so105
     (せんりゅうつれづれそう)


              
 第105号(22年9月)

藪茗荷(ヤブミョウガ)の

(科 目)ツユクサ科    (花言葉) 報われない努力、
山野の陰地に自生する多年草。高さ約50cm、葉はミョウガに似て長楕円形。
夏白色の小花を開き、後、球形・藍色の果実を結ぶ。茗荷はショウガ科。

今年春、知人から千両の木をもらってきた。その脇から何かが生えだした。
それが藪茗荷だった。くっついてきたらしい。ある神社の境内で一面の藪茗荷を見つけた。
我が家の藪茗荷も今盛んに根を伸ばしている。そのうち始末に困るほど一面になるだろう。
この生命力から何を学ぼう。観察していかねばならない。川柳は見えない部分の観察だ。
                    (★印は英人の推奨句)



  課 題   「 昨 日 」

都合よく昨日のことは忘れてる     野のはな
昨日より笑顔の多い明日になれ     さくら
孫誕生昨日の夢は正夢か     悠澪
明日やると言ったのは昨日だったよね    靖坊
たくさんの昨日があって今日があり    ★まつぼっくり
ヤレ涼し昨日の雨に礼を言う      ぺ天使
囲碁敵の昨日の敵は今日も敵    ぺ天使兄
昨日まで温めた夢どうしよう     ぺ天使妹
今日既に昨日のことを忘れてる     酒仙
今日在りて昨日も明日もないものを    びひゃーな
昨日よりちょっといい日をつなぎ生く     美智優
このごろは遠い昨日が夢の夢     柳立
昨日までいい子だったと自慢げに    ★桃華
昨日を無駄にしたのは今朝の愚痴    英人



  「 悩 み 」    まつぼっくり

      念じれば叶うのですか願い事
  大好きなお酒を断って祈ること
しがらみにがんじがらめに縛られて
  子を持てば一生そこから抜け出せぬ
     ★窮屈な脳と心を解き放て




「ハッピー・バースデー」    さくら

お洒落して出掛けた街はカーニバル
うるおいを求める街に蝉しぐれ
待ちわびた雨に輝く夏景色
幸せを願う三つの誕生日
★澄んだ目でいたずらをする三歳児



「ただいま」     靖坊

返事する人も居らぬにただいまあ
留守番の時計がコチコチお出迎え
★部屋の灯り点ければ日常へと戻る
夢だったのかも知れないこの旅は
おかえりと鏡に言って顔洗う




「旅に出て」     桃華

降りる度雨が止んでる旅途中
★戻る道確認してから旅に出る
急坂を登った後にくる恐怖
太鼓打つ守らにゃならぬ人がおり
今も昔も家族を守る陣太鼓


 (随想)   「御陣乗太鼓」  桃華

 今年の年1回の婦人会旅行は輪島温泉であった。各地で大雨のところ、行く先々で雨が止み、ラッキーな旅である。また、宿泊ホテル高州園の御陣乗太鼓入場券が当たり、重ね重ねの幸運に見舞われた。
 割れんばかりの太鼓の音、お腹にずっしり沁みる。
 由来は、天正4年、越後の上杉勢が輪島を攻めてきた時に、村人達は村を守るため、木の皮で作った仮面を被り、海草で髪をこしらえ、バチも折れよとばかりに太鼓を打ち鳴らし、敵勢を追い払ったのが始まりだそうだ。
 形相するどいお面を見ている私たちの方も身震いがしてくる。本場の迫力あるバチさばき、激しい動きなどに愛する家族を守り抜いた村人達の姿が重なり、ホロリと来るものがあった。素晴らしいナイトショーであった。



「秋ですね」    野のはな


秋の色まず食卓の焼き秋刀魚
この夏の疲れたっぷり肩と首
窓際でかぼちゃが笑ういい季節
★悪人になりきれなくて傷だらけ
海がある自由を奪う海がある


「 孫誕生 」    悠澪

産声に猛暑忘れて胸弾む
★みどり児は百面相で笑み誘う
子守唄赤子眠らず娘が眠る
ばあばあに似てると言われぐずりだす
ちっちゃいがとても大きな存在感



  「 残 暑 」     びひゃーな

やっと素の自分になれた気がしてる
  贅沢をせぬ癖つけて死に支度
    ★若い日を老いた顔から拾い出す
  この歳で素にもどらんとする狂気
虫の音は誰かまわずに慰める



「物わすれ」     酒仙

やることをメモをとったがメモがない
必要と思いついたが置き忘れ
白髪が自分の年を隠してる
★ドリンクを飲んで負けじと元気だす
 晩節は元気で妻をリードする



・・英人の20句抄・・ 「衝動買い」
      
   猛暑日の印で赤いカレンダー
   腹時計狂いをきたす猛暑の日
   温度計上がった数字が戻らない
                猛暑日に衝動買いを繰り返す
                ストレスが衝動買いを勧めてる
                買うもののない寂しさを知ってるか
                欲しいもの見つけ高鳴る胸がある
 店頭の歩数計が引き止める
 新しい機能に引かれ開く口
 五つ目の歩数計買う 妻の愚痴
     捨てようとして捨てられぬ古いネガ
     猛暑日にネガスキャナー知りすぐに買う
            電子辞書買ったのも暑い昼のこと
            電子辞書座右の書となる老化
                  生活を面白くした小物三点
                  今昔を切り裂いていくデジタル化
                   この夏の衝動買いに悔いはない
                   買うよりは捨てねばならぬ歳なのに
         熱中症僕もかかって夏を終え
         煮て焼いて試行錯誤の秋迎え



「  音  」     ぺ天使

郵便屋コトンと音させ去って行く
二歳児はもの音気にせず夢の中
★秋雨がもの音吸って静かな日
名月は音もなく出て朝隠れ
真夜中のもの音怖い夫の留守


  「 夏休み 」   美智優

里帰り幼馴染と盆踊り
★盆の空走り回るよ星たちが
盆休み夫に誘われ街を行く
身体から湯気立ち上る心地して
猛暑日も子供元気に駆け回る


   「秋来ぬと」    柳立

扇風機一つ風を弱くして
夏なのに朝日どんどん遅刻する
晩ご飯少し時間が早くなり
むくげ花蕾の数も了わりつつ
★夏草の日焼けた傷に秋も来て



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 ・「ただいま」(靖坊)      まつぼっくり
     たくさんの家族との生活も、子どもがだんだん自立して家を離れていくと、夫婦二人に
    なります。そしてどちらかが欠けるとたった一人の暮らし。今はまだ実感がありませんが
    靖坊さんの作品から孤独と、そしてそういう生活の中で自分と上手く付き合っていく
    暮らしを学ぶような思いがしました。

 ・「御陣乗太鼓](桃華)       まつぼっくり
     楽しいエッセイから昔々私も輪島を旅したことを思い出しました。御陣乗太鼓、迫力あり
    ましたねぇ!!和太鼓が大好きなので腹に響く太鼓の音に酔いしれました。能登半島の突先の
    「ランプの宿」というところに宿泊しましたがそこのご長男の方が太鼓の名手でした。

 真夜中のもの音怖い夫の留守(ぺ天使)     まつぼっくり
     ほとんどの夜の奥様方はそうかもしれませんね。夫がいるというだけで本当に心強いもの
    です。夫が泊まりのときは子供も何となくびびっていて、男なのに頼りになりません。

 ・返事する人も居らぬにただいまあ(靖坊)      悠澪
     ひとり暮らしをされてるとつい独り言が増えますよね。私も夫が単身赴任中は「ただいま」
    「いただきます」をはじめ、テレビを見てもラジオを聴いてもぶつぶつ言っていました。
    今でも、電子レンジやIHヒーターに向って「ご苦労様」「わかってるって」などと言っています。

 窮屈な脳と心を解き放て(まつぼっくり)     悠澪
     この歳になると、常識や習慣や人の目を気にしてなかなか自由な言動ができにくいです
    よね。自分らしくあるために、ほんとうに窮屈な脳と心を解放したいものです。

 ちっちゃいがとても大きな存在感(悠澪)     靖坊
     赤ちゃんのいる家庭では、24時間全てが赤ちゃん中心で動きますね。恐らく自分が
    赤ちゃんの時も周囲からチヤホヤされて、一生の内で最も持て囃された時期だと思う
    のですが、その頃の記憶が全く無いのは実に残念であります。その後の寂しい人生を
    振り返れば、私のモテ期は赤ちゃん時代で終了したようです。

 子を持てば一生そこから抜け出せぬ(まつぼっくり)     靖坊
     子になれば一生そこから抜け出せぬ、これは私だけでなく万人共通の悩みでしょうね。
    子であるだけで窮屈なのに、更に子を持てばさぞかし窮屈な人生になるだろうなあと思う
    のですが、反面、窮屈な人生もそれはそれで楽しいものかもしれません。一人で自由に
    足を伸ばせるコタツより、足と足がぶつかり合うコタツの中もまた一興。

 澄んだ目でいたずらをする三歳児(さくら)     美智優
     ついこの間お生まれになったような気がしますのに、もう三歳になられるのですね。
    かわいい盛りですね。いたずらをしながら知恵がついていくものだと思います。のびのびと
    健やかに大きくなられますように・・・ 。

 腹時計狂いをきたす猛暑の日(英人)      美智優
     今年の夏はほんとうに暑かったですね。食欲も落ちて、でも食べないと変な時間に
    お腹がすくだろうし、夏ばてをするかもしれないと思って食事をしていました。

 虫の音は誰かまわずに慰める(びひゃーな)      桃華
      暑い夏も終わり、やっと虫の音を楽しめるようになった。どこからともなく聞こえる虫の
     音に心が癒される。疲れ切った日も、怠惰な1日だった日もやさしい音色が聞こえる。
     虫たちも生きているんだね。人間と同じように命果てるまで精一杯に生きるんだね。
     老母も一生懸命生きたんだよ。

 悪人になりきれなくて傷だらけ(野のはな)     英人
      人間は悪人にはなりきれないものである。そして、傷つくのである。その傷は人を傷
     つけるより心の負担は小さいのである。また善人にもなりきれないのである。人の傷に
     なることはよくよく気をつけねばならない。

 ・夏草の日焼けた傷に秋も来て(柳立)    英人
      今年の猛暑に傷ついたものは多かろう。しかし、秋の来ない夏はない。まもなくその
     傷は癒されるだろう。しかし、また冬の来ない秋もない。短い涼風を満喫しよう。

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       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
 
 2)2010年「課題」
      (1月)山  (2月)淋しい  (3月)一人  (4月)来る
      (5月)悲しい  (6月)胸  (7月)痛い  (8月)耐える
      (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

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