so112
(せんりゅうつれづれそう)
第112号(23年4月)
金盞花(きんせんか)の章
課 題 「 歌 う 」 曇り顔陽気な歌で吹き飛ばす ★さくら 君と居て楽しく歌うデュエットで ぺ天使 花々が歌いはじめた春や春 ぺ天使兄 高尚と言われた夫の鼻歌よ ぺ天使妹 久々に歌うストレス消えている まつぼっくり 目覚めれば床に就くまで鼻歌で 悠澪 添い寝して子守唄など歌ってる 美智優 子守唄自分で歌い眠くなる ★靖坊 日本人だからさくらを愛でる歌 野のはな 頑張れと世界が歌う日本向け 柳立 なつかしい歌についついハミングを 桃華 その昔君と歌った歌思い出す 英人 |
「 春 」 ぺ天使
春めいて薄手のセーター浅葱色
春浅く四月と言えどこたつの中
春霞場所取り合って花の宴
花の下さえずる鳥で盛り上がる
★桜花散らして芽吹く光る風
「東日本大震災」 美智優
尋ね人無事に見つかり胸なでる
人々の優しさ沁みて涙ぐむ
★にぎりめしひとつで命つないでる
家も社も財も流れて明日見えぬ
生き抜くぞ負けない決意避難所で
(随想) 「 東日本大震災 」 美智優 未だに避難所生活をされている被災者の皆さん、 さぞお疲れでございましょう、心よりお見舞い申し上げます。 大震災の起きた3月11日、夫は茨城県へ出張中でした。 私はテレビのニュース速報に胸は高鳴り、釘付けになりました。 何度電話をかけても通じず、不安に駆られていますと、 夕方になって会社の方が「ご主人は無事ですが、 救助に向った先から戻れない状態です。」と伝えてくれました。 まずはホッとしましたが、本人の声を聞くまでは落ち着きませんでした。 日付も変わった深夜にようやく電話がつながり、 夫の声を聞くことができたときには胸をなでおろしました。 今までに聞いたことのないような、疲れ果てた声でした。 夫は翌朝、重傷者と共に自衛隊のヘリで救出されたとのことでした。 自分の身近な者が、このような体験をするなんて思ってもみませんでした。 “一寸先は闇”とはよく言ったものです。 人生、本当に何が起こるかわかりません。その日その日を 悔いのないように精一杯生きなければと、改めて思いました。 |
「甥のご出勤」 ぺ天使妹
一日の無事を願って靴揃え
身支度は順序あるらし良い手際
★玄関で企業戦士の顔となる
出勤の背に向け祈る良き出会い
お隣の犬に吠えられご出勤
「 原 発 」 悠澪
三重苦地震津波に放射線
★見えぬ悪魔ニュースのたびに広がって
原発が助かった家に住まわせぬ
避難所を転々として疲れ果て
被災者がわが町内にも避難して
「 復 興 へ 」 野のはな
★悲しみは癒えないけれど桜咲く
この国の危機試される私たち
あの日からまだひと月の一歩二歩
怖い夢ならばどんなによかったか
頑張り屋だから頑張り過ぎている
「おぼろ月」 柳立
★見上げても涙と花粉のおぼろ月
被災地を思えばおぼろ放射能
春雨に危険信号原子力
花粉症頭はおぼろ薬漬け
春なのかちょっと座れば眠けして
・・英人の20句抄・・ 「 四月の風 」
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「 大地震 」 まつぼっくり
ニッポンがひっくり返るあの日から
何万の御霊が海で呼んでいる
復興に出来る力は惜しまない
★当たり前だった平和が奪われる
悪魔から人間力を試される
「たんぽぽ」 靖坊
アスファルト割るたんぽぽの底力
踏まれ行く為に咲くではなかろうが
★塵埃にまみれど花は上を向く
この場所を不平も言わず守り抜く
行く先を知らぬ綿毛に不安なし
「 桜 」 桃華
大震災受けとめるには重すぎて
花開くその瞬間を見失い
満開の桜に元気もらっている
★葉桜になっても寄ってくる雀
花吹雪受けとめるのは簡単だ
(鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ ・添い寝して子守唄など歌ってる(美智優) まつぼっくり 子どもが小さいときホントにどれだけの子守唄を歌ったか数知れません。 おんぶして抱っこして添い寝して、そのたびに歌を歌い続けました。子どもの 鼓動を聞きながら子どもの体温を感じながら・・・しあわせな時代でしたねぇ。 ・ママ見つけ手を振る笑顔あどけなく ・先生をおばちゃんと呼び苦笑い(さくら) まつぼっくり なつかしいです。今はもう末っ子も大学生。上二人は社会人になりました。 さくらさんの作品で記憶がいっきに彼らが園児だった頃にワープしました。この 笑顔・・・。母親だけがゲットできる至福の喜びですよね。末っ子はやはり甘ちゃ んで(そうしつけたのは母親ですが・・・)1学期間は私が目に見える範囲にいな ければだめでした。先生のことはそれこそ「おばあちゃん」と呼んでいたんです よ。冷や汗ものでした。 ・何万の御霊が海で呼んでいる(まつぼっくり) 美智優 行方不明者がまだ1万3千人以上います。ご家族はたまらないでしょうね。 海に流された方のご無事は無理としても、せめて遺体が早く見つかってご家族の もとへ帰れますようにお祈りします。 ・アスファルト割るたんぽぽの底力(靖坊) 美智優 本当に雑草の底力はすごいです。いつも草ボウボウの庭を眺めては溜息です。 この句で、金子みすずの“ほしとたんぽぽ”を思い出しました。「ちってすがれた たんぽぽの、かわらのすきにだぁまって、春のくるまでかくれてる、つよいその根は めにみえぬ。見えぬけれどもあるんだよ、見えぬものでもあるんだよ。」 ・玄関で企業戦士の顔となる(ぺ天使妹) 悠澪 新入社員さんでしょうか?「さあ、頑張るぞ」という意志と気迫が伝わるようです。 そして、作者さんがその様子を頼もしく見守っているお姿が見えてくるようです。 ・悲しみは癒えないけれど桜咲く(野のはな) 悠澪 地球上にどんな大変なことが起きても、どんな悲しいことが起きても、植物は 時期が来れば花を咲かせます。この植物のように人々も、苦難に負けず、あきら めずに生きていけることを祈ります。 ・人々の優しさ沁みて涙ぐむ(美智優) 靖坊 これまでの人生を振り返ってみて、涙が出るほどの優しさに触れた経験をなか なか思い出せません。自分の鈍感さもあるかも知れませんが、やはり、それ程の 苦境に陥る事のないお気楽な日々ばかりだったのでしょう。平凡な日常のありが たさを感じます。 ・子守唄自分で歌い眠くなる(靖坊) 桃華 子守唄は子供を寝かしつけるための唄。何回も歌っているとつい眠気に誘わ れることもしばしばあったが、靖坊さんは自分のために子守唄を歌ったのかなあと 考えたらおかしくなってきた。 ・何万の御霊が海で呼んでいる(まつぼっくり) ぺ天使妹 無念だったであろう命の言い知れぬ思いが伝わってきます。この世に心残す ことなく、お浄土へ行かれることを祈り、念じることしかできません。 ・「たんぽぽ」(靖坊) ぺ天使妹 一連の句は人間の生きていく姿を諭されたような気がします。 ・なつかしい歌についついハミングを(桃華) 靖坊 昔の歌を聞くと当時の思い出も一緒によみがえってきますよね。それが楽しい 思い出なら口ずさみたくもなりますが、辛い思い出、例えば失恋した時に聞いて いた曲なんだかと、もうハミングどころじゃなくなります。 歌は楽しく歌いたいものですね。 ・お隣の犬に吠えられご出勤(ぺ天使妹) 靖坊 子供の頃は、吠えてうるさい犬に向かって「うーわんわん」と吠え返していた ものでした。吠える犬に動じなくなれば、もう立派な企業戦士ですね。 ・避難所を転々として疲れ果て(悠澪) 英人 避難所にいるだけでも大変なのに、その避難所を更に転々とする。どれほどの 不安と苦痛だろうか。早い収束を祈るばかりです。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2011年「課題」 (1月)別れる (2月)辛い (3月)君 (4月)歌う (5月)冷たい (6月)心 (7月)好き (8月)一緒 (9月)ほほえむ (10月)愛する (11月)涙 (12月)窓 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |