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     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第91号(21年7月)

南京櫨(ナンキンハゼ)の

(科 目)トウダイグサ科    (花言葉) 風変わり、情愛、おしゃれ、
中国原産の落葉高木。乾燥に強く、剪定にもよく耐え、紅葉が美しいことなどから
公園や街路樹などに植栽される。6〜7月頃に枝先に長い穂状の花序が形成される。
秋に果皮が割れると中から白い粉に包まれた種子が出てくる。
この白い粉はロウであり、冬でも枝先に付いていることが多い。


いろいろなものに旬というものがある。一番良い時期である。この南京櫨の場合は
長い穂が出る今頃だろうか。紅葉の頃だろうか、果皮が割れる頃だろうか。
それぞれ趣があっていいものだ。我等はどうであろうか。若さか、壮年か、
はたまた老年か。生きている今が旬と思えると一番いいのだが。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 行 く 」

今日の憂さ落として行けと赤提灯     悠澪
行く先は決めずに明日へ歩き出す    ★靖坊
何食わぬ顔していたが逝ってしまう    酒仙
風船を放して行方確かめず     ぺ天使
車道這うミミズを一瞥行き過ぎる    ぺ天使兄
遺失物探し行く道日暮れ道    ぺ天使妹
おつかいの足ドキドキが進ませぬ    まつぼっくり
行く前の楽しみ詰めて旅じたく     さくら
夕空の傾いて行く七時過ぎ     柳立
我道は行けど進めど霧の中     美智優
明日行く明後日行くと煮えきらず    ★野のはな
行くあてのないまま歩く繁華街    桃華
毒にも薬にもなる孫と行く     英人



  「こころは梅雨明け」     さくら 

心まで湿っぽくなる梅雨の空
     久々の晴れ間に心乾く朝
  ★旧友の弾んだ声に幸宿る
     良き友と出会う奇跡に感謝する
また会える日を楽しみに眠る夜




「暑中見舞い」    柳立

★風も無く煙にむせぶ蚊と私
かき氷イチゴミルクの女学生
風呂水にスイカ冷やした昔あり
エヤコンの風は嫌いと扇風機
オヤジ着のステテコ何処へ捨てたやら




「 生 活 」     悠澪

★さわやかな朝の空気よ窓全開
一日に一度はきっと失敗が
日記付け今日を忘れて明日を待つ
寝そべって湯船につかる終い風呂
カチコチと時計が急かしなお眠れず




(随想)     「幸せって?」    悠澪

 先日、杖を突いて右足を引きずり、右手をぶらりと下げて歩いて来る人を見かけた。
「友人のご主人に似ているなァ、でも5、6歳は老けて見えるし人違いだろう」

それにしてもよく似ている、相手も私の方を見ているようだ。
すれ違い際に「○○さんですか?」と、思わず口が動いた。
「はい」  「いったいどうされたんですか?」
「一年前に家でなった。一週間前に退院した。」
「事故ですか?」  「はい」
もともと口の重い方で詳しいことは話してもらえませんでしたが、内心ぞっとした。
人生何が起こるかわからないと思うと怖くなった。家に居ても油断できないのだ。

毎日なんの変化もなく同じような日々を過ごしている私は、
つまらなさを感じ今の生活を不満に思うことがよくあるが、
日々何事もなく無事に終えることが何よりの幸せなのかもしれない。




「 朝 」    まつぼっくり

朝目覚めいつものように始まりぬ
カフェオレを夫と息子にいれる朝
お天気はどっちでもいい朝ですよ
家族みな元気な朝がうれしくて
★不自由の中の自由をいとおしむ



  「娘の夫婦喧嘩」    美智優
 
親しさが言葉足らずに痴話喧嘩
子も連れず夫婦喧嘩の娘来る
★たまに来て愚痴をこぼしていく娘
帰りたくないと言いつつ娘帰る
いいように娘に利用され身が細る




  「探しもの」    野のはな

    カラカラとラムネの玉は楽天家
  産まないと決めた女のハイヒール
探しものあった真夏の真ん中に
  九回の裏が残っている勝てる
     ★ あがいても君に傾くやじろべえ




「あれや・これや」    酒仙

高級車自慢げに乗る人ルール無視
何気なく見とれてしまう外国人
夏姿胸もあらわに気をそそる
★講釈は自分に出来ず人にする
何食わぬ顔して見てる胸躍る



・・英人の20句抄・・ 「 真夏間近 」
               
          夫婦です夏には夏の話する
          茜雲 本音の話したくなる
  遠花火聞こえ一瞬の沈黙
  ひとつの命が消える遠花火
  ありふれた花火にもある使命感
  短いから尊いこともある花火
                 僕の死を喜びそうな人がいる
                 人の死は読経ひとつで消えるもの
      蝉が鳴く天気予報を確かめる
      予報士が無造作に言う 明日は雨
      熱帯夜無風という風が吹く
      雷が鳴る意地悪と知らず鳴る
             雑草という意地悪に勝てません
             夏草よ僕を愚弄し楽しいか
             夏草と孫の違いを考える
                   エコという免罪符がよく売れる夏
                   マイ箸を持ち歩いて肩が凝る
    ビール一本飲み放題の店で飲む
    指切りが気楽になる酒を飲む
    酔い醒めて指切りの指痛み出す




  「 花 火 」   ぺ天使

二階から見えた花火はビルの影
  ★上がるたび皆口開けた同じ顔
    孫と焚く花火に想う三世代
  逃げる子をネズミ花火は追いかける
甚平の手は花火持ち蚊も払う



「ホットホット」    靖坊

真夏日に鍋焼きうどん気合いダァ
この汗の理由は暑さだけじゃない
熱い目で見つめてみても冷たい目
★熱い仲なれるはずもなし暑い夏
温暖化僕も地球も熱くなる




「 雑 草 」     桃華

後戻りできぬ道にも草は生え
生命の強さを草で学んでる
★雑草も私も枯れるまで生きる
それぞれに背負ってきたものふり返り
梅雨明けの後の怖さを知ってるか



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 今日の憂さ落として行けと赤提灯(悠澪)     まつぼっくり
   
  いいですねえ。いっぺんで鬱が吹っ飛びそうな一句です。毎日赤提灯に寄りたい気分
    です。憂さはなくとも酒が好きです。

 ・風も無く煙にむせぶ蚊と私(柳立)      まつぼっくり
     
おもしろい。その通りですよね。世の無常を感じます。

 ・「探しもの」 (野のはな)       まつぼっくり
     一連の句を読ませていただいた第一印象は、とてもお洒落!というものです。言葉が
   ポップコーンみたいに楽しく跳ねていました。わくわくします。またこんな楽しい句を読ませて
   くださいね。

 行く先は決めずに明日へ歩き出す(靖坊)      美智優
     人生の行く先など誰にもわかりません。しいて言うなら黄泉の国? 夢を持ってあるいは
   目的に向って懸命に生きている人でも人生の結果はわかりません。明日に向って地道に
   歩き続けるだけですね。(

 おつかいの足ドキドキが進ませぬ(まつぼっくり)      美智優
     作者は好奇心旺盛な方なのでしょうか?
     この句に長女の幼き日のことを思い出しました。道を歩いていても何か興味を引く物を
   見つけると、あっちによりそれこっちにより、お店に入ると商品に手を出すし、蟻の行列など
   見つけるとしゃがみこんでいつまでも動かなくて苦労しました。今となっては懐かしいです。

 明日行く明後日行くと煮えきらず(野のはな)      美智優
     どうしても行かなければならない所があるけれど、そこで待っている用事に気が重いのか、
   そこに居る人と会うのが苦手なのか、単に億劫なのか、行くことを先延ばしにしているような
   句で、共感がもてます。

 我道は行けど進めど霧の中(美智優)      靖坊
     霧が出たら無理に進まずその場で救助を待った方がよいのでしょうが、「我道」に救助隊
   が駆けつけてくれるはずもないので、結局、自力で進むより仕方ないのですね。でも、先が
   見えなければそれなりに希望も持てる訳でして、もし霧が晴れて「我道」の行く末が見えて
   しまったら、もう歩くのも嫌になってその場にへたり込んじゃうだろうなあ、きっと。

 茜雲 本音の話したくなる(英人)      悠澪
     人は美しい景色を見ると心が洗われる様な思いがして、素直な気持ちになれると思いま
   す。そんな時、嘘のない正直な話が自然とできるのかもしれません。

 ・僕の死を喜びそうな人がいる(英人)       悠澪
     寺さんのような方の死を喜ぶなんて、そんな人いるでしょうか? と言っても、一度もお会
   いしたことはないのですが。でも、どんなに善い人でも逆恨みや妬みなので身に覚えなく
   恨まれることもあるでしょうし、逆にどんなに厭味な人にでもその人が良いと言う人もいるで
   しょうから、寺さんがどなたかにフッとそんな事を感じても不思議ではないですね。

 逃げる子をネズミ花火は追いかける(ぺ天使)     桃華
     何が怖いって、シュシュシュッと渦を巻いて追いかけてくるネズミ花火は怖かった・・・昔。
   いやいやこの歳になってもまだまだ怖い。孫より先に私の方が逃げ回るのではないかと・・・
   クスッと苦笑い。仲の良い家族の風景が見えます。

 不自由の中の自由をいとおしむ(まつぼっくり)      英人
     人間というのは厄介なもので、全くの自由の中では自由の良さよりも苦の方を感じる
   のである。不自由の中にある自由によって自由を楽しみ、またそれが愛しくなるのである。
   作者の洞察眼は沢山の人生経験に寄るのだろう。

  温暖化僕も地球も熱くなる(靖坊)      英人
      地球の温暖化が肌で感じられるようになりました。体も暑くなるが、気持ちも熱くなる。
    この熱くなった気持ちを何にぶっつけよう。まずはぶっつけても差しさわりのない川柳に
    ぶっつけてください。7月下旬になっても鬱陶しい天気も温暖化によるのでしょうか。

 ・何食わぬ顔して見てる胸躍る(酒仙)     英人
       この方は何を見て胸をときめかせているのでしょう。最近の女性の姿でしょうか。
     これだけ露出の多い女性が多くなると、僕には返って清楚な女性に目がいってしまう。
     いずれにしろ胸が躍るのはまだまだ心身共に元気な証、いろいろ挑戦できます。

 ・毒にも薬にもなる孫と行く(英人)     靖坊
       「桑名の寺社巡り」(*HPの「ウォーク」のページ)読ませていただきました。健脚の
     寺さんの後を6kmもついて行くのは、4歳足らずのお孫さんには大変だったことでしょう。
     健気に歩く(走る?)姿が目に浮かびます。ウォークに限らず人生の上でも、良くも悪くも
     寺さんの刺激剤になっているようですね。お孫さんの更なる活躍に期待!
              (勝手に寺社巡りと結び付けて書いてみました。最後の写真で
               頭の横に「寺」の字だけ写っているのが笑えました)


     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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