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     (せんりゅうつれづれそう)


              
 第95号(21年11月)

七 変 化 の 

(科 目)クマツヅラ科    (花言葉) 合意、協力、不確かな計画性、
別名「ランタナ」。開花時期は6月下旬から11月と長い。同じ茎から違った色の花を
咲かせる。こんなところが七変化と言われる。実も緑から青、黒と変化する。

花も名前を知っていると親しみを感じるし、より楽しい。この七変化は近くの畑で
いつも綺麗な花だなあと見ていたが、名前を知らない。それが、インターネットで
偶然名前が分かった。嬉しかった。そこで川柳連れ連れ草に登場となった。
1年に一度も花を買わない家庭が6割あるという。花のある生活は意識しない
うちに潤いをもたらしている。花のある生活空間に心がけたいものだ。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 夕焼け 」

夕焼けが今日の後悔焼き尽くす     靖坊
君といて黙って見てる夕焼けを    悠澪
夕焼けの空の向こうに明日が待つ    さくら
夕焼けの似合う夫婦になりました    野のはな
好きだった青春時代の夕焼け    ★酒仙
夕焼けが私を紅く染めてゆく    ぺ天使
夕焼けで秋刀魚を焼いて食べたいな    ぺ天使兄
夕焼けの空を雄々しく“きぼう”行く    ぺ天使妹
夕焼けが空を大きな画布にする   まつぼっくり
夕焼けに心が弾む明日も晴れ     ★美智優
夕焼けに若さ誓った時もある     柳立
夕焼けを追いかけた日が懐かしい    桃華
夕焼けに包み込まれて希望持つ    英人


  「  道  」     ぺ天使

   ★一人では躓いていた山の道
  この道は避けて通れぬ茨道
    ぬかるみを飛び越えたから今がある
  道草や嫌がられても声をかけ
     これからも一緒に歩こう下り坂


「思い出すこと」  靖坊

無意識に思い出浮かぶ寒い夜
笑っちゃうあの日は泣いた思い出も
★忘れかけた笑顔の君が鮮やかに
脳内のアルバム色褪せることなく
今の僕明日には思い出の中に



「 胃腸薬 」    野のはな

★記念日の孤独小石を蹴っている
カリカリとキリキリそして胃腸薬
黒い服着て反省をしています
指の先ささくれていて不幸癖
来年の話をしてもいいですか



(随想)     「 初めての体験 」   ぺ天使兄

足早に歩くと胸部に微かな痛みが出るのを感じ、
秋晴の一日、散歩気分で病院へ。
心電図を見た医師が即、電話して「何とかベッドを確保しました」という。
〈アレッ、すぐ帰るつもりなのに?!〉
心臓への負担を避け、混雑する待合室の視線を感じながら
車椅子で運ばれたのは集中治療室。
一般病棟に空きがなかったらしい。
やがて、ストレッチャーでカテーテル検査室へ。


古希直前にして初めての入院生活が始まった。
検査後歩くことは一切禁止。ベッドでの放尿は至難の業だ。
身体は何本もの管でつながれている。

病気は地震の如く突如やってくるものなのだ。
日ごろから身辺整理はやっておかなくちゃ・・・。



「黄昏の秋」    さくら

嵐の夜子の無邪気さに励まされ
車窓より黄金色した秋のぞく
宅急便実りの秋が詰まってる
芋に栗心安らぐ秋の味
★蛇口から冬の気配が流れ出す



「病気して(2)」     悠澪

治療受け薬続けてぶり返し
お迎えの私の番はまだですよ
髪は抜け睡魔が襲い気力なし
くよくよと言うが心はアッケラカン
★点滴が早く治れと落ちてくる



      「 笑 い 」   酒仙

   歳よりはおなじ仕草で笑われる
       孫の顔いつもの仕草に笑い呼ぶ
     ★観光地誰もかれもが二人づれ
  駆け込んで乗った車輌が専用車
        大掃除今度は自分がされる番



「妙心寺にて」     柳立

探幽の竜のうなりはシンとして
何クソと座禅の脚はただ痛い
目の前に折れた警策飛んで来て
★雲水とミニスカートのすれ違い
精進はおふくろ味にホットして




・・英人の20句抄・・ 「 風邪を引く 」
   
  人間の都合は聞かず冬に入る
  暑すぎると愚痴ったことをすぐ悔やむ
         一瞬の油断誘った畑仕事
          畑仕事残したままにコタツ出す
            風邪をひく免疫切れを忘れてた
                    咳が出る妻の苦言が痛い耳
                  信じれば効果あるかも風邪薬
                咳き込んで寝付かれずつい時計見る
       眠れぬ夜上海旅行を思い出す
       ただ一人一人参加の虚しさよ
       気を遣い他人の中に入り込む
       上海は万博間近いきり立つ
       街中をひっくり返して新たな芽
       上海の別世界を見た新世界
       人間の能力を知る雑伎団
                  きっぱりと床を抜け出す午前3時
                  咳忘れ推理小説読んでいる
     寝不足のままで一日耐えている
   時は秋予定の多い三連休
  庭仕事風邪吹き飛ぶと信じよう




「日々のこと」    まつぼっくり

当たり前なんかじゃないね幸せは
★何事もなく終わる日に深呼吸
デコボコの人生それが当たり前
限られた命の中で生きている
もう少し時間ください神様よ


    「  鍋  」      美智優

  鍋の中ぶつかり合ってる箸と箸
      鍋囲み話し弾んで皆笑顔
         ★それぞれの思いぐつぐつ鍋の中
   鍋の日は夫の存在感目立ち
 食べ過ぎて後片付けが億劫に



「雨上がり」     桃華

雨上がる 石蹴り出した男の子
公園に置かれたままの三輪車
★雨上がり血圧少し下がっている
散るために美しくなる紅葉かな
雨上がり山も紅葉も迫ってくる




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 夕焼けが今日の後悔焼き尽くす(靖坊)   まつぼっくり
     スケールの大きな作品ですね。空いっぱいの夕焼けの下で気持ちが豊かになって
    いくようです。

 ・記念日の孤独小石を蹴っている(野のはな)     まつぼっくり
     ご主人が結婚記念日を忘れていたんですね。ショックだった野のはなさんの女性らしい
    かわいらしさがとてもよく表れていると思います。わが家はもう慣れっこになっています
    から、覚えているほうにびっくりしてしまうでしょう。
     後から思い出して何かプレゼントしてくださったのではありませんか?

 雨上がる 石蹴り出した男の子(桃華)      まつぼっくり
     なんだかなつかしい光景です。岩崎ちひろさんの絵を見るような感じがします。
    「公園に置かれたままの三輪車」もまるで一幅の絵のようなイメージですね。
    とても癒されます。

 ・笑っちゃうあの日は泣いた思い出も(靖坊)     悠澪
     若い頃は真面目に一生懸命にやっても経験不足からか、失敗をして悔しい思いをしたり
    恥をかいて落ち込んだり、今思えばどうしてあんなにがむしゃらだったのだろうとふと笑って
    しまう思い出がいくつかあります。私は思い込みも落ち込みも激しく立ち直りに時間のかか
    るたちでしたから、よく心の中で悔し泣きをしたものです。

 当たり前なんかじゃないね幸せは(まつぼっくり)     悠澪
     平凡な日常生活を当たり前だと思っていましたが、意識してみるとこれこそが幸せなん
    ですね。健康で心配し合う家族がいて、その日その日を何事もなく暮らしていければ、
    それが一番の幸せだと思います。

 記念日の孤独小石を蹴っている(野のはな)     美智優
     女性は記念日を大切に思いますが、男性にはそれほどでもないのでしょうか? 
    記念日を忘れられる寂しさってありますよね。野のはなさんのすねている様子が
    見えるようです。

 蛇口から冬の気配が流れ出す(さくら)      美智優
     水道水は夏は生温くて冬はとても冷たく、これからは洗い物が辛くなる季節ですね。
    私などは「いやだな〜」と思うだけですが、作者は水温の変化に冬を感じて、すてきな
    感性の持ち主だと思いました。

 もう少し時間ください神様よ(まつぼっくり)       靖坊
     小さい子供に「クリスマスの贈り物は何がいい?」と尋ねて「時間!」と答えられたら、
    サンタさんもさぞかし困るでしょうね。幼児の頃は時間なんて意識もしていなかったと思う
    のですが、時計の見方を覚えてからは、時間を気にせず暮らすのは不可能になってしま
    いました。今現在は暇を持て余す毎日。私の余っている時間を差し上げたい気分です。

 お迎えの私の番はまだですよ(悠澪)      靖坊
     日頃考えない様にしている事を考える様になってしまうのが、病気の時の人の心理と
    いうものでしょうか。むしろ逆に、健康な時こそ「お迎えの番はまもなくだ」くらいの気構え
    でいた方が、無病息災の有難さを感じられるのかもしれませんね。まずは治療に専念して、
    ゆっくり養生なさってください。

 ・駆け込んで乗った車輌が専用車(酒仙)      桃華
     走って走ってやっと乗り込みセーフ!ああ、助かったと安堵した途端、まわりの異様な
    空気に気づく。うーん、何?女性達のいや〜な目・・・・。エッ?!女性専用車?!乗って
    しまって降りられない恥ずかしさ・・・・おかしくってつい笑ってしまった。あわてるといい
    ことありませんね。

 ・一人では躓いていた山の道(ぺ天使)      英人
     そうなのです、一人では躓いても二人なら躓かない道は山の道に限りません、いろ
    いろあります。ぺ天使さんもそうして現在までいろいろ困難を乗り越えてこられたので
    しょう。そんな境遇を持てたことに感謝しましょう。私もしかりです。

 精進はおふくろ味にホットして(柳立)      英人
     美食に慣れた身に精進料理は耐えられるのか・・・そんな不安もなんとおふくろの味で
    あったことにホッとする。一昔前の多くの家庭では毎日の食事が精進料理と変わらな
    かったのだ。私の子供時代など、今の精進料理よりもっと質素だった。

 お迎えの私の番はまだですよ(悠澪)      酒仙
     同年齢近くの友が去っていくとつい自分ももうじきかとあわててしまいます。昔から
    古希はまれと言われていたことがただ単なる迷信と思っていたのに70歳の声を聞いた
    途端に現実見を帯びて・・・・・お互いがんばりましょう。   

     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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