so086
     (せんりゅうつれづれそう)

              
 第86号(21年2月)

金 柑 の 

(科 目)ミカン科    (花言葉) 思い出、感謝、
中国原産の常緑低木。果実は果皮ごとあるいは果皮だけ生食する。果実は民間薬として
咳やのどの痛みに効果があるとされる。観賞用として庭木として植えられることも多い。


初夏のような暑い日があったかと思うと、厳寒の日が続く。三寒四温と言うには
差はあまりに大きい。世の中の不況風も強い。何か穏やかならざるものを感じる。
しかし、我等は穏やかに、穏やかに過ごしたいもの。今月も無事掲載できました。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 島 」

太陽の恵みを浴びて光る島    さくら
海渡る少し異国の佐渡島    まつぼっくり
黄昏て墨絵を描こう瀬戸の島     美智優
宝島に漕ぎ着いた時夢が覚め  ★ぺ天使
海渡り島国襲う不況波    ぺ天使兄
島臨む生家は遠く胸の内    ★ぺ天使妹
不況波しあわせ島も傾いて    柳立
世を忘れ行ってみたいな無人島     悠澪
後悔を箱詰めにして島流し     靖坊
顔似てる話掛けると島の人    酒仙
二度までもおんなじ島へたどり着き   桃華
遠くから眺める島が美しい    英人



    「一人暮らし」     悠澪

   侘しさになれてひとりの飯を食う
★「お疲れ」とコーヒー入れる我がために
  抱き枕ひとり暮らしに慣れました 
    ラジオ聞きテレビを見ては独り言 
  料理して食してくれる人もなく




「思いつくまま」   酒仙

駅弁を食べる口元満足気
友達は思い思いに旅に出る
★旅に出て夫婦の絆再確認
離れても友の電話の声弾む
熱海駅44年前を思い出す



「 椿 市 」    柳立

春めいて七分に咲いた椿姫
★薄紅の乙女椿を唇に
山の神大きく開く西王母
洋品種さもチューリップの魅惑して
一面に品種数えて椿市




(随想)  「 雀の初音 」 
                 
 柳  立 

小さな庭先
寒い風の内に枯れ葉が動いた
それは二羽の雀。
ガラス戸を閉めると直ぐ目の前にやって来た。
秋の始まる九月以来の再会
嬉しくなる。

次と次の日はこの二羽が朝寝坊の私を待っていた。
今朝は家族六羽になってピーチクパーチク
今年もまたこの声で毎朝目が醒めるのです。
子雀と語り合うまた少し楽しい私が居る
小さな春。




「 冬 」    まつぼっくり

★寒いのが嫌で冬の文字を消す
お気の毒私は不在冬眠中
炬燵から出ずに眺める雪景色
申請中南の島の移住権
よく見るときれいな雪だ雪の中



「逆チョコ」  靖坊

いつの間にか男も贈るバレンタイン
★本命のチョコだからこそ渡せない
貰えずに渡せずに今年も過ぎる
貰えない男同士で贈りあう
チョコなどに頼るな日本男児なり



  「 雪 」    美智優

初雪の便り届いて冬盛り
雪が降る風の言うまま右左
温暖化年々雪が減る景色 
★雪が降る隠してほしい嘘ひとつ
雪降れば子等公園を駆け回る


・・英人の20句抄・・ 「 三寒四温 」
               
          三寒と四温は違う風の色
         寒さが三日続いて心閉じ
       暖かさ四日続いて気が緩む
 気まぐれの天気予報に欺かれ
   温暖化感じる梅の咲き具合
     もう春と咲いた梅に悔い生まれ
       口実を花粉予報に求めてる
                  浮かれると逆転劇にはまる罠
                 暑がりと寒がりがいて夫婦です
               踏んづけて鬱憤増える水たまり
             水たまり写した顔が汚れてる
       素直でも理解ができぬ恵方巻
       ぼこぼこの上着着て行くミニスカート
       ボールペンのインクが出ない汗が出る
       血圧は高めのままで冬過ぎる
             悪口を言っていては去らぬ冬
                善人のふりして冬を耐えている
                   雨が来るその前日の暖かさ
  僕好みの風が吹いて春近し
  読書する陽差しは春ですぐ眠る



「いつの間に」   ぺ天使

いつの間にサイズはひとつ上になり
いつの間に米より重くなった孫
いつの間につぼみを付けたチューリップ
★いつの間に量が減ってる一升瓶
いつの間に句の締めきり日近づいて




  「もうすぐ・・・春」     さくら

春のような日差しに心緩む朝
春一番洗濯物が乱舞する
★日差しまで公園デビューの応援団
バーゲンで買うのは子供の服ばかり
先輩のママの助言は宝箱




   「保育園デビュー」     桃華

泣いても叫んでも今日から保育園デビュー
   ばあちゃんの家がいいよと三歳児
     泣かないと約束させてペダルこぐ
  右見ても左を見ても家がいい
★梅満開少しは慣れた園通い




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 「お疲れ」とコーヒー入れる我がために(悠澪)     まつぼっくり
     
悠澪さん、今回は寂しい句が多いですね。どうかなさったのですか?
      でもこうやって一人で暮らさなければならない日が、もしかしたらやってくるかも
    しれないんですよね。若い頃の一人暮らしは、寂しくてもまだ元気があったのですが、
    年を取ってからはやっぱりしんどいものがあると思います。そんな日が来ることを考え
    ると、やっぱり私もためいきです・・・・。(でも、そのときに考えることにします)。


 泣いても叫んでも今日から保育園デビュー(桃華)     まつぼっくり
     
上の二人は大丈夫だったんですが、末っ子は一人で幼稚園にいられるようになる
    まで一学期間かかりました。活発だったので意外だったのですがやっぱり末っ子って
    甘えん坊さんだったんですね。大泣きはしないのですが、園につれていって帰ろうと
    すると、無言でピタッと足にしがみつくのです。でも毎日毎日繰り返しているうちに、
    彼も少しずつ慣れて、OKになりました。私としては、ちょっぴり胸キュンでしたね。


 雪が降る隠してほしい嘘ひとつ(美智優)     柳立
     
どんなデコボコでも雪が優しく全てを平らにしてくれる、気になる嘘もきっと平らに
    してくれますよ。また美しい嘘ならそれが美しい雪にもなるのでは?


 料理して食してくれる人もなく(悠澪)     ぺ天使
     
時には一人になってゆっくり食事をしたい、なんて思ってはバチが当たると気づか
    せて頂きました。「美味しいね」「少し塩辛かったかしら?」と会話をしながら食事
    できることがどんなに幸せか、この幸せを大切にします。


 ・本命のチョコだからこそ渡せない(靖坊)     悠澪
     
十代半ばの頃友人に付き添ってもらい、一目ぼれの彼にチョコを届けに行きました。
    お茶やお菓子をご馳走になり三人でおしゃべりをして、結局差し出すことが出来ずに
    持ち帰ったことを思い出しました。懐かしい忘れることのできない思い出です。


 ・「 冬 」(まつぼっくり)       悠澪
     私も寒さが苦手で冬が無ければいいと思っていた時期もありますし、冬になるたびに
   冬眠できたらなァと思います。そして炬燵に入ると動きたくないんですよね。第四句は
   おもしろいですね。発想がユニークと言うか、新鮮さを感じました。
 

 一面に品種数えて椿市(柳立)     美智優
     
最近の花は本当に種類が豊富で、椿に限らず同じ品種でも花弁の数や色がさま
    ざまです。カラーといえば白、桔梗といえば紫だったと思うのですが、今はとてもカラ
    フルです。彼岸花でさえ赤・白・黄色ですから、研究改造を続ける人間の能力はすごい
    ですね。

 離れても友の電話の声弾む(酒仙)    桃華
     
なつかしい友からの電話、何年ぶりに聞く声だろう。ついつい会話が弾み、心が
    浮き立ってしまった。友はいい、いつまでも友であることに感謝したい。


 太陽の恵みを浴びて光る島(さくら)      まつぼっくり
     
とても明るい句で、思わず心が晴れ晴れとしてくるようでした。どの島かはわかり
    ませんが、私たちの住む日本がこうであれば本当にうれしいですね。


 黄昏て墨絵を描こう瀬戸の島(美智優)     まつぼっくり
     
とても美しい作品ですね。情景が浮かびます。私は墨絵は描けませんが、こういう
    情景は大好きです。ロマンチックで夢があります。瀬戸を吹く風さえ感じられるような
    気がします。


 宝島に漕ぎ着いた時夢が覚め(ぺ天使)     美智優
     
夢って決まって良いところで覚めるんですよね。私の場合は悪い夢が多くて、どう
    しようもう限界もう駄目〜ッ、と恐怖や不安の極限で覚めるんです。夢って良くても
    悪くても無害無利益なんですね。


 料理して食してくれる人もなく(悠澪)      靖坊
     
人生のほぼ三分の一を一人暮らししておりますので、料理はあくまで自分の為
    だけ。誰かの為に食事を用意してあげるなんて経験は全くなく、毎日が一人飯。それ
    ゆえ、句に漂う寂しさもなかなか実感できないのであります。「食してくれる人」を一度も
    持たなかった自分は寂しさを感じる事もないのでしょうが、それによってもたらされる
    喜びも味わえないのですから、貧弱な人生とも言えましょう。作者のような深みのある
    人生経験を積み重ねたいものです。


 もう春と咲いた梅に悔い生まれ(英人)      悠澪
     
少〜しずつ花の咲く時期が早くなっているように感じます。そして三寒四温の差が
    大きいんですよね。気の早い虫たちをたまに見かけますが、この句の梅のように出て
    きたことを悔いているかもしれませんね。


 お気の毒私は不在冬眠中(まつぼっくり)     英人
     
どんなお客さんが来たのでしょうか、冬眠中とベルを押されても出ないとは、少し
    意地悪の気もしますが、今の時代、来て欲しくないお客さんも多い。時に家にいて、
    妻の対応を見ていると、少し意地悪もしたくなる気持ちも分かる。


 ・暑がりと寒がりがいて夫婦です(英人)     美智優
     
私は暑さに強く、夏でもほとんど冷房を入れません。夫が帰宅すると寒いくらいに
    冷房を入れるので上着を羽織ります。逆に冬はストーブを入れるとまだ温もりきれない
    うちに消されます。長年夫婦をやっていてもホントにうまくいかないものですね。


    投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

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