so104
     (せんりゅうつれづれそう)


              
 第104号(22年8月)

夏 水 仙 の 

(科 目)ヒガンバナ科    (花言葉) 悲しき思い出、あなたのためなら、快楽、
春に水仙に似た葉を出し、夏に花が咲くのでナツズイセンという名前がついた。
彼岸花と逆に葉っぱが先に出て、枯れた後に花芽が伸びてくる。 8月頃に咲く。


球根を買ってきたのは確かだが、それがいつだったのか、何という名だったかも
覚えていない。それが今では数十本の花を咲かせる。今年も咲いた。先日
夏水仙であることを知った。嬉しかった、早速に登場である。種(この場合は球根で
ある)を撒いておけばいつかその成果を見せる。こつこつと積み重ねて行こう。
                       (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 耐える 」

魚の目の主張無視して耐えている     ★美智優
耐えて春待つ芝居にも普遍あり    びひゃーな
答え無く耐える自分をあきらめる     柳立
風雪に耐えて揺れてる女竹     ぺ天使
嵐にも耐えて散らない百日紅     ぺ天使兄
耐えるしか他に手のないこの窮地    ぺ天使妹
出産は誰もが通る道耐えよ      まつぼっくり
反抗期耐えて仲良い母と娘に     悠澪
わたくしの重さに耐えるハイヒール    ★野のはな
耐えるしかないか我が身の愚かさを     靖坊
暴言をはかれてじっと耐えている     酒仙
日中の暑さに耐えて夜涼し    さくら
耐えて耐えて来た道だから愛おしい     桃華
耐え抜いた蝉の余命に涙する    英人



    「高千穂峡」    悠澪

   目もくらむ高千穂峡の深さかな
 ★ごう音に恐れをいだき滝眺む
うっそうと生い茂る杉のしかかる
    高千穂に自然の力教えられ
      山路来て滝のしぶきで生き返る


「 無 聊 」    びひゃーな

    あれ以来いつも女を憎んでる
  退屈のしのぎ方にも個性あり
  憎しみの軌跡たどれば鬼が出る
  ★まっすぐな道も帰りはまっすぐか
  空っぽは善なることか暑い朝

  

     「お盆墓参」    柳立

   お盆来て花持ったまま墓に雨
     真新しい花と線香姉の跡
       花赤く孫に教える墓参り
   まだ行かぬ亡者の距離をケムに巻き
     ★墓清め妙に納得ひと仕事



「 夜神楽 」     美智優

かがり火に誘われ入る神楽殿
鈴を持ち足踏み鳴らす勇壮さ
こっけいな舞にいつしか引き込まれ
★神々の思いを今に伝え舞う
夜神楽の余韻に浸り温泉に


 (随想)   「高千穂の夜神楽」  美智優

昔々、太陽の神“アマテラスオオミカミ”が弟“スサノオノミコト”の乱暴を嘆いて、
岩屋に隠れてしまい世は闇の世界へ・・・。
岩屋の前でアメノウズメのミコトが楽しげに舞い踊り、それが気になって
アマテラスオオミカミがほんの少し岩戸を開けて見たところを、
タジカラオノミコトが岩戸を投げ飛ばし世に再び光が・・・
この時の舞が高千穂の夜神楽の始まりだそうです。

毎年11月の末から翌年の2月にかけて各村々で33番の夜神楽を
実施して、秋の実りの感謝と翌年の豊饒を祈願するそうです。
旅行者のためには毎晩、タジカラオの舞・ウズメの舞・戸取りの舞・
御神躰の舞の四番を披露してくれます。その舞は勇壮であったり、
厳かであったり、こっけいであったり、面の表情が舞手の人柄の
ように思えて知らず知らずに引き込まれていました。
そして、雅楽の音色に霊験あらたかさを感じました。
それにしても、地域の民俗芸能を長い永い年月、町ぐるみで
守り伝承してきた人々の心意気に感動しました。




   
 「 眠 る 」    ぺ天使

  全身を預けて眠る未だ二歳
    ★川の字は少しばあばの方に寄り
うたた寝してコマーシャルに起こされる
     八月は紗の座布団を枕にし
   眠たくて挨拶もせずに月の夜


「今の心境」    酒仙

  ★レッテルを張られて行く道後戻り
 鈍行の列車の旅もまた楽し
  余暇が増え手放した車憾む日々
  今まではいやと言ってた山歩き
 退いて自分の生き方再発見



「今日もまた」    靖坊

今日もまたお腹が空いて目が覚める
お馴染みの朝食なれどほっとする
腹満ちて心に元気満ちてくる
恐らくは同じ一日明日もまた
★同じ日を繰り返せるという平和



  「 遺 影 」     野のはな

★暑すぎる夏悲しみがぶり返す
  迎え火を焚くと気配のする仏間
    遺影から義姉の声なき声を聞く
  血と汗と涙水分足りません
生き方と死に方を問う終戦忌




・・英人の20句抄・・ 「旅に出よう」
      
           初盆会を済ませ儀式は終章へ
           親看取り人生の義務を考える
           人生の責任をほぼ終えました
 荷を降ろし伸びた背中に軽い足
  弔問客旅の話をして帰る
    身軽になった身に旅は魅力的
      控えてきた外国旅行視野に入れ
        外国に気乗り薄の妻翻意する
                  ハワイから帰った人がハワイ勧め
                  情報は捨てずにおいたメール便
                  予約して早まったと気づく後の知恵
                  高額な費用に欲しい慎重さ
             行く気になった十一月無にできぬ
          「ローマ人の物語」読んでイタリア気にかかる
         イタリアを俎上に乗せて議論する
        お値打ちな企画見つけてなお不安
       ハネムーンが多いと聞いて決め手とし
             ルビー婚に最長の旅いい記念
             イタリアの本買って気分高めよう
             猛暑日に思いを馳せる秋の旅



「ナツの風景」     さくら

涼しさを求め窓開け熱い風
★夕暮れが怪しい雲にかき消され
台風が猛暑の夏を吹き飛ばす
ママの為作ってくれた泥アイス
夏祭り金魚すくいに我忘れ



「 夏来る 」    まつぼっくり

★白黒をはっきりつける夏が好き
来る夏が日々の暮らしに美しい
蒲焼の匂いが夏を連れてくる
創作は素敵気持ちが弾むから
現在地動きたくない心地よさ



   「 酷 暑 」      桃華

  排水を集めて庭に打ち水を
野菜畑暑さでぐったりおまえもか
  熱中症心配しながら草を取る
★赤ちゃんがにっこり笑う暑い日に
  酷暑水害 地球こわれる音がする



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 わたくしの重さに耐えるハイヒール(野のはな)      まつぼっくり
      ハイヒール・・・この女性の代名詞のようなハイヒールを履かなくなってもう何十年が
     たつでしょうか。ある意味ハイヒールを履かないということは極端に言えば女を捨てた
     ことになるのでしょうか。若い頃痛くても疲れても必死で美しく見せるために履いていた
     ハイヒールがふっと愛おしく思えてきました。

 ・お盆来て花持ったまま墓に雨
 ・墓清め妙に納得ひと仕事(柳立)        まつぼっくり

      おそらく私と同じ頃に墓掃除に行かれたのかもしれません。私は3日間行きましたが、
     初日はかなりひどく雨が降り、ずぶぬれの中で草取りをしました。もちろん大雨の中他に
     人影はなく、雨宿りしながら雨に打たれる墓を眺めていました。とても静かでなんだか
     トトロの場面に似てるなあ・・・とか思いながら。
      不思議なもので滅多にやらない墓掃除をすると、なんとなく気持ちが落ち着いてきて
     ご先祖様を味方につけたような気がするのが自分でも少し可笑しいですね。

 耐えて耐えて来た道だから愛おしい(桃華)     美智優
     長い人生、良いことより辛いことの方が多いような気がしますが、ふと振り返ってみると
    「よく頑張って来たな」と懐かしく感じます。自分が通ってきた道だから愛しく感じるもの
    なのかもしれません。

 ・腹満ちて心に元気満ちてくる(靖坊)     美智優
     
美味しいものを食べる時には幸せを感じますし、お腹がいっぱいになると優しい気持ち
     になって、「さあ、また頑張ろう」と、元気も湧いてきますよね。

 夜神楽の余韻に浸り温泉に(美智優)      靖坊
     余韻はいいですね。例えば目覚ましが鳴ってもすぐに止めて、あと五分ねと言いながら
    二度寝する時のあの心地よさに似て、鑑賞中よりも楽しみが深かったりします。しかも
    それを温泉で味わうとは、まさに身も心も余韻に浸りきっていた訳ですね。夜神楽、
    一度見てみたいものです。

 赤ちゃんがにっこり笑う暑い日に(桃華)     悠澪
      暑い日が続いていますが、赤ちゃんがにっこり笑うと癒されますよね。思わずこちら
     でも微笑んだりして。暑さが厳しいからよけいにほっとさせられるような句です。

 ・真新しい花と線香姉の跡(柳立)     悠澪
      納骨堂へお参りに行くと、ビールとお饅頭が供えてありました。叔父夫婦が来たのだ
     なと思いました。最近ではお参りに来た形跡もないところが多く、両親に「叔父さんたち
     が来てくれたのね、よかったね。」と手を合わせました。

 川の字は少しばあばの方に寄り(ぺ天使)     桃華
      じいじとばあばの間に2歳児が無心に眠る愛らしい姿、いい風景ですね。
      我が家でも先日、4歳児を預かり久しぶり川の字で寝ましたが、この暑いのにすぐ
     私の方にくっついてきて・・・・。かわいいけれど暑苦しい。寝ている時は無意識に
     母親を探しているのでしょうね。やはり、じいじの方よりばあばの方です。

 空っぽは善なることか暑い朝(びひゃーな)     英人
      今年の連日の熱帯夜には全く閉口です。そして、朝早々からもう暑い。今日1日を
     どう過ごしていくか・・・苦痛にもなる。空っぽになれれば楽であろう。やはりこれは善では
     なかろうか。

  現在地動きたくない心地よさ(まつぼっくり)      英人
       どんな所に住んでおられるのでしょう・・・。井の中の蛙で他を知らないだけでは
      ありませんか?・・・でも、こう言えるのが一番、逆であれば不幸です。他へ移っても
      またこう言いましょう。


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             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
 
 2)2010年「課題」
      (1月)山  (2月)淋しい  (3月)一人  (4月)来る
      (5月)悲しい  (6月)胸  (7月)痛い  (8月)耐える
      (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
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