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     (せんりゅうつれづれそう)

               第78号(20年6月)

人  参    章

(科 目)セリ科    (花言葉)幼い夢
細長い東洋系品種と、太く短い西洋系品種の2種類に大別され、ともに古くから薬や
食用としての栽培が行われてきた。現在の日本では西洋系品種が主流になっている。
日本への伝来は16世紀で、この頃は葉も根と同様に食用と
していたが、明治以降では根のみを食べるようになった。

自宅付近を散歩していて、人参の花の群生に出合って、今月はこれを採用。
人参は家庭常用野菜の代表だが、花としても十分に見ごたえがある。
また栄養価も高いが、苦手の人も多い。食べ物は理性で、川柳は感性で。
                      (★印は英人の推奨句)


  課 題   「 美しい 」

美しい笑顔の君の七回忌    柳立
高齢になっても心磨きたい    みいちゃん
美しくありたい気持ちとうに失せ     靖坊
ひたむきな君の姿に胸躍る    美智優
 少女らは美しいまま遠ざかり     ぺ天使
美しい七十代をどう描こう     ★ぺ天使兄
老いの日を美しくあれと笑み練習し    ぺ天使妹
手をつなぎ坂道を行く老夫婦     悠澪
男子バレー奇跡の勝利頬濡らす    酒仙
水しぶき浴びてころがる子の笑顔    まつぼっくり
美しい人が得する昔から     さくら
美しい切手を貼って夏が来る     ★桃華

美しい話に心やわらぐ朝     英人



           「七十代の喜怒哀楽・第七十一回」
                        みいちゃん


           体操を学び手足がまろやかに
              イケメンと言ったら照れる若い医師
                 蜜蜂が街の花屋にやって来た
               ご機嫌の脳リズム良く唄う朝
            ★よく廻るわたしの舌をダレか止めて

             (会話で舌が、川柳で頭が回ってまずは良し)


「温泉一人旅」    柳立

ゆでだこは草津の煙りしわも延び
熱つ湯にもじっと我慢の地獄谷
湯田中は古代のいで湯山の神
硫黄の湯これぞ温泉三度入り
★いい湯だな雨の露天に独り言

(一人温泉に浸る、これを現世の極楽という)




                    「 傘 」      美智優

                   軒下の濡れてる肩に傘を出す
                   バス走る傘が一人で乗っている
                      ★お地蔵に骨折れ傘をさして行く 
                        古い日記相々傘が目に止まる
                        雨の巣に翼広げる親ツバメ 

                          (傘にもある幸不幸)




「家族のこと」     まつぼっくり

一週間びっちりの塾夢のあと
まず起きて夫の日課探し物
しょうがない汚れ仕事も彼となら
★旅行へは行けないけれど花を買う
休日に言葉とダンスしています

(家族があって味わういろいろ)


    (随想)   「初夏の風便り」  まつぼっくり

商売をしていますので、一年に何度かチャリンコでDM配りをします。
今の季節は本当に戸外が美しく、薫る風に、自然のひとつひとつに
「ありがとう!」と言いたい気分でいっぱいになります。
澄んだ川のせせらぎが日に輝くさまも、濃くなっていく緑の木々のざわめきも
「ああ、地球ってきれいなんだな!」と思います。

小さな坂を上り下りするとき、そんなに急ではないのですが向こうが
見渡せるときがあります。そんな時いちいち私は、「今、地球を登ってる〜」
「今、地球を降りている〜」と心で叫びながらペダルをこいでいます。
われながらなんて幸せな人間だろうかとときおり感心したりしています。
小さな幸せ発見術です。




             「 晴れ間 」  靖坊

         カーテンを開けて晴れ間を受け入れる
            照り出せば雨欲しくなる僕のエゴ
               突然の夕立干してある布団
            ★梅雨晴れ間心の雨は降り続く
              晴れ間から覗く未来の曇り空

             (つかの間の晴れ間に句ができる)


「なんとなく」       酒仙

  運転で女性ばかりが事故に遭う
  シートベルト守らない人あとたたず
  ★信号のタイミング知る慣れた道
  待合所年寄りばかりで混んでいる
  鳩胸でその児の性格読み取れる
(何となく眺める世間も面白い)


「  客  」     悠澪

客が来る気合を込めて拭き掃除
厭な客そっと掃除機立てかける
娘の彼とビール飲む夫渋い顔
★客帰りほっと一息菓子を食う
客商売顔で笑って腹で泣く

(無いよりはあった方がいい客である)



・・英人の20句抄・・ 「偉大な田舎」
               
           田舎の目で名古屋見る面白さ
     地下鉄は見るもの見えず本を読む
     地下鉄に乗るとすぐに眠くなる
        片側を空けて不思議なエスカレーター
        エスカレーター並ぶ人見て歩くボク
     地下街は何度行っても迷路です
   蟻の巣と地下街の違い考える
 地下街の出口を出ると知らぬ街
                  植え込みにゴミを集めている歩道
                  昼過ぎて人影消える大通り
                アスファルト増えて早めに来る暑さ
           新しいビルほど高くなる戦さ
           背の高さ競って谷間が深くなる
    テレビ塔役目を終えて余命あり
      庶民から少し抜け出す徳川園
         金のシャチ泳ぐ空が狭くなり
            堀川に舟を浮かべて優雅風
                 高速道その日陰にある命
        今もなお偉大な田舎白い街
        へりくだる言葉の裏にある誇り



「捨てられぬ」    ぺ天使

ハンサムで優しい人で捨てられぬ
捨てられぬリボン空箱増えていく
日めくりを二枚破って捨てられぬ
五センチのネギを残して捨てられぬ
★傷ついたペアの塗り箸捨てられぬ

(人生は長し、あわてて捨てる事もなし)


 



      「親バカ日記」       さくら

  はいはいのスピード日ごとに加速する
    気がつけばソファーに一人つかまり立ち
      孫できて前より優しい義理の母
        パパ似だねパパを知らない友が言う
           ★私には確かに聞こえた「ママ」の声
              
 (親バカになれる幸せ)




「 腰 痛 」    桃華

腰痛の辛さに泣いて夏となる
ゆるい坂 痛めた腰もついてくる
ゆっくりと歩けばいいと神の声
痛みある時に孫来る「こんにちは」
★薬飲めば明るい感じする明日

(腰痛という客は早く捨てなさい)



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 バス走る傘が一人で乗っている(美智優)     まつぼっくり
     美智優さん、私も何度この手で傘を失ったことでしょう。つい先日もいつのまにか
    晴れた空に気を取られてバスに傘を持っていかれてしまいました。わが家にはオン
    ボロ傘が数本あるだけですがすべて消えていくのも時間の問題のような気がして
    います。穴が開いていても骨が折れていてもあまり気になりません。失ったときの
    衝動が少ないせいでしょう。かえって新しいおしゃれな傘をさすと緊張している自分
    がいます。

 ・突然の夕立干してある布団(靖坊)      桃華
    
最近は美観のため、ベランダに布団や洗濯物を干すのを禁じているところが多い
    ようだが、わが家の周辺はまだ無頓着。でも私は布団が干してある団地が好きだ。
    生きている!って感じがする。どんな人が住んでいるのかと想像するのも楽しい。
    しかし、雨が降ってもそのままの布団を見ると、気づかないのかな?留守なのか
    な?と心配になる。やはり私は主婦の目で物事を見ているようだ。


 ・信号のタイミング知る慣れた道(酒仙)     英人
    
通い慣れた道はどこが混み、どこが危険か、信号のタイミングも心えていて走り
    やすい。しかし、ここに落とし穴があることも知らなければいけない。慣れない人も
    自分勝手な人も走っているのである。慣れは油断を招く。くれぐれも気をつけて
    ください。


 ・はいはいのスピード日ごとに加速する
  孫できて前より優しい義理の母(さくら)     まつぼっくり
    
さくらさん、子育てを存分に楽しんでいらっしゃいますね!いつも句を読ませて
    いただきなつかしさでいっぱいになります。私も初めての子育てのときはもうただ
    ただ無我夢中でした。本当に幸せなひと時でした。孫や姪、甥ができると不思議な
    ものでそれまでなんとなくギクシャクしていた夫の家族との関係が一気に縮まる
    ような気がします。それほどお互いの血が入った赤ちゃんと云うのは双方にとって
    愛しい存在なのでしょうね。これからたくさんの素晴らしい体験をされることでしょう。
    思いっきり子育てを楽しんでいただけたらとかげながら応援しています!


 ・痛みある時に孫来る「こんにちは」(桃華)      美智優
    
桃華さん、腰痛ですか? お辛いですね。私も30年以上も前から腰痛持ちです
    からお察しいたします。
     孫が来てくれるのは嬉しいものですが、痛みのある時には辛いものがあります
    よね。遊んであげたくても遊んであげられなくて。どうかお大事に、早くよくなります
    ように。


 ・片側を空けて不思議なエスカレーター(英人)     ぺ天使
   
 急いでいる人は空いた側を、階段を上がるように歩いていきますね。関東と名古
    屋では空ける側が右か左か違うようですが、私はよく分からないので前にならえで
    空けています。でも本当はエスカレーターの上を歩いてはいけないそうで、両側に
    並んで上がっていった方が、効率的だと思いますが・・・・。


 ・随想「初夏の風便り」(まつぼっくり)       悠澪
    
自然の美しさに感動して、感謝できるまつぼっくりさんはとても素敵な方だと
    思います。句や感想文から、明るくて前向きな方だと推測しています。ご商売を
    されているのできっと社交性もおありなのでしょうね。私は口下手な人見知りな
    ので見習いたいです。


 ・客商売顔で笑って腹で泣く(悠澪)      まつぼっくり
    
悠澪さん、鑑賞文をありがとうございます。とても嬉しく読ませていただきまし た。
    悠澪さんもお客さん相手のお仕事をなさっているのでしょうか、本当に商売は大変
    ですよね。かなりストレスがたまると思いま す。私の場合は生まれながらの能天気
    なのです、多分。いろいろ落ち込んだってしょ うがない。どうせなるようにしかなら
    ないんだから、その時になって考えればいいかなんてお気楽に構えています。
    でもそんなの表面に出したら総すかんを食らいますのであくまで顔では周囲に
    あわせているつもりです。お互いにがんばりましょう!



    投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。


  1)毎月15日までに自由句を7句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  
2)2008年「課題」
      (5月)書く (6月)美しい (7月)舞う (8月)珍しい
      (9月)夢 (10月)遊ぶ (11月)帰る (12月)みやげ

  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  
4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。

  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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