so084
     (せんりゅうつれづれそう)

               第84号(20年12月)

八 手 (ヤツデ) の

(科 目)ウコギ科    (花言葉) 分別、親しみ、門出、
大きく裂けた葉が特徴。天狗の持っている葉はヤツデなので、別名テングノハウチワという。
初冬に白い球状に集まった花をつける。熟すと黒い実になり、これが落ちて繁殖する。

丸7年目が終わります。この川柳連れ連れ草も淡々と過ぎているようですが、
少しづつ変化があります。成長があります。積み重ねがあります。
今年の世界経済のように激動は必要ありません。少しづつ階段を登りましょう。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 みやげ 」

どのみやげ買おうか迷う楽しさよ    ★まつぼっくり
一升瓶提げて来た友よく食べる    ★美智優
私の好みで買ったみやげ達     ぺ天使
朝歩き小菊一本野のみやげ    ぺ天使兄
みやげという響きが温し父思う    ぺ天使妹
気がつけば自分のみやげ買い忘れ     さくら
孫達は逢うと土産を意識する    酒仙
みやげなど無くていいから会いに来て    靖坊
お土産は元気な笑顔でいいですよ    悠澪
行く年は世界不安の置きみやげ    柳立
あの人を思い浮かべてみやげ買う     桃華
あの世へのみやげがいまだ見つからぬ     英人



「 結婚式 」   ぺ天使

★招かれて思いっきりのおしゃれする
乾杯は二人で幸せ買い占める
花嫁はおちょぼ口して盃を干す
ごちそうを掴んだ箸もニコニコと
幸せを分けてもらったミニブーケ



  「カレンダー」   まつぼっくり

   新しい気分をもらうカレンダー
 まず丸をつけゆく義母の月命日
★ただ無事を祈ってめくるカレンダー
   また一つ君も私も年もらう
 カレンダーわくわくよりもどきどきで

   



「娘の恋と親心」     悠澪

恋を知りやさしさあふれ娘の笑顔
雨になる 口笛吹いて娘が料理
★言いかけた君の言葉がまといつく
ダンスの輪君目前に曲終わり
意を決し君の巨大な戸を叩く
ゴールインいつになるのか長い春




    (随想)    「 鑑 賞 文 」    英 人 

川柳連れ連れ草第4号から鑑賞文の欄を設けました。
長いこと二人でしたが、昨年あたりから投句参加者からも
寄せて頂けるようになり、最近になって急に増えました。
特に先月の第83号では10句もの句に鑑賞文がつきました。
これは私が長いこと待っていたことです。

自分の句に鑑賞文がつけられると、何か認められたようで、嬉しさが
沸くのは誰もが体験されたことでしょう。このメリットもありますが、
何よりも鑑賞文を書く人にメリットが大きいのです。
鑑賞文を書こうと思うと、まず人の句をしっかり読みます。
そして、関心の向く句に鑑賞文を書くと言う経過をたどります。
ここで第一のメリットは人の句を読んで、自分の句を振り返る
と言うことです。その上で自分の世界を作るのです。
次に鑑賞文を書こうと思う句は、多分自分で好ましいと思う句です。
これを知ることが第二のメリットです。知って作りましょう。
酒仙さんから「鑑賞文を書くことで川柳を違った見方をするように
なった」とメールがありました。句が違って来ると思います。

次号から8年目に入ります。継続し、発展していきたいものです。
私が閉口するほどに鑑賞文が増えることもその一つです。




  「 冬木立 」    柳立

★冬木立全てを捨ててリンと立つ
   寂しげな薄い年金冬迎え
    冬木立私も同じ風に立つ
  今日明日は何とか耐えて冬木立
細長く影を落とすも春を待つ



「きっと また いつか」  靖坊

★今日もまた見上げるだけの冬の空
いつかしら忘れてしまう今日の空
冬空もきっといつかは春の空  
いつかまた出会う日までの冬籠り
胸に秘め眠ろうきっとまたいつか

 



「 師 走 」    美智優

★行列の中にいて引き返せない
北風が早く早くと追い立てる 
ふるさとの味を詰め込む宅急便
木枯らしに夜回りの声かき消され
防犯の声遠くなり夜が更ける




・・英人の抄・・ 「 新年に備える 」
               
           年暮れて今年の風の是非を問う
     遠くから眺めるが美しい
   老いたとも若いとも言えぬ年代
         心配の種消してゆく大掃除
              から生み出るものが愛おしい
                   触れるもの浄化していく幼い
                   できること探して広い道を行く
               欲望は小さめにして楽になる
          年内に泣くこと終えて準備よし
       海に行くを見る夢湧いてくる
          夕焼けに幸せ感じ明日を待つ
               新年を祝う気持ちがふつふつと

2009年の課題を詠み込んでみました。
この課題はある歌詞から抜き出しています。
どんな歌でしょうか。


「 愚 」   酒仙

年寄りは遊んだほどに味がある
近づいて見れば納得の皺がある
テレビ付け限界を知る脳の中
★考えて思い通りに行かぬもの
挑戦を忙しいと諦める




   「楽しいクリスマス」   さくら

   時が過ぎまたプレゼント選ぶ冬
  プレゼント選ぶ喜びありがとう
      私には夢を下さいサンタさん
    もみの木に幸せいっぱい飾り付け
   ★長い列二人で待てば寒くない




「 師 走 」    桃華

のんびりと窓拭き始めもう師走
メス入れた妹 春はもう間近
いろいろな雲が走っていく師走
★生きているただ嬉しいと冬の月
どの家も春を迎える音がする




    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 ・招かれて思いっきりのおしゃれする(ぺ天使)     まつぼっくり
   
 なんて明るい歌でしょう!キラキラして眩しいくらいです。
     私の場合、おしゃれをしなくなってもう何年がたつでしょうか。若い頃は本当に
    見かけを気にしてきれいにしていたのに。「おばさん!」になって今では生まれた
    ときからおばさんだったような気がしています。私が本気でおしゃれをする日は
    来るのでしょうか・・・!?


 ・気がつけば自分のみやげ買い忘れ(さくら)      酒仙
    
だれでもが同じことをしていてそれを句にすることに感激しました。私もよく旅に
    でて同じような経験があります。
     海外へ行った折には土産リストを事前に作っていきますが、帰国してからある
    人に渡す土産を買い忘れたことに気がつき自分の土産を渡してしまった経験が
    あります。なんと口惜しいことやら・・・・・・


 ・年寄りは遊んだほどに味がある(酒仙)      美智優
   
 多くの体験をされた方は体験の数だけ知識があって、話題も豊富で年齢層に
    関係なくお付き合いがお上手で、きっとユーモアもおありで素敵なロマンスグレー
    のお方なのでしょうね。この句のとおりではないかと思います。


 ・冬空もきっといつかは春の空(靖坊)      桃華
    
どんよりとした冬空を見ていると心まで寒くなりそう。でもたまに見る青空は心を
    浮き立たせてくれ、仕事もはかどります。いつまでも続かない冬の空、少し我慢
    して春の空を待ちましょう。


 ・挑戦を忙しいと諦める(酒仙)     悠澪
    
私は、やってみたいことやあこがれているものがたくさんあります。が、いい歳を
    していまだに引っ込み思案の人見知りで、結局はなんだかんだと言い訳をしては
    挑戦できずにいます。この句は反省させられた句です。


 ・ただ無事を祈ってめくるカレンダー(まつぼっくり)    英人
    
このカレンダーは多分月めくりであろう。新しい月になる。今月も皆無事に過ご
    せますように、そう祈りながらカレンダーをめくる。この発想は主婦なればだろう。
    この句は俳句ではない、古い川柳でもない、生活感溢れるきれいな川柳である。


 ・いろいろな雲が走っていく師走(桃華)      靖坊
    
のんびりゆったりの代名詞として用いられることが多い雲、その雲でさえアタフタ
    と走っているように見えてしまう師走。見ている作者の方も雲に劣らず走り回って
    いるのでしょうが、空を見上げる程の余裕は残っている訳です。心のゆとりは大切
    だなあと感じつつ空を見上げれば、この一年のいろいろな思い出が走り去って
    いく師走です。


 ・一升瓶提げて来た友よく食べる(美智優)     酒仙
    
私は神にあがらぬ酒はなし・・・というように酒を毎晩を嗜みます。時にははめを
    はずし先日も午前様で帰宅して次の日は神社へ奉務しました。酒は百薬の長と
    いいますが、まだ内臓関係に異常がなく楽しんでいます。でもこの句のように食
    べまくりまた飲みますので、いいのかもしれませんね。いつか皆さんとご一緒に
    飲む機会が訪れることを祈っています。

 ・今日もまた見上げるだけの冬の空(靖坊)     酒仙
    
冬の空は天空が澄み渡り遠くまで星のきらめきが輝いてみえます。金星、木星、
    水星と見ることができ、すばらしい夜空を楽しませてくれています。高い山に登り、
    満天の夜空に輝く星を見たことをを思い出させてもらいました。住むところが無い、
    仕事も無いと今年は厳しい年の瀬を迎えていますが、まだ冬の空を拝むことが
    出来るのは心に余裕があり幸せではないかと思います。
     こんな句を作る人はどんな人かな・・・と、想像しています。


 ・挑戦を忙しいと諦める(酒仙)     靖坊
    
やりたい事なら寝る間も惜しみ食事も満足にとらずに没頭するのですが、気の
    進まない事はやらなきゃいけない事でも腰が重くなってしまうものですね。今に
    なって振り返ってみれば、やろうと思って結局やらなかった様々な事柄は、結局、
   本当に心底やりたい事ではなかったのだろうなあと思うのであります。


    投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2009年「課題」
      (1月)暮れる  (2月)島  (3月)若い  (4月)心配
      (5月)畑  (6月)幼い  (7月)行く  (8月)小さい
      (9月)泣く (10月)船 (11月)夕焼け (12月)祝う

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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