so089
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第89号(21年5月)

芝  桜  の  

(科 目)ハナシノブ科    (花言葉) 臆病な心、忍耐、
春には桜に似た花が咲き、それ以外の時期には葉が芝生のように広がって
美しいことからこの名がある。地面を覆うので土の流失を防ぐ役割も果たす。


新型インフルエンザが不気味な広がりを見せている。景気対策にも踊れない。
こんな時は身近な花々や新緑を楽しむのもひとつの方法だろう。そして川柳に取り組む
のもよかろう。最近は鑑賞文が増え嬉しい悲鳴を上げていますが、今月も期待します。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 畑 」

初恋も小麦畑もセピア色    ★春爺
すずめらよやせた畑で何狙う     悠澪
夕暮れの畑には夢の種まこう    靖坊
風青く新茶畑は凛として    柳立
菜田は人の真似して同じもの    酒仙
畑へ行く後ろ姿は金次郎     ぺ天使
比べれば不精歴然我が畑    ぺ天使兄
畝高く一直線の葱畑    ぺ天使妹
ジャガ畑地平線までジャガ畑    まつぼっくり
艶の良い野菜と父がいる畑    ★さくら
雲間より畑に光降り注ぐ    美智優
畑にもままごとセット置いてあり    桃華
わが愛を畑に埋めて時を待つ     英人



  「日々つれづれ」   まつぼっくり

    旅心ちょっぴり出てもブーメラン
  ★結局は家が好きです蝸牛
風を切りご近所回る自転車で
   何気なく始めた掃除やめられぬ
      誰からもお祝いなくてケーキ買う


 



「大井川鉄道一人旅」    柳立

うぐいすと谷を巡って大井川
SLの窓はトンネル忙しい
トロッコのレールキィキィ渓渡り
休み明けひなびた温泉独り占め
★ガタゴトと揺れて眠りの帰り道




   「 5 月 」      春爺

 柔らかな五月の若葉に嫉妬して
   六月の花嫁になる心待ち
     四月から長引いている五月病
   さつきちゃん名前負けした普通の子
 ★萌葱色に五月の風が染めました




「浜松祭り」     さくら

ワッショイの掛け声響く五月晴れ
★凧見上げみんなで願う子の成長
太陽を浴びて熱気が増す背中
法被着て老いも若きも練り歩く
街中が抜け殻になる祭り後



(随想)   「浜松祭り」     さくら

静岡県浜松市では、毎年5月3・4・5日の3日間、浜松祭りが行われます。
この祭りは、子供の成長を祝い、昼は中田島砂丘で大凧揚げ、夜は市街で
100を超える各町内の御殿屋台の引き回しや激練りが行われます。

私は子供の頃から、この浜松祭りが大好きで、年が明ければお祭りの事を考え、
お祭りが終われば、燃え尽き症候群で数日は抜けがら状態になっていました。

私が特に好きなのは激練りです。法被をはおり、提灯を持って
「ヤイショー」の掛け声で、各町内ごとで街中を練り歩きます。
声は涸れて足は痛くなりとてもしんどいのですが、普段の自分では
考えられないぐらい気分は盛り上がり、心の底から楽しいのです。
いつまでもこのお祭りが終わらなければいいのに…と思っていたものでした。

今年は実家の近くで、主人と1歳7か月の息子と一緒に激練りを見ました。
最初はびっくりしていた息子も、途中から拍手を一生懸命していました。
もう少し大きくなったら、息子と一緒にまた練りに参加したいと思いました。
でもその為には、相当な体力作りが必要かも知れませんが…。




「ねこまんま」    靖坊

胸張って得意料理はねこまんま
片付けも調理も簡単エコ料理
初鰹乗せ猫飯とは豪勢な
何食べてそんなに太る野良の猫
★私も猫もひとりで食べている



「 登 山 」       悠澪

山歩き友は夫と薫風と
山藤が弁当の味引き立てる
ストレスが森林浴で消えていく 
★木漏れ日を浴びてやさしさ取り戻す
珍しく夫が詩などを口ずさむ



  「行楽地」     酒仙

1000円でくたびれもうけの行楽地
行楽地景色を見ずに人の群れ
マスクして顔がわからず間違える
還暦と言われた途端こそこそと
★若者は逃げられぬよう手をつなぐ



・・英人の20句抄・・ 「 春の嵐 」
               
     想定がはずれて春の嵐吹く
     孫二人春の嵐が加速する
     意のままに吹かぬ風とは知るものの
           挨拶と手洗いうがい欠かせない
            何もかもインフルエンザ閉じ込める
             咳ひとつ何か悪事をしたですか
             ニュース聞く耳から落ちるイヤリング
              後悔をしたくないからマスクする
                マスクして人混み避けて孤独癖
  老母二人同時に進む終章へ
  寝たきりの体に宿る永い過去
  背筋がだんだん縮み人恋し
  その死を覚悟してると言うけれど
                  サア踊ろう景気浮揚の笛ひびく
                上向かぬ景気に足を鍛えてる
              手を尽くし明るい明日が見えるまで
            不確かな明日ではあるが歩きます
      桜散り次の楽しみ探してる
      割り箸がうまく割れて夫唱婦随
      耳目閉じ春の嵐をやり過ごす



   「 衣替え 」      ぺ天使

半袖かいや長袖か迷う朝
  二人ともまだジャケットが放せない
    ウールから綿麻素材のスカーフに
  街歩く若い娘達は肩を出し
★セーターを一枚残して片づけよう




「叔父の闘病」     美智優

★折り鶴に完治を願い病室へ
まな板の上の気分で検査受け
バリウムを毒の心地で一気飲み
記録が止まる叔父の万歩計
つながれて生きているとは言えぬ叔父




「 新 緑 」    桃華

新緑の下を散歩の親子連れ
目に青葉 青につられてウォーキング
吹き抜ける風に心が軽くなり
介護する人も年寄り声弾み
★いたわりの声かけ合っている木陰



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 初恋も小麦畑もセピア色(春爺)     まつぼっくり
     はじめまして、春爺さん。初参加ありがとうございます。
     今日も仕事で外回りをしましたが、今や小麦畑のなんて美しいことでしょう!初恋はさて
    おき、この小麦たちが美味しいビールになると思うと、いとおしくてたまらない私でした。

 ・夕暮れの畑には夢の種まこう(靖坊)    まつぼっくり
     
なんてロマンティックな句なのでしょう!かなり現実的な私ですが、思わずほろりと
    夢見がちになってしまいました。空を染めるダイナミックな夕焼けを前にして、サテどんな
    種をまきましょうか。靖坊さんはどんな種をまかれたのですか?私は今のところ夢がない
    ので、しばらくお預けにしておきます。

 
街中が抜け殻になる祭り後(さくら)     春爺
    
抜け殻になる、で浜松まつりの賑やかさが、逆説的な表現で厚みを増し、さわやかな
    虚脱感まで肌で感じます。

 風青く新茶畑は凛として(柳立)     春爺
     一服の清涼感をいただける句。一芯二葉で摘んだお茶は日本に生れてよかった、と。
    凛の字面が引き締めます。

 
記録が止まる叔父の万歩計(美智優)     春爺
    
敬愛してる叔父様の心づかいと深い愛情がよく伝わり、また全快してこの万歩計が要を
    たす願いも感じとれます。

 ・比べれば不精歴然我が畑(ぺ天使兄)     悠澪  
     まるで私のことを言われたような気分です。種を蒔き、苗を植えても仕事を理由にほと
    んど世話をしないので、よそ様の畑と比べると草ボウボウです。

 
旅心ちょっぴり出てもブーメラン(まつぼっくり)     悠澪
     十年一日のような生活をしている私は時々旅行したいなァと思うことがあります。でも
    仕事や家庭が気になってなかなか出かけられず、気持ちはいつもの生活に戻っていき
    ます。共感しました。(
 
 ・夕暮れの畑には夢の種まこう(靖坊)      悠澪
     不景気なうえに、犯罪が増え、怖い病気が流行り始めて暮しにくい時代ですが、あき
    らめずに希望を持って前向きに生きようというエールをいただきました。

 誰からもお祝いなくてケーキ買う(まつぼっくり)       靖坊
     自分へのご褒美っていいですよね。私も自分の誕生日にはケーキを食べるのですが、
    誰も祝ってくれないので自分で買ってひとりで食べています。ケーキって不思議なもので
    同じ金額を使うのなら牛丼十杯とかの方が満腹度は遥かに高いのですが、満足度の点
    ではケーキの方が優れていると言えましょう。ケーキは身体的な空腹より精神的な空腹に
    良く効きそうですね。

 珍しく夫が詩などを口ずさむ(悠澪)       靖坊
     このような作品に触れると伴侶の存在にちょっとした羨望を抱いてしまいます。男友達
    と一緒に歩けば口から出るのは下らない世間話ばかり。我が身の隣に居るのが長年
    連れ添った愛妻のみなればこそ、男も詩心に誘われるというものでしょう。恐らく私には
    永遠に味わえない境地でしょうが、もし山歩きする機会があれば、愛・地球博で頂いた
    キッコロのぬいぐるみでもリュックに入れて行こうかと思います。少しはメルヘンチックな
    詩情に浸れるかも。

 ストレスが森林浴で消えていく(悠澪)      桃華 
     本当に不思議なんですが、木の下を歩いていると心が穏やかになっていきます。
    ストレス解消に、健康のために少し歩いてみましょう。

 街中が抜け殻になる祭り後(さくら)      美智優
     お祭りの最中は笛や太鼓の音が響き渡り、まるでおしくらまんじゅうのように人々が
    賑わい、祭り後はそれが嘘のようにシーンと静まり返る。情景が目に浮かぶようです。

 片付けも調理も簡単エコ料理(靖坊)      美智優
     仕事で遅くなるとついついあるもので済ませたり、手間のかからない料理をしたり、
    時々自分のことをなんてずぼら人間だろうと思うことがあります。なるほど、洗物も
    生ごみも少なくてエコなんですね。なんか勇気が出てきました。

 ジャガ畑地平線までジャガ畑(まつぼっくり)       ぺ天使
    
サトウキビほどの丈はなく、知多産のフキほどの丈もないジャガイモ。地平線の
    彼方に虹が架かって楽園がありそうです。そこに立ってやさしい風に吹かれてみたい
    今の私です。

 比べれば不精歴然我が畑(ぺ天使兄)      ぺ天使
     何をおっしゃいますか、几帳面で整理整頓が上手なぺ天使兄さん!!畑も庭も、
    そして机に上もいつも整然としていますよ。

 柔らかな五月の若葉に嫉妬して(春爺)     まつぼっくり
   
 読ませていただいた途端、ちょっと苦笑してしまいました。誰もがふつうなら感じる五月の
   若葉はさわやかで「嫉妬?」という感情とは遠いと思いました。でも人は年々年老いてゆく
   のに比べ、樹齢は増えていくものの木々は毎年新しく芽吹いてすがすが しいですものね。
   人の人生に逆行はないむなしさでしょうか・・・。

 ・上向かぬ景気に足を鍛えてる(英人)    まつぼっくり
     困難なときは試されている・・・そう思います。高度成長期の時代から来るべきところ
    へ来てしまったというわけなんですよね。 みんなで力を合わせて頑張ればいいみたい
    ですけど、昔からある日本人特有の道徳観 ・倫理観・忍耐強さその他が薄れてきて
    いるようで、ちょっと前途多難な気がしてい ます。でもせめて自分たちは気持ちをしっか
    り持ってがんばらなければなりません。きりっとして生きていきたいと切に願いますね。

 ・さつきちゃん名前負けした普通の子(春爺)     まつぼっくり
     「さつきちゃん」に名前負けしてるって、どういうことなんでしょう!?おそらく春爺さんの
   中で特別の名前なんですね。この名前がつくからには「となりのトトロ」のさつきちゃんの
   ようなイメージがあるのかもしれません。でも!!あのさつきちゃんのような女の子には
   そんじょそこらで出会えるものではありませんよ。

 折り鶴に完治を願い病室へ(美智優)      靖坊
     病気の時は本人も周りの者も、とかく気弱になるものですが、そんな自分をこうして句に
    して詠んでくれる姪の存在は、叔父様にとっては有難く頼もしいものとなっていることで
    しょう。全快祝いの句を早く詠めるようになるといいですね。

 ・若者は逃げられぬよう手をつなぐ(酒仙)     英人
     若者達が手をつなぐのはこんな理由があったのだ。だとすると中高年が手をつなが
    ないのは安心感なのだろうか。そして、年寄りが手をつなぐときは足元が危うくなった
    ときであろう。足腰を鍛えておこう。

 セーターを一枚残して片づけよう(ぺ天使)      英人
     暑くなってきた。しかし、まだ寒いこともありそうだ。その時の心情がこの句であろう。
    そして、残された1枚のセーターもまもなく片づけられるだろう。人生もこんな時期を
    乗り越えながらやって来たのだ。明日を信じて今日も行こう。

 ガタゴトと揺れて眠りの帰り道(柳立)       酒仙
     若かりしころ名古屋駅から午後11時???の夜行列車に乗って北アルプスへ行った
    ことを思い出します。列車の座席の下に潜り込み、もろに音を感じながらでもあの時は
    若かったなあ・・・・。今はマクラや寝床が変わるともう寝ることができません。ささやく
    程度の物音でも目を覚ましますので笑われています。この情景は舗装をしてない道の
    でごぼこか古い列車に乗ったときなのか想像をしています。

 風青く新茶畑は凛として(柳立)       まつぼっくり
     美しい句ですね。背筋がスッと伸びるようです。そして新茶畑を凛々と吹く風を感じま
    す。風邪が青いという表現にうなりました。とても好きな句です。

 珍しく夫が詩などを口ずさむ(悠澪)      まつぼっくり
     とても気持ちがよかったのですね。自然に詩がこぼれるなんて、悠澪さんのご主人は
    詩人・・・。どんな詩だったのか気になるところです。わが家のだんな様もなかなかの
    博学ですが、彼の口からこぼれるのはだいたい都都逸かグチですね。


     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


             川柳投稿


川柳&ウォーク