so088
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第88号(21年4月)

片 栗 (カタクリ) の 

(科 目)ユリ科    (花言葉) 嫉妬、初恋、情熱、
多年生草本。早春に斑のはいった葉を展開し、可憐な花を咲かせる。
初夏には葉を失い、夏眠する。
地下の球根からは片栗粉が作られる。

4月中旬、1泊2日で「花の上信越」というバス旅行に参加した。桜は到る所で満開、
この写真の片栗始め芝桜、菜の花、チューリップ、水仙、ムスカリ等々花を満喫してきた。
花は実にいい、どんな気持ちも解きほぐす。川柳連れ連れ草を毎月花の章にしたのは良い
着想だった。作句の苦労もこの花で癒していただきたい。この苦労はいつか花になる。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 心 配 」

花筏あの心配も流したい    柳立
失敗を心配せずに進む春     さくら
長距離の夫の無事を祈る午後     美智優
政界はミステリーより謎だらけ    まつぼっくり
できの悪い子だから気にかかる     悠澪
心配をしてもしなくても明日は来る     靖坊
心配をかけないように笑顔見せ    ぺ天使
心配はすれど無沙汰になる親子    ぺ天使兄
心配の種がなければ心配で    ぺ天使妹
飲み会でサイフ出すとき気に掛かる    酒仙
心配の種を残してバスの旅    桃華
心配をする人が無い不幸せ    英人



    「 桜 」    悠澪

   町は今別れと出会い桜色
 ほのぼのと窓から桜訪ね来る
桜散り春がゆっくり北へ行く
    満開の中で若葉が見え隠れ
  ★気まぐれな天気の中で葉桜に



「 筍 」    ぺ天使

★筍がそろそろ届くと糠を買う
念じたらいつもの友から筍が
筍と木の芽がそろうタイミング
初物はまず味見して仏様
筍を盛る鉢皿の出番で



「クラクラクタクタ」  靖坊

帰宅した途端に疲労二倍増し
クラクラの頭はもはやがらんどう
★クタクタな体の置き場見つからず
クラクタと言い間違えてひとり笑い
疲労から充実に変わるこの一杯



       (随想)   「マビノギ」  靖坊

 日々の退屈を少しでも紛らわせようと、昨年からオンラインゲーム「マビノギ」を始めました。古代ケルト神話「マビノギオン」をベースにして構築されたゲーム世界に自分の分身を作成し、多人数同時参加で楽しむものです。私の分身は俳人与謝蕪村に因んで命名した「モリ6ぶそん」君。このぶそん君を操って襲い掛かる敵をなぎ倒し、降り掛かる謎を解明して、女神様を救出するという、まあ、いい大人が真剣になるのもどうかと思う内容なのですが、画像も音楽もほのぼのした感じで結構楽しめるので、毎日ちょこちょこプレイしています。なにより基本料金無料というのが最大の魅力!
 ところがです、この料金無料に惚れ込んで始めたはずなのに、次第にお金を掛けたくて仕方がなくなってきたのです。と言いますのも、女神様救出の後もお話は続くのですが、そこからは有料。さらにプレイの時間や手間を省くサービスもありますが、それも有料。その他便利な道具もありますが、これも有料。つまり、ゲームにのめり込めばのめり込む程、お金を掛けたくなってしまうという、怖ろしい罠が仕掛けられていたのです。もっとも向こうも商売ですから、当然と言えば当然ですが。
 最初は我慢していたのですが、数ヶ月も経った頃、遂に誘惑に負けて有料サービスに手を出してしまい、既に数千円つぎ込んでしまいました。一ヶ月当たりにすれば数百円程度なので微々たるものですが、やはり無駄遣いはいけませんね。これからは財布の紐を引き締めてプレイしようと思います。



「それぞれの春」    さくら

★一年生背中にたくさん夢詰めて
退職を迎えた顔に桜咲く
晴れの日に彩り添える桜道
姪っ子にもまれて我が子伸びる春
春超えて夏の気配が迫る空



「 夜 桜 」    柳立

夜桜に淡い半月人恋し
★時遠く宴の桜誰と居て
ぼんぼりとおぼろの月に花が散る
桜ばな頭に肩に雪と舞う
薫り立つ花より団子微笑んで



   「 花 」      美智優

人の世をひっそりと咲く花もある
  道草もいつかは花を咲かす夢
    生き生きと花咲き競う春盛り
  下も見よ桜ばかりが花じゃない
★雑草で名前もあれば花も咲く




・・英人の20句抄・・ 「 花のある風景 」
               
     新聞の写真にうずく旅心
     お茶漬けをサラサラ食べて旅に出る
 花めでるバスの乗客素直です
 バスで行く 桜の多さに気づく春
             菜の花が風に揺れて僕浮かれ
               チューリップの色が惑わす謎解けぬ
                 片栗はこうべを垂れて何思う
                    音立てて落ちる椿に知る無念
                芝桜行く手阻まれ悟り顔
              通過する駅に桜が咲き誇る
    孫が来る春と嵐を連れてくる
     農をする風景絶える近未来
       雨が降る雑草伸びる花畑
         夢を抱き芝生に身を浸す午後
           読書する陽差しは春ですぐ眠る
                   感動が大きすぎてはみ出る絵
                   カラフルな絵が多くなる春景色
                   ふりがなが不要な花でよく売れる
             花一面何はなくても豊かです
           花のある風景求め旅続け



「 惑 い 」     まつぼっくり

心配の種を並べて育ててる
しがらみが根っこのようにからみつき
どうしても格差の海じゃ泳げない
★自分だけ平穏無事は罪ですか
今日のパン今夜の屋根を確かめる




「 心 配 」     酒仙

人前で体裁かまい心配し
★カンバレと腹の底とはウラハラに
気持ちよく酔ってサイフを心配し
川柳を投句の前に腰重い
女房に隠し事してボケ防止



   「母はいま」    桃華

  悔いのない一日のため飲む薬
点きそうで点かない電球 母はいま
  ★母の背を思えば軽い嘘ひとつ
    笑顔見にいそいそ通う白い部屋
      新緑の眩しさ母に伝えよう




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 長距離の夫の無事を祈る午後(美智優)       まつぼっくり
     やっぱり夜は家族が帰ってくるまで落ち着きませんよね。「何かあったのかなあ・・・」と
   思い始めたらもう勝手に妄想が膨らんで心配がどんどん大きくなっていきます。わが家は
   子どもたちが二人家を離れて暮らしていますが、やはり時々不安になります。一人まだ
   一緒にいる高校生も部活があるので8時を過ぎることがありますが、本当に心配です。
   いつも家族の無事を祈る世の母親は聖母マリア様のようですね。(言い過ぎかしらん)

 ・帰宅した途端に疲労二倍増し
 ・クタクタな体の置き場見つからず
 ・疲労から充実に変わるこの一杯(靖坊)       悠澪

    
仕事をしている時には気付かないのに、終ったとたんにどっと疲れを感じ、家に帰りつくと
   甘えと安心感からかどどどっと疲れを感じます。私の場合は上がり口に座り込んだらもう
   動きたくないのですが、疲れきった身体は椅子にかけようと横になろうとどうしようもなく
   だるく、本当に置き場がないといった感じですよね。どうにか入浴を済ませたあとの一杯で
   生き返る、生きているという実感、これがあるから明日も頑張ろうと思えるんですよね。 

 心配はすれど無沙汰になる親子(ぺ天使兄)     悠澪
     親が子どもを心配するのは当たり前ですが、子どもたちの方でも心配してくれている
   ようです。特に長女は、自分が親をみなければならないという意識があるのか、気にかけ
   てくれているようです。が、お互いに自分たちの生活に追われて無沙汰になりがちです。
   この句はまさに私の心情そのものです。 

 ・心配の種がなければ心配で(ぺ天使妹)
 ・心配をする人が無い不幸せ(英人)        美智優
     人間は何かと思い悩む動物のようで、考えてもどうにもならないようなことをくよくよと
   考えたりしがちです。心配事がなければなくて「本当に大丈夫かなァ」なんて思います。
   上の句はそれを言い当てています。下の句はそんな心配をさせてくれる人がいない寂しさ
   ですかね。人間って勝手なもので心配するのもいや、心配の種がないのもつまらないん
   ですね。

 悔いのない一日のため飲む薬
 点きそうで点かない電球 母はいま(桃華)      美智優
     1句目は元気で無事に一日を生ききろうという思いのお薬なのでしょうか? それとも、
   一日でも長く生きていてもらうためのお母様へのお薬なのでしょうか? 桃華さんの生きる
   姿勢というものが見えるような気がしました。
     2句目は人はよく縁起をかつぎます。鼻緒が切れたりボタンが取れたりすると何かよく
   ないことが起こるんじゃないかと不安を感じます。ましてお母様が入院されていたらなおの
   こと不安になりますよね。

 孫が来る春と嵐を連れてくる(英人)      まつぼっくり
     今でこそ子どもたちは大きくなりましたが、幼い頃は好奇心の塊でしたから、実家へ
   遊びに行くと次々といろんなものを壊しました。ビデオ・ストーブ・トイレ・・・。 めったに行け
   ないので始めは喜んでいた父から、「もう来なくていい!」と印籠を渡 されたほどです。
   本当にヒヤヒヤのしっぱなしでした。

 町は今別れと出会い桜色(悠澪)        靖坊
     4月は新学期の始まりということで、園児の頃から「桜=別れと出会い」という図式を
   刷り込まれてきていますよね。でも、日本以外の国の新学期は、例えば欧米や中国では
   秋口の9、10月、南半球の豪州では真夏に当たる1、2月。お隣の韓国でも4月ではなく
   3月だそうで、いずれも桜の季節ではないんですね。桜に別れや出会いを感じるのは、
   日本人だけなのかなあと思ったりします。散っていく花にこれまでの様々な別れを回想し、
   萌え出た若葉にやる気満々だったあの頃の自分を思い出す・・・独特の桜体験を持たさ
   れた日本人でよかったなあと感じる季節であります。

 自分だけ平穏無事は罪ですか(まつぼっくり)      ぺ天使
     毎日平穏無事が一番ですね。私は神仏にお参りするとき、あの人もこの孫もと家族の
   ことを祈るので(お節介ですが)時間がかかります。夫は横で、長いお祈りだなと待って
   いるに違いありません。
      (上記鑑賞文への感想)      悠澪
          お節介でいいじゃないですか、あなたのやさしさが伝わりました。親が子を、
        子が親や祖父母・兄弟姉妹を殺傷する世です、明るさと思いやりのあるお節介で
        乗り切りたいものです。

 母の背を思えば軽い嘘ひとつ(桃華)     ぺ天使
     お母様に「もう大丈夫よ!!」と励ましていらっしゃるのでしょうか。それとも、桃華さんを
   気遣われたお母様に「ちょっと咳が出るだけ・・・・」とおっしゃったのでしょうか。
   潔い嘘ですね。

 夜桜に淡い半月人恋し(柳立)      桃華
     ライトアップされた夜桜は本当に美しいものですね。みんなで見れば楽しいものも、ひと
   りで見ればもの寂しい。ふっと奥様でも思い出されたのでしょうか。郷愁を誘われる句です。

 一年生背中にたくさん夢詰めて(さくら)      英人
     この一年生は多分小学生でしょう。重いランドセルを背に通学する小学生。楽しそうに
   行く姿に、ランドセルには沢山の夢が詰まっていると思ってしまう。私には思い出せないほど
   遠いことながら、孫の姿を見て、私もこんな気分をもらうのである。

 夢を抱き芝生に身を浸す午後(英人)      ぺ天使
     いつまでも少年のような心を持たれた人ですね。私も少女に還って芝生の上で夢を語り
   たいです。さて、お相手は誰にしましょうか。

 母の背を思えば軽い嘘ひとつ
 ・笑顔見にいそいそ通う白い部屋
 ・新緑の眩しさ母に伝えよう(桃華)       美智優

     歳を取られて小さくなったお母様に心配をかけまいとつく嘘は閻魔様も目をつぶって
   くださるでしょう。もしかするとお母様は年の功で見抜いておられるかも、お母様もきっと
   許してくれますよ。
     そして、母親の笑顔には本当に癒されますよね。嬉しいお気持ちが「いそいそ」という
   言葉でよく表現されてると思います。
     3句目は白い殺風景なお部屋にいるお母様に春のすがすがしさを伝える、素敵なこと
   ですね。お母様もきっとお喜びになったでしょうね。

 筍がそろそろ届くと糠を買う(ぺ天使)      さくら
   
  筍、大好きです。親戚の家に筍が出るので、この季節になると家にもおすそ分けが
   来ます。大きな鍋に糠を入れて長時間ゆでるのは大変ですが、茹で終わり皮を剥いだ
   時の何とも言えない香りがたまらないですね。

 心配の種を並べて育ててる(まつぼっくり)      さくら
     
心配性の性格が心配の種に余計な水を与えて育ててしまう事があります。この句の
   「種を並べて」という所に、悩んでいてもそれを並べる余裕を感じ不思議とほのぼのして
   しまいます。

 人の世をひっそりと咲く花もある(美智優)      さくら
     世の中のほとんどの人がひっそりと咲いている花だと思います。ひっそりとした花でも、
   自分らしく精一杯、花を咲かせたいものです。

 自分だけ平穏無事は罪ですか(まつぼっくり)       悠澪
    
 罪ではないと思います。自分が平穏無事でなければ自分のことが気になって人への
   気遣いはできないでしょう。他の句会でこの方の「おかしけりゃ一人でも笑う大声で」という
   句を発見しました。この方はこの明るさできっと周囲の人々に笑いを振りまき元気を与えて
   いるのではないでしょうか。

 ・晴れの日に彩り添える桜道(さくら)      まつぼっくり
     さくらさん、子育てを毎日楽しんでいらっしゃることと思います。子どもが小さい頃の思い
   出は後から振り返るとかけがえのない宝物のようです。いっぱいいっぱい素敵な思い出を
   作ってくださいね。なにげない親子の語らいや幼子のつぶやき・・・。本当に思い出すとそう
   いう小さな歴史を持っているというだけでものすごく幸せな気持ちになります。そしてその
   幸せの中を美しい桜がいっそう彩りを添えてくれるようですね。

 
     投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


             川柳投稿


川柳&ウォーク