so102
(せんりゅうつれづれそう)
第102号(22年6月)
薔 薇 の 章
課 題 「 胸 」 返信は胸に納めて出さぬまま 靖坊 ニヤニヤで読まれてしまった胸の内 ぺ天使 胸中を開かせぬままの縄暖簾 ぺ天使兄 誰ぞ知る張り裂けそうな胸の内 ぺ天使妹 胸を割る友を探して一人旅 ★柳立 黄泉の国胸にふたつは秘密持ち まつぼっくり 胸元に花をかざして待ち合わせ 美智優 ときめきを胸に鍵掛け保存中 ★さくら 胸を見て子育ての後思い知る 酒仙 胸おどり孫の誕生待ちわびる 悠澪 胸の中見せないままに草を取る 桃華 電車に乗る喜怒哀楽を胸に秘め 英人 |
「レイニー・シーズン」 さくら
窓からの景色が煙る雨の朝
傘の花一列に咲き学校へ
紫陽花が雨にうたれて七変化
★久々の都会の風に背筋伸び
三日月が浮き沈みする夜の海
「梅雨の頃」 柳立
★新緑に雨もまた好し独り旅
紫陽花は雨にけむってなお悲し
雲低く燕返して巣に戻る
置く露の葉先離れてピンと立ち
そぼ濡れて田植え手伝う姉妹居る
(随想1) 「 幽 閑 」 柳立 一線を退く頃から多くの方が思う事、ある人は晴耕雨読とか 仙人の様な暮らしがしたいとか、いわゆる文人を理想とする。 書物を読んでは茶を楽しみ ちょっと横になっては夢にも遊び、 山紫水明に琴を奏で来訪の友と酒を酌む。 大詩人陶淵明先生など古来こんなのが理想的な文人の暮らしであったとか。 なかでも琴は必須のたしなみで、歌舞な演奏を嫌い、 緩やかな曲は大自然に溶け込むが如く自分で自分に聞かせる。 決して上手である理由は無く、 またお気に入り一曲さえ弾ければ 沢山の曲を覚える必要も無い。どこまでも天地に溶け込む事を望む。 お琴はやらないが 私もこんな姿勢が好きだ。 |
「 夢 」 まつぼっくり
遅い夜浅い眠りに夫待ち
寝苦しく追いかけられる夢を見る
★はびこった窓辺の蔦が見せる夢
どうせなら幸せな夢所望する
一生も刹那の夢の一部かも
「 戯 言 」 酒仙
約束を守らず人に押し付ける
政治とは人気だけでやれるもの
雪も溶け熊野古道は人の群れ
目に留まるレンゲ畑が一面に
★ゴミ拾い落ちないものが落ちている
(随想2) 「 いとこ会 」 ぺ天使兄 先日、4年に1度の「いとこ会」があった。
77歳から55歳の13名が瀬戸内の島に集い、 1泊した。体調や仕事の都合で4名が欠席。 近況報告もさることながら、皆が幼かった 終戦当時の思い出話で盛り上がった。 祖父母、伯父、伯母のエピソードなど、初めて 聞くことも多く、とても興味深かった。 思えば「いとこ」が集まって楽しく昔話ができるのは、 8人いた母の兄弟姉妹が皆仲よくやってきたからこそであろう。 みんな長生きであったが、今や95歳のわが母だけになった。 伯父、伯母と母に改めて感謝を捧げたい。 |
「金子みすず」 美智優
思いやりある子になれと読み聞かせ
落ち込む日勇気をくれるみすずの詩
ひとりの夜ぬくもりもらうみすずの詩
やさしさとぬくもりあふれるみすずの詩
★「みんないい」? 私は私でいいんだね
「孫の運動会」 悠澪
孫息子応援しても無表情
応援合戦祇園太鼓もお見事に
★目が合えばニッコリ手を振る孫娘
自慢げにリレーに出ると孫娘
演技前バアバを探すきょろきょろと
・・英人の20句抄・・ 「不安の中」
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「 元気色 」 靖坊
白雲よ重い憂いは軽やかに
青空よ狭い心は広くなる
新緑よため息さえも爽やかに
★朝焼けよ今日の希望が湧いてくる
映るものみな元気色初夏の朝
「 あの時 」 ぺ天使
あの時の君の笑顔が焼き付いて
旅に出て親切受けたあの時は
あの時に会って以来の友情で
★あの時にイエスと言って今日がある
あの時のように歌おう乾杯を
「あじさい」 桃華
心配をかけた人にもあじさいを
あじさいの白に決心伝えている
あじさいの心変わりを許しましょう
人間を慰めている白あじさい
★四十年あじさい意識してきたよ
(鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ ・返信は胸に納めて出さぬまま(靖坊) まつぼっくり 人は言いたいことをどのくらい口に出したり文章に書いたり出来るでしょうか。案外 一番言いたいことは胸の奥にしまっておいて、さしさわりのないことでお茶を濁している 自分にふと気付くことがあります。その方がより想いが深くなることもあります。 ・久々の都会の風に背筋伸び(さくら) まつぼっくり 田舎のぬるま湯に心地よくつかっていてある日都会に出たりすると、今まで自分に甘く なっていたお腹のでっぱりが急に気になったりするものです。都会を颯爽と歩くレディ たちはどうしてあんなに美しいのでしょう!もはや私が失った美しさです。 ・ゴミ拾い落ちないものが落ちている(酒仙) まつぼっくり 何が落ちていたのでしょうか、とても気になります。思いやり、道徳・・・・? 気をつけて いてもゴミは貯まる一方です。大切な美意識も一緒に捨てているかもしれません。 ・誰ぞ知る張り裂けそうな胸の内(ぺ天使妹) 悠澪 胸の内にあるものは、怒りでしょうか? 愛しい人への溢れんばかりの思いでしょうか? 口には出せないことや、もし話すことができても理解してもらえず、一人で耐えなければ ならないことって多々ありますよね。 ・陰性と言われて疲れドッと出る(英人) 悠澪 健康診断後に精密検査をするように言われると不安を感じますが、その検査の結果 待ちの数十日はほんとに落ち着かないものですよね。陰性でよかったですね。ほっと すると同時に、どっと疲れを感じるお気持ちわかるような気がします。 ・寝苦しく追いかけられる夢を見る(まつぼっくり) 靖坊 試験やらレポートやらに追われていた学生時代は、追いかけられる夢をよく見ました。 何に追いかけられているのか不明のまま、とにかく逃げている夢が多かったですね。 ところが最近は、そんな夢はさっぱり見ません。年取るごとに毎日がのほほんとしてきて います。夢でなく現実で誰かに追いかけられたら、ちょっと嬉しくなるかも。 ・黄泉の国胸にふたつは秘密持ち(まつぼっくり) 美智優 誰にでも秘密はあると思います。この歳になると後悔や反省することも多く、できるだけ 綺麗な心で旅立ちたいと考えさせられました。 ・ときめきを胸に鍵掛け保存中(さくら) 美智優 ウキウキしてくるような、若々しい作品ですね。いろいろと空想が広がってきます。 ・映るものみな元気色初夏の朝(靖坊) 桃華 映るものがみないい色とは羨ましい。心が元気なのですね。私は灰色、疲れがたまって います。早くこの色を消したい! ・あの時にイエスと言って今日がある(ぺ天使) 桃華 「あの時」って、プロポーズの日かしら?ほのぼのとした時間が流れました。30年も 40年も前のことがこの句を通して鮮明によみがえってきました。私のも青春があったんだ ・・・と。イエスと言ったから今が幸せなんですね。 ・黄泉の国胸にふたつは秘密持ち(まつぼっくり ) 英人 母が6月28日、満95歳の天寿を全うし黄泉の国に旅立ちました。母はどんな秘密を 抱いて旅だったのでしょうか。あまり多くを語らぬ人だったので、2つばかりでなく、多くの 秘密があった気がします。それとも念仏を唱えることによって解消されていたのでしょう が。今はもう何も聞くことができません。 ・あじさいの心変わりを許しましょう(桃華) 靖坊 あじさいの色の変化をどうしようもないのと同じく、人間の心変わりもどうしようもありませ んね。でもずっと同じ色のままよりも、多彩に変化した方が面白い人生なのかなあとか 思ったりもします。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2010年「課題」 (1月)山 (2月)淋しい (3月)一人 (4月)来る (5月)悲しい (6月)胸 (7月)痛い (8月)耐える (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |