so092
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第92号(21年8月)

女郎花(オミナエシ)の

(科 目)オミナエシ科    (花言葉) 親切、永久、美人、忍耐、
沖縄をのぞく日本全土に分布している。草の丈は60-100cm程度。8〜10月に
黄色い花を咲かせる。日当たりの良い草地に生える。秋の七草の一つ。
全草を乾燥させて煎じたものは、解熱・解毒作用があるとされる。

オミナエシの「オミナ」は「若い女性、女性、美人」のことだそうで、
今の意味の女郎ととると理解できない。日本語の長い息づかいを感じる。
機会のある度に一つずつ知ることだろう。そして、川柳に生かしたい。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 小さい 」

小さな手みんなの幸せ握ってる     ★さくら
小心は風を気にしてまだ跳ばぬ     まつぼっくり
放任の小さい果実群れを成し    柳立
あの日から小さい棘が刺さってる    野のはな
老いてなお小さな夢を追い続け     美智優
小さめを避けてあなたに大きめを     ぺ天使
幼子が大泣きをして自己主張     ぺ天使兄
小さき芽 草か花芽かひと揉めし    ぺ天使妹
蝉落ちる夏が小さくなっていく     ★靖坊
些細だと思っていたら大事に     酒仙
夏山が小さな窓を絵に変える     悠澪
残念なことに小箱に母の骨      桃華
残り火が小さくなって旅支度     英人



「シルエット」  靖坊

シルエット誰もが美形になる不思議
時経てば薄れゆく君のシルエット
炎揺れ影が揺れ心が揺れる
自らがシルエットなり黒い猫
★夕暮れて我もまた夏のシルエット


  「蝉が鳴く」    美智優

   雨上がり待ってましたと蝉が鳴く
寝付けない瞼閉じれば蝉時雨
 ひと夏を命を掛けて蝉が鳴く
     梅雨晴れ間力の限り蝉が鳴く
  ★孫帰りいっそ大きな蝉の声



「 自 慢 」      酒仙

★丈夫だと自慢していて医者通い
年寄りは予期せぬことが起こりうる
焦ること慌てふためくカードローン
付き合いでいまいち了見狭くなる
自慢してカードを見せて得意顔



「 笑 う 」    ぺ天使

ケラケラと一緒に笑う孫と居る
名を呼べばほほえみ返ししてくれる
ノッポでも笑った顔は未だ幼し
★笑うこと忘れているのかセミが鳴く
幸せな人の笑顔は目も笑う




(随想)     「 店 名 」    ぺ天使

6月に大阪の○○市へ行く用があり、駅からタクシーに乗った。
その車窓から目に入ったのは居酒屋で「わりかん」という店。
「なるほど」と大阪らしくサッパリと割り切った心意気を感じた。

千葉県にの**市にはカラオケ喫茶で「おんち」という店があった。
歌が上手な人にはまあ失礼な!!と敬遠し、
下手な人は安心して店に入りやすいのかも。

店の名一つで人は入ってみようと思うのかしら・・・
と、前を通るたびに思ったことである。




 「夏を待ち切れなくて」   さくら
 
アイス屋の行列寂し長い梅雨
  夏空よ早く来ないと夏終わる
    久々に水着買い替え子と泳ぐ
  ★子の言葉増えて楽しい時間増え
夏空が掻き消されいくゲリラ雨



「 盆休み 」      柳立

煙舞う責任果たす墓参り
不景気の長期休暇は無駄休み
芋洗うレジャーランドに突撃し
独り身のここはやっぱり甲子園
★盛り越え夜鳴く蝉の小さくて



「 孫 」     悠澪

汗をかき自転車こいで孫が来る
逢うたびに背丈も知恵も伸びる孫
美しい孫の瞳に癒される  
★生意気になればなったで可愛い孫
祖母に糸通した我が孫頼り




・・英人の20句抄・・ 「 義母が逝く 」
   
        老衰で命が果てる夏の空
     人の死を知らぬままに時計鳴る
   義母が逝く歩く姿が目に残る
             八十六歳 年に不足はないけれど
           若くして病弱抱え生きてきた
         弱いから若死にすると限らない
       老衰と言う死因は勲章よ
              葬儀屋に誘導されて自己喪失
                祭壇の写真選びで過去訪ね
                  若き日の写真に話よみがえる
    人の情 殺して葬儀淡々と
  人の死が始めて写る孫の目に
 幼くして人間は死ぬものと知る
     孫の目が見つめ不動の棺の中
        お説教を聞いた顔は穏やかに
           極楽へ穏やかな顔持って行く
       よく頑張ってくれたと子らは言う安堵
         ロウソクが残り少なく口つむぐ
            語ること語り尽くして悔いはなし
                  儀式終え涙乾いて夏終わる




「夏に想う」    まつぼっくり

桜の木花の時代は忘れてる
★何も出ぬ真白き時間転がして
意地悪で遠慮を知らぬ体重計
木の影がやさしく壁と戯れる
不機嫌な朝も母だけ明るくて



  「長崎から」    野のはな

原爆忌風が止まっている今朝は
アンジェラスの鐘が響いている祈る
被爆マリアの暗い虚ろな目が悲し
★八月の空かけがえのない青さ
賑やかな弔いが好き盆が好き


「 夏野菜 」     桃華

ころころと転がる声とミニトマト
うまいよと曲がりキュウリを頬ばって
意地悪なオクラがちくとトゲを刺し
十六ささげ食べ頃だよと声を上げ
★私もここにいるよとミョウガの芽



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 夏山が小さな窓を絵に変える(悠澪)      まつぼっくり
     いいですね、好きな句です。なんでもない窓が額縁になって夏山をひととき絵画に
    変えるのです。私は私の窓に夕焼けを縁取りあかず眺めているのが好きでした。

 残り火が小さくなって旅支度(英人)     まつぼっくり
     だんだんと火の勢いが小さくなっていく。それをじっと見ているのが私も好きです。
    旅支度とは御霊のことでしょうか・・・。

 ・「夏を待ち切れなくて」(さくら)     まつぼっくり
     子育てを満喫されているさくらさん。さくらさんの句を読むとなつかしい子育て時代が
    手に取るように思い出されて本当に胸が締め付けられるようです。寒い夏のときも私は
    ひたすら青空を待ち続けて、やっと晴れたら「それっ!」とばかりに子どもたちを海や
    プールに連れて行ったものです。

 小心は風を気にしてまだ跳ばぬ(まつぼっくり)      悠澪
     行動力のない私は、行ってみたいところや、やりたいことが山ほどありましたが、
    迷ったらどうしよう、失敗したら・・・ と先のことばかり考え、一歩を踏み出すことが
    できませんでした。何もしないで後悔するより、失敗して後悔したほうが諦めがつくと
    今では思っています。

 幼子が大泣きをして自己主張(ぺ天使兄)     悠澪
     30〜40年前には、お店で「これ買ってぇ」と大泣きしたり、道に倒れて手足をばたばた
    させてわめいたりする子どもの姿を見かけることが時々ありました。親には迷惑な話です
    し、我儘で聞き分けがないといえばそれまでですが、最近の子どもたちはおとなしいと
    感じます。お行儀よくすましていないで、これ位の自己主張があってもいいのではと・・・。

 小さな手みんなの幸せ握ってる(さくら)     ぺ天使妹
     その通りです!!思わず頷いていました。幼児のその存在感、影響力の大きさには
    感服する。ちっちゃなお手々と握手をした〜い!お健やかな成長をお祈りしています。

 祖母に糸通した我が孫頼り(悠澪)      ぺ天使妹
     子供の頃を思い出しました。祖母宅へ遊びに行くたびにありったけの針へ糸を通して
    おいたのです。祖母は絹糸では着物類を、木綿糸では雑巾や足ふきマットを縫っていま
    した。悠澪さん、お近くに頼りになる方がいらしてお幸せですね。

 年寄りは予期せぬことが起こりうる(酒仙)     英人
      これは何も年寄りに限らぬことであるが、年寄りには特に多いだろう。何といっても
     肉体が疲労消耗している。いつまでも若いつもりでいることは必要ではあるが、残念
     ながら十分条件を備えていない。このことをいつも意識していることが大切である。

 ケラケラと一緒に笑う孫と居る(ぺ天使)     英人
     どうして子供はあんなに笑えるのであろう。大きくなると共に笑いは減っていく。おかしな
    現象である。でも、孫と居ると再び笑いのある生活に戻れる。「笑う門には福来たる」

 小さな手みんなの幸せ握ってる(さくら)       桃華
     幼子はどんな仕草も愛らしい。泣かれてもかわいいし、笑ってはなおさら愛おしい。
     わが家の3歳児、このごろ小生意気でも小さな手をつないでいると私自身が幸せな
    気分になる。本当に不思議!?

 ・シルエット誰もが美形になる不思議(靖坊)   美智優
     若い頃、道を歩きながら他家のガラス戸に映る自分の姿を横目に見ては溜息をつき、
    道に浮かぶ影を見ては「これくらい細かったらなァ」とよく思ったものです。今は痩せ過ぎと
    言われるようになりましたが、懐かしい思い出です。

 意地悪で遠慮を知らぬ体重計(まつぼっくり)      美智優
     少しでも軽くならないかと思い針を0にきちんと合わせなおしてそっと乗ったり、朝一番の
    食事前に乗ったりと、しかし、体重計は正直ですからね、なかなか希望するような結果を
    見せてくれませんでしたね。

 孫帰りいっそ大きな蝉の声(美智優)      靖坊
     蝉にしてみれば、お孫さんが居ても居なくても同じ大きさの声で鳴いているのでしょう
    が、でもお客さんが帰った後の広くなった家の中では、蝉の声はひときわ大きく響きます
    よね。鳴いている時はやかましいだけなのに、鳴き止むとちょっと寂しく感じるのは、豆
    台風のようなお孫さんと似通っていて、なんとも憎めない存在ではありますね。

     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


             川柳投稿


川柳&ウォーク