子だからママから気味悪がられるかもね。気を付けねばと思う。

 青いまま咲かずに萎んでいく蕾(靖坊)     英人
      この世に出たからには一花咲かせたいものであるが、蕾のまま萎んでいくのは、
    植物にも人間にも往々にしてあることである。一花咲かせるのにはいろいろな条件が
    揃わねばならない。一花でも咲かせたと思えたら大いに喜ぼう。

 
溌溂としていなければ楽しめず(野のはな)     英人
    
 同じことをしても楽しめる人、楽しめない人がある。もちろん好き嫌いもあるが、
    どうせするなら楽しんでやりたい。それにはまず溌剌と臨むことである。溌剌と臨むと
    歳も忘れる。何事も気持ち次第である。

 
義兄逝き秋雨さらに詫びしくて(瑞希)    英人
    人に死は宿命であるが、人生後半ともなると身近な人の死に出合うことも多くなる。
   自分の身にも引き替えられ、侘びしくなるものである。それが身内ともなると辛さも加わ
   る。でもそれを乗り越えて行かねばならない。残りの命を慈しんでいかねばならない。

 
言いにくいけど老化ですよと医師は言う(橘)   英人
     よくこんな言葉を聞くが、考えて見ると何かおかしい。老化は自然なことである。何も
    言いにくいことではない。自然ではないことの方が言いにくいはずである。人はそれ
    程に老化という言葉を嫌うのである。老化と言われるのは勲章である、それ程に
    生きたことを喜べばいいのである。と言っている私も無理かな。

 青いまま柿が落ち知る不確かさ(英人)   靖坊
     熟年には程遠い青二才の頃に、思い切って会社を辞めてしまった自分は、いつまで
    経っても青いままだなあと感じています。害虫とか病気とか未受粉とかで意に反して
    落果する柿のように、人間だっていつまでも大木にぶらさがっていられる保証はない
    ですからね。落ちた時に慌てないように準備をしておきたいものです。


   
 
     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。

  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  2)2015年「課題」
      (1月)広い (2月)野 (3月)咲く (4月)花束
      (5月)星 (6月)残す (7月)輝く (8月)ガラス
      (9月)青い (10月)世界 (11月)手紙 (12月)書く
  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。
  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。

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