so106
(せんりゅうつれづれそう)
第106号(22年10月)
臭木(クサギ)の章
課 題 「 捨てる 」 今度こそ捨てると決めたこの勇気 ぺ天使 捨てきれずまた仕舞い込む母の帯 ぺ天使兄 背負うもの捨てれば軽くなるものを ぺ天使妹 過去はみな捨てたはずだが思い出す 美智優 しがらみを捨てて自由な鳥になる ★さくら ストレスを少し捨てたら空飛べる ★まつぼっくり 捨てたとて代わりはないぞこの人生 靖坊 ガラクタを捨てると決めてもわだかまる 柳立 あわれだと思う心が捨てきれず 酒仙 ゴミ出し日カラスが群れて電線に 悠澪 今のうち捨てておかねばならぬあれ 野のはな 捨てたはずの日記が書棚の片隅に 桃華 余命問い捨てるにはまだ早い靴 英人 |
「 過 去 」 美智優
過去はみな水に流して再出発
胸の奥夫も知らない過去ひとつ
★喜怒哀楽乗り越えてきて今夫婦
あの頃を思えば私うぶだった
よく来たな石ころだらけの道だった
「 お芝居 」 靖坊
★通行人Aの気分で街を行く
秋晴れを演じているね今朝の空
電信棒直立不動は名人芸
不意打ちの野良猫ニャーはアドリブか
さて今日も冴えない男の役回り
「 風 」 ぺ天使
青春は風に向かって猛ダッシュ
★蝶二匹付かず離れず風の中
風吹いて消えかかる火を守りきる
二人して秋風受ける今の幸
約束を守らぬあなたにつむじ風
(随想) 「小さな拍手」 ぺ天使 体調を崩して通院していた七月のこと。 「○○さん、お嬢さんからお電話ですよ」と医院の子機を渡してくださった。 「?・・・娘?」と思いながら電話に出たら、「お母さんですか?」と。 看護師さん曰く、「娘ですとおっしゃいましたよ」 「まあ、お嫁さんなのに娘と言ってくれたのですね」と私。 嬉しかった!感激した! 待合室で「まあ〜」と暖かい声が流れた。 一層可愛さが増し、心の中で小さな拍手をした。 |
「名古屋城の秋」 柳立
金鯱の光は二つ天高く
★殿よりも人気は清正石に立つ
障壁の大寅眠る天守閣
チョンマゲの表敬市長は名古屋弁
二の丸は野点て野点てに茶の香り
「咳・こんこん」 さくら
咳コンコン今年も敵がやってきた
眠れない夜更けに咳がこだまする
代れれば代ってあげたい子の辛さ
背をさする思い通じて咳止まる
★風邪治りまた少しだけ強くなる
「 想 い 」 まつぼっくり
私だけ黙っていれば上手くいく
気の重い朝もそのうち夜になる
変わらない日常にある安堵感
うずくまる私をやさしく雨が打つ
★透明な光と風に包まれる
「思いめぐらす」 酒仙
公園のベンチはゆるり時が過ぎ
頭を使うが身体がついてこず
常識が通用する世を迎えたい
★暇ができ行きたいところ多すぎる
ひと月が早く来すぎて穂がたける
・・英人の20句抄・・ 「あいちトリエンナーレ」
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「 赤 子 」 悠澪
★赤子抱く誰も優しい顔になる
少し目が見えてきたのか影を追う
ちゃぷちゃぷは気持ちが良いかすまし顔
明日帰るわかっているのかよくぐずる
ばあばあの顔忘れないよと笑顔見せ
「 幸 せ 」 野のはな
★待たされる幸せもあり列にいる
諸問題忘れサラダを盛り付ける
妖怪に出会うてみたくなりました
理想的だったあなたの終わり方
ありがとうの代わりにぎゅっと抱きしめる
「 老 化 ? 」 桃華
あちこちの痛みみんなも持っている
診断は老化ですねのひと言で
★どの人も老化を笑っていられない
一番若い今から始めるウォーキング
風に乗って軽快なウォーキングシューズ
(鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ ・通行人Aの気分で街を行く(靖坊) 美智優 おもしろい句ですね。せかせかと歩く人ごみの中で、ふと“自分は何だろう? 人生の 脇役じゃないか?”と問いたくなるような句です。 ・眠れない夜更けに咳がこだまする(さくら) 美智優 咳はなぜか夜更けにひどく出て、暗い部屋に響くんですよね。お子さんが苦しそうに咳を していると、母親としては堪りません。どうぞおだいじになさってください。 ・今のうち捨てておかねばならぬあれ(野のはな) まつぼっくり ちょっと結婚前の日を思い出しました。青春のあれこれを庭のドラム缶で燃やしましたっけ。 独身の自分との別れのけじめでしたね。ぼんぼん燃えて煙がどんどん空へ昇っていくのが なんとなく心地よかったです。野のはなさんの捨てておかねばならぬ「あれ」とは? ・捨てたはずの日記が書棚の片隅に(桃華) まつぼっくり どういうことでしょうかね。どなたかが拾われたのでしょうか。日記と言うものには本音は やはり書けません。他人に見られたら困るところもあるでしょうから。昔日記をつけていた 中学生の頃だったか。ある日ページを開いたら誤字を父が朱で直してました。びっくり しました。別に争いとかにはなりませんでしたが。 ・捨てきれずまた仕舞い込む母の帯(ぺ天使兄) 悠澪 もう締めることもない帯だと思っても、お母さまの形見ともなるとなかなか捨てられません よね。いろいろと思い出も詰まっていることでしょう。 ・私だけ黙っていれば上手くいく(まつぼっくり) 悠澪 夫や子供たちに、生活に、なにかしら不満を感じることがあります。自分さえ耐えて いれば円満なのですが、ついつい愚痴をこぼしてしまいます。そのことを思い知らされました。 ・過去はみな捨てたはずだが思い出す(美智優) 靖坊 忘れちゃいけない事は綺麗さっぱり忘れてしまい、早く忘れてしまいたい事はいつまでも 忘れない、本当に人間の脳みそはワガママなものですね。楽しかった過去は捨てずに いつまでも取っておいてと、脳みそにお願いしています。 ・待たされる幸せもあり列にいる(野のはな) 桃華 宝くじの発売日というと長い列、バーゲンセールもまた長い列、あげくの果てはランチでも みんな列を作って待っている。日本人は待つことに慣れているのかな? 私は待つことが苦手。私は待たされるとイライラが高じて、身体に悪い。だからあきらめる。 作者は待つことの幸せを楽しんでいる。得た時の喜びが大きいのだろう。あきらめる幸せも あるのだろうか。 ・赤子抱く誰も優しい顔になる(悠澪) 英人 武骨なおじいさんも赤子を抱いて武骨面はできない。戸惑っている姿は滑稽というか、 微笑ましいというか・・・本人以上に回りの人はオロオロしているだろう。いつかの我が 姿であったかも知れない。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2010年「課題」 (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |