so107
(せんりゅうつれづれそう)
第107号(22年11月)
黄花秋桜(キバナコスモス)の章
課 題 「 古 い 」 着古した信念だけを身にまとい ★靖坊 読み返す古い日記に涙跡 悠澪 見比べてやはり古さが目立つ妻 酒仙 古本を手にし想い出よみがえる ★さくら 古ぼけた写真が温い家族の和 まつぼっくり 古漬けのナスはすっぱい祖母の味 美智優 なんのことか古いテレビを捨てさせる 野のはな 古女房言われているが気にもせず ぺ天使 まだ若い言われた私すでに古希 ぺ天使兄 茶渋付き重みを増した抹茶椀 ぺ天使妹 古き佳き私もそんな仲間入り 柳立 古写真健康的なこの笑い 桃華 夕暮れて古い話を語り出す 英人 |
「 暮らし 」 悠澪 何事も起こらず今日も暮れてよし 好奇心生きる意欲を呼び起こす どさくさの中で真心失くしてる 衣替え一気に秋がやって来た ★虫の音が小さくなって火の用心 |
「 日 常 」 野のはな
早々と夫が喪中はがき書く
隣から悪意と黄砂飛んでくる
言いにくいことはメールという姑息
★ゆっくりと喋るあなたに慣らされる
ホテルでのランチ女のパラダイス
「間違い探し」 靖坊
予報では雨なのに晴れ空の青
★着心地が悪かったシャツ裏返し
うっ甘い豆腐にかけたのはソース
間違いが悪くないことだってある
間違いを楽しむ心に間違いなし
(随想) 「携帯電話」 靖坊
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「センチメンタルな…秋」 さくら
移りゆく季節にひらり落ち葉舞う
★ためいきを拾い集めて落ち葉焚き
秋の海こころ静まる波の音
貝がらをやさしく包む小さな手
都会より自然が似合う子の笑顔
「 酒 」 ぺ天使 子等と飲む愉快な酒と笑い声 晩酌を楽しみに夫入浴し なみなみと注ぐグラスに口運ぶ もう一杯欲しくなるらし夜更け酒 ★キッチンでひとくちクッと残り酒 |
「 秋 」 美智優
十六夜に誘われ君と歩いてる
★浮雲がずっとこの部屋のぞいてる
スースーと隙間風来て冬隣
コオロギの大合唱に月明かり
天高く孫と一緒に栗拾い
「秋なのに」 柳立
秋なのに名所パンフは見るばかり
京都へと乙女ごころはいざなえる
深山へと定年カップル押し寄せて
紅葉は赤い血潮か狂い咲き
★庭先の照り葉を見上げ茶をすすり
・・英人の20句抄・・ 「イタリアの旅」
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「祭り近し」 まつぼっくり
二年越し祭りの気配近づいて
受験生地に足着かぬ囃子笛
一ヶ月かけて掃除の腕まくり
いらぬものこんなにあったゴミの山
★整理して気持ちもシャンと白くなる
「 枯れる 」 酒仙 庭の木が勢いなくし枯れていく 対話なく枯れて会話を妻とする ★やることを無くして友は枯れていく もてあます時間が枯れて旅をする 退職後枯れ果てる前声を掛け |
「イタリアへ」 桃華
海と空遺産大国見てきたよ
霧晴れて遺跡が迫る歴史が迫る
大勢の騎士駆け抜けた石畳
★水の流れにゴンドラが揺れわれも揺れ
厳かに祈り捧げた大聖堂
(鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ ・キッチンでひとくちクッと残り酒(ぺ天使) まつぼっくり 先日お祭りがあってお客様にお出ししたビールが残ると裏方の方でグイグイやって いました。お酒は飲める方が楽しいのかもしれません。ほろ酔い気分が好きです から。冬でも仕事からあがってキッチンに立つと料理を作りながら缶ビール1本は 飲んじゃいますね。 ・天高く孫と一緒に栗拾い(美智優) まつぼっくり きっと楽しいでしょうねぇ。お孫さんのお話を聞きながら栗拾い。まだ孫がいません が私自身が祖母とまつぼっくりをよく拾っていた昔を思い出してとてもなつかしくなり ました。秋の優しいひとこまですね。うらやましいような気がします。 ・間違いが悪くないことだってある(靖坊) 悠澪 そうですよね、新しい発見があったり、間違ったことでこの次は間違わないように 学習できたり、間違いが必ずしも悪いとは限りませんよね。間違ったことを無駄に しないことが大切なんだと考えさせられました。 ・キッチンでひとくちクッと残り酒(ぺ天使) 悠澪 思わず笑ってしまいました。私の姿そのままです。盆正月など家族が集った後、 残りビールをもったいないと思い片付けをしながら私も飲んでいます。 ・整理して気持ちもシャンと白くなる(まつぼっくり) 美智優 整理整頓や掃除は好きじゃないずぼら人間ですが、必要に迫られて整理や 掃除をするとやはり気持ちがいいものです。ほんとに気持ちがしゃんとしますよね。 ・何事も起こらず今日も暮れてよし(悠澪) 靖坊 悪い事は起こらず良い事だけ起きて欲しい、なんて虫が良すぎますが、自分に とっての良い事って何だろうと考えると、ちょっと分からなくなります。例えば宝クジ に当たるのは良い事かも知れませんが、かえって無用な気苦労を抱え込みそうで ・・・やはり何も起こらないのが一番良いのかも知れませんね。 ・ ホテルでのランチ女のパラダイス(野のはな) ぺ天使妹 昨今よく目にする光景です。男性は仕事に精を出し、お小遣いをやりくりしながら 昼食をとっているのでしょうに。でも、女性にもたまにはこんな時間があっても よいかと思ったりもしますが・・・・せめて家事の手は抜かないで・・・。 私も最近は「自分だけご馳走頂いてゴメンナサイ」と心でつぶやきながら ランチしていま〜す! ・ためいきを拾い集めて落ち葉焚き(さくら) 桃華 ハラハラと舞い散る木の葉を見ているとなぜか心が落ち着き、自分が風流人に なったような気持ちになります。ところが落葉樹の付近に住む人は毎日大変です。 落ち葉が道いっぱい占領し、車や道行く人が踏みつけていくので、汚くなる前に 掃き集めねばならぬからです。「風情どころか毎日闘いよ」とのこと。本当に ご苦労様。 ・やることを無くして友は枯れていく(酒仙) 英人 することがなくなるとどうなっていくのだろう。このまま精気を保つのは難しい。 ただ黙って枯れるに任すか・・・それとも遮二無二することを探すのか、この時の 過ごし方は難しい。することがあることはある意味楽である。川柳連れ連れ草は いつまでも続けねばならぬ。 ・ゆっくりと喋るあなたに慣らされる(野のはな) 英人 似たもの夫婦というが、長年一緒に過ごす間にお互い似かよってくるのである。 そうして赤の他人が何十年と一緒に過ごすことができ、かけがえのない伴侶と なるのである。慣らされて慣らしてこれで良し。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2010年「課題」 (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |