so090
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第90号(21年6月)

十 薬  の  

(科 目)ドクダミ科    (花言葉) 白い追憶、野性、
一般にはドクダミと呼ばれ、湿り気のある路傍や林縁、水路沿いなどに生育し、
独特の臭気のある多年生草本。十薬とは別名でもあるが、様々な薬効から
生薬名で使われる。十文字の白い花のように見えるのは花を包む苞で、本当の花は
その真ん中にある淡黄色の穂状のもの。地下茎を持つので群落を形成して繁茂する。


ドクダミは調べれば調べるほどその語感とは違うことに、知ったばかりの十薬と
いう別名をタイトルとしました。薬として、花として素晴らしい。消臭効果もある。
この写真は十薬がニラを凌駕してしまったわが家の庭のものです。
その生命力も凄い。川柳は普通と違った目で見つめるところに妙味がある。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 幼 い 」

アルバムに幼い頃の君と僕     野のはな
つかまり立ちできてクックがもう届き    美智優
まだ青い色の自分と時に会う    ★まつぼっくり
アルバムの幼い顔に和む胸     さくら
蔓草の未来をつかむ幼い芽     柳立
お茶碗と箸を持つには幼くて     ぺ天使
幼子をいだく母みな美しい    ぺ天使兄
幼きは幼きなりに理屈あり    ぺ天使妹
幼さをちょっと残したひとが好き    春爺
年老いていつまで残るあどけなさ     酒仙
老母には今も幼い我のまま     靖坊
里帰り幼馴染と飲み明かす    悠澪
幼子の行き先にある水たまり     ★桃華
幼さが残り善女と言われてる    英人



 「 家 」     美智優

小さいが夫と私のお城です
貧しいが雨露しのぐ屋根はある
少しでも広くならぬか模様替え
孫帰り前より家が広くなる
★この雨戸ここを叩くと開くのよ




  「 水無月 」     野のはな

ジグソーの欠片無心に置いていく
   女偏私もいつか姑に
★振り向いた人はまったく別のひと
   ほーらみろ自分が掘った落とし穴
曇り空赤いパラソルさして行く



「 六 月 」    春爺

 梅熟し雨など降って梅雨の二字
 水張った棚田に映る十三夜
 あじさいの似合う六月花舞台
 六月にジュノーの神が降りてくる
 ★紫陽花の一片ごとの自己主張

 

「 縁 」     まつぼっくり

五十路の一年ずつもまた楽し
川柳でつながるご縁回る縁
朝もいいでも寝る前の夜が好き
夕焼けに染まっていますしばらくは
★仕事終え鼻歌うたい魚焼く





(随想)     「土地の名前」    ぺ天使妹

旅の車窓に見なれぬ地名に出合うのは一つの楽しみである。
「ホ〜 なるほど そう読むのか」と感心することも多い。
その文字から地形や昔の人の姿、生活、歴史など
いろいろ勝手に想像して面白がっている。
そうすると、その土地に何となく愛着も出てくる。

最近は斬新な名前の標識を多く目にするようになった。
それはそれで、また新しい歴史を作っていくのだろうが、
その陰で、歴史ある地名が無くなったのではないかと思い、
少し寂しく、残念でもある。



  「 手伝い 」    酒仙

★なぜなぜと問い詰めて行く食文化
  台所妻の手助け食づくり
    暇つくり妻を手伝いくたびれる
  久しぶりカンナ持つ手で腰抜かす
歩く会たまに歩いて筋がつる



「 体 調 」      ぺ天使

ドリンクの力を借りて元気出る
どうしても行かねばならぬ騙しつつ
昨日マル今日はバツなりこの体
体調が良ければ笑顔それなりに
★このだるさ梅雨が明ければ治るだろう




「 叔父の死 」    悠澪

ひとりずつ身内旅発ち歳思う
手を合わせ叔父の旅発ち報告す
泣きじゃくる叔母に言葉が見つからぬ
痛みから逃れて叔父は祖母のもと
★叔父が逝く空も一緒に泣いている



   「 蛙 」    靖坊

    ★両手着き何を謝る雨蛙
  蛙鳴く一人寝の夜の子守唄
勝てぬなら負けるもよいぞ痩蛙
    前に跳ぶ蛙振り返りもせずに
      蛙逝く潔白の腹を空に見せ





・・英人の20句抄・・ 「 クスリとドク 」
               
           人は知るクスリとドクの裏表
       良薬は苦いものです孫が来る
       孫が来て忘れてしまう薬です
 十薬をドクダミというその本音
   その価値を知らせて果てたドクダミ
     冤罪の重みに耐えて花開く
       十薬と言い換え君の肩を持つ
          雑草と言われて気持ち楽になり
                 あじさいの色鮮やかに人を待つ
                なすキュウリ三日見ぬ間に時期逃す
               キャベツの芯へ芯へと向かう虫
                抵抗を知らぬ野菜の幸不幸
 梅雨空に宿っているのは空元気
 一時雨 理不尽なこと多い梅雨
 雷鳴が怖くて愛は語れません
     白髪染め止めて自分を取り戻す
     毒毒と言いながら喰う大福餅
         君の目がクスリとドクを併せ持つ
         鏡とて作り笑いに曇ります
                人や問う笑顔の奧の真実を




「室内愛犬」      柳立

★澄んだ目で見つめられるとついホロリ
うたた寝も顔をペロペロ目を覚まし
寄りかかるコミュニケーション犬の尻
防犯のここ一番はワンと吠え
愛犬の柱の傷は家具のキズ



「暴れん坊な1歳児」     さくら

眠いなら寝ればいいのに大暴れ
★いないいないばあの笑顔に癒される
ありがとうお辞儀ペコペコマイブーム
モップ持ちママに似たのか掃除好き
手遊びの歌をせがまれ終われない



    「あじさい」     桃華

  アクセルをゆるめて走るあじさいロード
    あじさいと遊んでいつか回り道
★後戻りできないままに摘むあじさい
    あじさいの藍に隠れているカエル
  手ざわりのいいあじさいを摘んでいる




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 歩く会たまに歩いて筋がつる(酒仙)     まつぼっくり
     わかります!いつまでも若いつもりでも体はついてきてくれません。寺さんのように
    定期的に歩いていらっしゃる方はやはりお強いのだと思いますが、普段仕事しているから
    少しはましだろうとたかをくくっていてはしっぺ返しを受けてしまいます。近頃は何にもない
    平坦なところでもけつまずくようになりました。少し意識的に歩かなければならないと思う
    今日この頃です。

 老母には今も幼い我のまま(靖坊)     ぺ天使
     親ってそうなんです。大の中年男性につい注意をしたり、食事や生活、体のことを心配
    します。特に女親は・・・・。

 幼子の行き先にある水たまり(桃華)      ぺ天使
     これから何十年もの人生で、喜びも悲しみも試練も多々あることでしょう。どうぞ水たまり
    を上手に渡って欲しいと願います。

 ・ジグソーの欠片無心に置いていく(野のはな)       悠澪
     外は雨、出かけるのも億劫で、蒸し暑くて何もする気が起こらない。徒然な時間を
    パズルに向っている図が見えてくる、まさに梅雨ならではの句ですね。

 仕事終え鼻歌うたい魚焼く(まつぼっくり)      悠澪
     仕事を持つ主婦は、仕事が終ってものんびりできず夕飯の支度をしなければならない。
    疲れもあるでしょうが、それでも仕事を終えた安堵感と言うか鼻歌のひとつも出てくる。
    私の姿そのままです。

 台所妻の手助け食づくり(酒仙)      悠澪
     だいたい夫が帰宅する頃には食事の支度は済んでいますが、支度中だと進んで手伝っ
    てくれます。同じ趣味もなく会話も少ない夫婦なので、私にはこの時が一番楽しい時間
    です。

 お茶碗と箸を持つには幼くて(ぺ天使)      靖坊
     幼児が子供用の箸でポロポロこぼしながら食べているのは可愛いものですね。最近は
    食文化の多様化で箸以外の食器もよく使われますが、お茶碗に盛った御飯にはやっぱり
    箸! たとえば牛丼は箸でガツガツ頂くもので、スプーンですくって食べるなんて、ちょっと
    考えられません。さりとてオニギリを箸で細かくして口に運んでも、かぶりつく快感がなくて
    これまたツマラナイ。食べる所作がその料理の味わいに結構な影響を与えているのだな
    あと思います。

 眠いなら寝ればいいのに大暴れ(さくら)       美智優
     ウチの三人娘も寝くじがひどかったので、このお気持ちよくわかります。ほんとに、眠い
    ならおとなしく寝ればいいのにと思いますよね。(

 ・「 蛙 」(靖坊)      美智優
     作者の人柄が見えてくるようです。(おやさしくて誠実でちょっぴりお寂しい?) 過去を
    懐かしんでばかりいないで前向きに生きて行こうと、小さな蛙の姿に励まされるようです。

 ・どうしても行かねばならぬ騙しつつ(ぺ天使)     美智優
     体調がすぐれないときに大切な用事で出かけなければならない、ドリンク飲んで
    「よしッ、大丈夫」と自分に言い聞かせて。大変ですね。お大事になさいますように。

 ・紫陽花の一片ごとの自己主張(春爺)      英人
     生命のあるもの、そのすべてに意思がある、血が流れている。紫陽花のその一片にも。
    これは優しさです。そして、こうした観察眼を持って見ることが川柳には必要でしょう。

 この雨戸ここを叩くと開くのよ(美智優)      英人
     どこに何があり、何にはどんな性格があり、家庭の中のことはすべて分かっている、
    これぞ主婦。その主婦がみえないと雨戸も開けられない、お茶も飲めない。それを思うと、
    男の方が早く亡くなるか・・・・それとも、学ぶか・・・。確実なのは後者である。

 ・「 家 」(美智優)      靖坊
     物心ついた時から借家を転々、のみならず自分の家庭というものを作った事のない私
    から見れば、「お城」にお住まいの皆様は別世界の方々という感さえあります。様々な思い
    出がそこかしこに染み込んでいるのでしょうねえ。自分達と共に老いていく「お城」をもう
    一人の家族として、これからも労わってあげてください。

 ・川柳でつながるご縁回る縁(まつぼっくり)      酒仙
     川柳連れ連れ草に参加していろいろの人との結びつきが生まれていますので、まさしく
    句の通りであります。一宮友歩会にも参加されているのでしょうか???川柳のつながり
    だけではなく幅広く縁を広げていきたいものです。

 ・ひとりずつ身内旅発ち歳思う(悠澪)       酒仙
     この句から寂しいことがひしひしと伝わってきます。この世に生まれてからいろいろあり
    ますが、一番悲しいことの一つが最愛の人の死であります。最近は人の死を粗末する風潮
    があり私は情けなく感じています。余りにも人の死をゲーム化していることに許せない
    気持ちです。

 ・叔父が逝く空も一緒に泣いている(悠澪)     桃華
     身内の死は悲しいものですね。空は心を移す鏡のごとく、悲しいときは空一面が曇り、
    嬉しいときは眩しすぎる位透き通った青い空が見えます。でき得ればいつも晴れ渡った
    青空がいいですね。叔父様のご冥福をお祈り致します。


     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


             川柳投稿


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