so098
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第98号(22年2月)

冬 牡 丹 の 章

(科 目)ボタン科    (花言葉) 壮麗、王者の風格、
 二季咲き性の牡丹を使い、春に作られる予定の花芽を摘んで、秋にできる
つぼみを冬に開花 させる。 開花時期は1月頃。放置すると春咲きに戻る。


牡丹、冬牡丹、寒牡丹、何が違うのか、調べていていろいろなことを知る。
人間は人間の都合に良いように自然のものを変えてきた。植物も動物も。
我々の豊かさはその中にあるだけに、より自然に感謝しなければならない。
(写真は名古屋の徳川園で写してきたものである)
                       (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 淋しい 」

夫留守で淋しくもあり嬉しくも     ぺ天使
独り居の淋しさ包む水仙香     ★ぺ天使兄
淋しさよ外に雀の忙しさ    ぺ天使妹
独りが好き でもほんとうは寂しいよ    ★美智優
春なのにまた歯が抜けて淋しい日     柳立
淋しいという文字嫌いケセラセラ    まつぼっくり
蛇口から淋しい音のひとしずく    靖坊
人混みにいて寂しさはつのるだけ    野のはな
記念日に限って夫は出張に    悠澪
大相撲贔屓力士が休むとは     酒仙
冬の海淋しい波が打ち寄せる    さくら
散る花を追うのはもっと淋しかり     桃華
淋しさが人を求めて歩く町    英人



「 気 合 」     美智優

明日を良くするのは自分自身です
ライバルの前についつい背伸びする
帯しめて弱気な心封じ込む
★やや濃いめ悲しみ隠す紅を引く 
面接室ノックする手が武者震い



   「 節 分 」  柳立

運勢を鬼の目の前歳に分け
  ★タレントを鬼も見に来る節分会
  煎り豆の硬さ無くして鬼笑い
    固い花気持ちだけ春雀鳴く
メタボ邪鬼歩いて歩いて汗に出せ


「揺らぐ心」      悠澪

むしゃくしゃし不機嫌な風とにらみ合い
やるっきゃない下を向いたら後がない
★旧友の名がふと浮かぶ二日酔い
がらになく仏心を出しちゃった
ゴーゴーと不安をあおる風の音



(随想)   「 椿の花 」   悠澪

 子供の頃に、初めて椿の花を見た時、
その素朴で可憐な美しさに心引かれた。
下を見ると、うっすらと積もった雪の上に、枯れてもいない
美しい姿のままで、椿の花がポツポツと落ちていた。
私は、なんとはなしに感動した。
花は美しさが命。

その美しい盛りに、まだ枯れ始めてもいないのに、きっぱりと散る。
椿の花は、自分の寿命を知っているのだろうか?
まるで、生き恥はさらさないとでも言っているような、この散り際の潔さ。
その時から椿の花は、私の一番好きな花になった。




  「心機一転!!」    さくら

 窓開けて新たな街にごあいさつ
 晴れた日は遠く富士見え運上がる
 母も子も友を見つけに公園へ
★散歩道新たな出会い期待する
 地図忘れ迷路の街に迷い込む

 


「 不条理 」   まつぼっくり

不条理な場所でいつまで待たされる
跳べたかもしれないだけど沈んでる
この位置で朽ちれるならばそれもいい
健康であなたと二人生きたいね
★五十年生きて自分が見えてくる




「  犬  」     ぺ天使

★手を出せば信頼してると腹を見せ
一歳がこぼす菓子屑待っている
おあづけが長くて互いに根比べ
リード持つご主人様に尾を振って
番犬は留守番上手で吠え上手



   「 今から 」  靖坊

  やりますと軽い言葉に重い腰
やるつもり思ったままでもう何年
   明日から今日から違う今すぐに
 ★よしやろう錆びた歯車回り出す
  やり出せばいつやめようか思案する



・・英人の20句抄・・ 「旅に想う」
            
   冬終わり旅の予定を埋めていく
             ひとつずつ予定狂わす頭痛あり
           さわやかに鳥の声聞き頭痛やむ
        食卓に一族揃いあのねのね
       空白の日の昼食が気にかかる
      短所が長所になる履歴書
                   順番を違えず芽を出す春の花
                   収穫はあわてませんと春の蜘蛛
                   心地よし素足の下に大地あり
 気がつくと涙もろかった還暦後
  還暦後旅行の魅力増していく
         目覚ましの音より早い旅の朝
           火の元や戸締まり気になる旅の中
              好天を贈られてよし旅の空
                煙突が景観となる過去の町
      旅先で出会った知人が頼もしい
   カメラの眼で地球眺め見たつもり
  アイス買う帰宅時間が気にかかる
               終章が間近に涙流す人
                    メロドラマ免疫力を試される



「 交差点 」    野のはな

梅一輪重たい冬のコート脱ぐ
春うらら明日はどこへ行こうかな
干からびてないか私の夢希望
お別れと出会いを春の交差点
★目立たないけれど確かに春が来た



   「つれづれ」    酒仙

 あの人とふたりで酔うと酒美味し
   この世界人のことなどわかるのか
     今日飲んであすも飲んでる酒びたり
   ★人は人 人の真似して気を使う
 考えるその思い出をめぐらせる

 



「 朝 に 」      桃華

頭痛する行かねばならぬその朝に
失礼な人にも会釈して帰り
茶柱が立った夕方孫が来る
白鳥が降り立つ池に人の群れ
★苦も楽もずっと見てきた古時計



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 面接室ノックする手が武者震い(美智優)      まつぼっくり
     武者震いと言うくらいですから自信はあるのですね。「やってやろう!」という
    前向きな姿勢。素晴らしいです。ぜひとも頑張っていただきたい。何事も引っ込み
    思案では始まりませんよね。

 ・随想「椿の花」(悠澪)      まつぼっくり     
     素敵な随想ですね。短いけれどとても胸を打つものがあります。「引き際」という
    ものを考えます。椿のように美しいまま命を終えることができれば本望ですが実際は
    そうもいかないでしょう。寺さんも冒頭でおっしゃっていましたが植物から学ぶことは
    多いと思います。

 母も子も友を見つけに公園へ(さくら)      美智優
     富士山の見える所とは、よいところに越されましたね。小さなお子さんがいての
    引越しは、大変でしたでしょうね。見知らぬ町で前向きに生きていこうとしている姿勢が
    うかがえる、イキイキとした句だと思います。

 ・やりますと軽い言葉に重い腰(靖坊)     美智優
     会社勤めをしていた頃、残業を頼まれると厭と言えないたちで、もちろんお金もほしい
    し、「はいやります」と答えては後悔していました。周りの人が帰り始めると手の動きは
    遅くなるし、それからの一時間の長いこと長いこと、仕事しながら時計ばかり見て
    いました。

 地図忘れ迷路の街に迷い込む(さくら)    まつぼっくり
     新しい街にはもう慣れましたか?大変だと思いますががんばってくださいね。子供さん
    のほうが早く慣れると思いますので子供さんから勇気をもらえると思います。この作品は
    今だけを詠っているのではなくて、生涯の迷路を指しているような気がします。

 春うらら明日はどこへ行こうかな(野のはな)     まつぼっくり
     軽やかな心で小さな夢を飛ばす・・・なんだかうらやましいです。今はまだ自分は重い
    鎖を自分でつけているような気がしています。軽やかな夢を飛ばせる日。そんな日を
    夢見ています。

 夫留守で淋しくもあり嬉しくも(ぺ天使)     悠澪
     夫が出張のときなど、自由で気楽でいいなァと思いますが、一人で食事をするのは
    味気なくてやはりちょっぴり淋しさを感じます。この心境わかるなァ〜。

 人混みにいて寂しさはつのるだけ(野のはな)     悠澪
     子供の頃、引っ込み思案で人見知りだった私は、転校やクラス替え・進学のたびに
    新しいクラスになかなかなじめなくてずいぶんと寂しい思いをしました。「ひとりでいる
    一人は寂しくないが、大勢の中の一人は寂しい」と、その頃よく思ったものです。

 目立たないけれど確かに春が来た(野のはな)     桃華
     春が来たと感じるのは人それぞれの感性だと思う。私は蕗の薹が出ると、ああもう
    春がそこに来たのだと感じ、嬉しくなる。つくしが芽を出すのも嬉しい。寒い冬を生き
    抜いてきたものたちの力強さをそこに感じるからである。

 明日を良くするのは自分自身です(美智優)      靖坊
     いや、まったくその通りですね。今日より悪くならなければ明日はどうでもいいや、
    なんて思って毎日を過ごしている自分には、誠に叱咤激励な一句です。今日の晩御飯が
    コロッケなら、明日はメンチカツになるように頑張っていきたいと思います。

 健康であなたと二人生きたいね(まつぼっくり)     英人
     夫婦であること、そして揃って健康、人生これに勝るものはありません。それだけに
    それをかなえるのはなかなか難しい、そして、かなえられてもいつか崩れます。その
    崩れるとき、上手に崩れたいものです。

 人は人 人の真似して気を使う(酒仙)      英人
     人は人、個性を大切にしたいと言いながら大方は人のまねをしているのである。
    そして、人の評価を気にしている。なかなか独立独歩という訳にはいかないのである。
    まあ、それで社会に秩序は保たれているのかもしれない。

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  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
 
 2)2010年「課題」
      (1月)山  (2月)淋しい  (3月)一人  (4月)来る
      (5月)悲しい  (6月)胸  (7月)痛い  (8月)耐える
      (9月)昨日 (10月)捨てる (11月)古い (12月)手紙

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
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