so066
     (せんりゅうつれづれそう)


              
 第66号(19年6月)

下 野 (しもつけ) の 章

(科 目)バラ科  (花言葉)自由、無駄、ひそやかな恋、
雄しべが花弁より長く伸び枝先に小さな花が沢山集まって房のように咲く。
花の名は栃木県の下野で最初に発見されたため、あるいは花が散房状に密生して咲き、
これが霜の降りたようすに似ていることから出たともいわれる。

数年前より6月に毎年中学校の同窓会を開いている。ほぼ決まった日に
決まった場所で開く。先日も30人近くが集まり、5時間ばかりがあっという間に過ぎた。
歳を経ると同窓会が楽しみになる。歳を経ると川柳も楽しみになる。
                      (★印は英人の推奨句)


 課 題   「 ブランコ 」

黄昏てブランコふたつゆれている       美智優
ぐんとこぐ屋根より高く風になる    まつぼっくり
ブランコが大きく揺れて止まるまで    ぺ天使
ブランコや人生いろいろありました  ★ぺ天使兄
ブランコで青空に手が届きそう   ぺ天使妹
初恋の夢はブランコゆーらゆら   柳立
揺れているだけのブランコ自問自答   靖坊
ブランコに乗り母さんを待ち侘びる  みいちゃん
去る人に別れ話をブランコで    酒仙
ブランコで母の帰りを待つ夕べ    さくら
ブランコを夕陽に向かいこいでいる    ★悠澪
ブランコをふたりで漕いだこともあり   桃華
ブランコが止まり黄昏れ近くなり   英人



「北海道旅行」     悠澪

★行こうかな北海道へ一人旅
ワクワクと旅の計画パソコンで
ひねくれた地名の漢字読みません
娘等が背を押し五十路の大冒険
北海道「広い」の言葉物足りぬ

(九州から北海道への一人旅、大冒険)



  「雨の季節」    さくら

曇り空王子の笑顔で吹き飛ばす
  都会にて静寂楽しむ美術館
   ★テーブルに笑顔集まる誕生日
  紫陽花が雨降る度に七変化
傘の花咲いて始まる梅雨の日々

   (雨の季節は紫陽花の頃)



「紫陽花の頃」      柳立

★紫陽花に思い出重なる君の顔
七色の露の紫陽花雨の寺
移りゆく浮き世のならい小町花
どことなく青く悲しい花の寺
よく見れば花火が咲いた花の芯

(紫陽花の頃は雨の季節)



・・英人の20句抄・・ 「 あるがまま 」

          雨雲の向こうに希望さがす朝
       一瞬の笑顔向けられ霧晴れる
  目線を下げて人生楽にする
 あるがままを受け入れ足は軽快に
     知らぬまに余命を減らす砂時計
        行間を読んでください私小説
            言い訳が多くなったと口閉じる
                     好物を先に食べて後悔し
                    アレそれと固有名詞がない夫婦
                    のんびりと過ごす時間に孫が来る
                    孫四人言うに言えない安堵感
              ふたりして数独を解く夜が更ける
             日替わりランチと決めて無病なり
 雑草はいくつの命があるだろう
 左手が使ってくれよと手をあげる
             疲れた日に見る単純な物語
               結局は落書きだった我が句集
       梅雨明けが近くなって決意迫られる
    幸不幸交互にきてよしとする
                 夕焼けにロマン感じる熟年へ



   「 想 い 」   酒仙

 赤い糸結び合ってもすぐほどけ
 白い糸縁りを戻すとただの人
 ★糸同士結んだつもりが絡み合う
 赤い糸思い直せばただの糸
 体力も気力もあるが暇がない
   (赤い糸、白い糸、友情の糸)
 



「サイコロ」      靖坊

サイコロを振りたくなった分かれ道
サイコロは神じゃないけど神頼み
サイコロを投げても何も始まらぬ
サイコロが転がったまま止まらない
★サイコロのどの目が出ても明日は明日

(サイコロは振るものと知る今日明日)




「車窓から」    ぺ天使

飛び乗ったこれから帰るとメールする
とりあえず小腹を満たす駅弁で
車窓から富士山確かめひと眠り
水色のビルがみえれば降り支度
★会いたくて途中下車した母の日に

(旅の思いでに浸る車窓)


(随想1)     「 ペンペン草の実 」   ぺ天使

中学校のクラブ活動の指導中、宙返りに失敗し墜落、
以後手足の自由を失いながらも努力の末、
口に筆をくわえて花の絵や詩を書いていらっしゃる星野富弘さん。
その沢山の作品の中に私の大好きな詩がある。

神様がたった一度だけ
この腕を動かしてくださるとしたら
母の肩をたたかせてもらおう
風に揺れるペンペン草の実を見ていたら
そんな日が本当に来るような気がした


なんて心の広い優しい方なのでしょう。
自分の辛さはさておいて、お母様への感謝の気持ちがあふれていて
何度読んでもその度にジーンときて、私を泣かせる。
この詩に出会って、千の風になった母に、
何度もありがとうを言った。




 「 思い出 」     まつぼっくり

    ミツバチの羽音が誘う夢の中
  屋根の上ふかふか布団雲のよう
お日様を食べた枕で昼寝する
   おだやかな目をした犬と夏にいる
      ★夏過ぎて子供のわれも遠くなる

    (思い出は作るもの、増やすもの)


「七十代の喜怒哀楽・第六十一回」
                 みいちゃん


命って一つしかない自戒して
喜寿の身も心ときめく世界持つ
鈍感でわたし虐めに気がつかぬ
挨拶に答えぬ人に笑顔向け
★生と死の狭間に神はいるのだろう
(鈍感力を養って生きるもよし)


(随想2)    「 老人施設 」  みいちゃん
 
裏の老人施設のお年寄りが夜中に喚いて救急車が来ました。
認知症の女の人が「ばかやろう、殺せ」と怒鳴る声が
寝ぼけまなこの私を驚愕させました。 なんともやり切れない事です。

 開所して三ヶ月にしか経たないのにもう辞めて行く人が います。
就職率がいいとの安易な考えの人が多いのが現状のようです。
 それにお金さえあれば、老人施設に安易に預けてそれっきり顔を
見せない人もあって、なんだかいろいろ考えさせられます。
*** 狂えたらどんなに楽かと思える日 ***
なんて私は思ってしまいました。




「 情 景 」      美智優

咲く花に癒され午後の茶をすする
★タンポポは旅支度終え風を待つ
町の中けなげに生きるやせ雀
海は凪水平線は弧を描く
飛行機雲来た道徐々に消えていく

(私がいるひとつの情景)



「新一年生」    桃華

宿題を忘れてママにお目玉を
なわとびが跳べて足元軽くなり
★はっきりと負けることには手を出さず
ぼちぼちと登校拒否をしたくなり
温もりがママの背中にパパの手に

(楽しいばかりが学校ではない)



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

 都会にて静寂楽しむ美術館(さくら)        まつぼっくり
   都会に住んでいた独身時代、休日はよく私も美術館へ足を運びました。時間が止まったような
  静けさの中で好きな絵や彫刻と対峙するのは幸せなひと時でした。そして疲れたら椅子に腰掛けて、
  外の美しい緑を心行くまで眺める・・・。誰にも邪魔されず、満たされる時間でした。


 ・糸同士結んだつもりが絡み合う(酒仙)     桃華
   
細い糸、きれいにほどいて結び直しておいたのに、また絡み合い、うまく利用できない
  なんてこと、多々ありますね。人との付き合いも同じ、うまく付き合っている内は順調に
  流れていきますが、ひとつ躓くとさあ大変、修復不可能なんてことも出てきます。糸は辛抱強く
  ほどけば修復可能ですが、人はそう簡単にはいきません。心して生きていきたいものです。

 夏過ぎて子供のわれも遠くなる(まつぼっくり)       英人
   
夏は子供のもの、海に山に、祭りに食べ物に、楽しみはいっぱいです。しかし、その夏が
  過ぎるともう自分も子供に戻れない。ただ思い出に浸る、そんな日々になります。しかし、秋にも
  冬にも子供の楽しみはあります。いつまでも子供の気持ちを忘れないようにしたいものです。


    投稿をお待ちしています




       「川柳連れ連れ草」への投稿案内
             次の要領で川柳及び感想文を募集します。
             投稿をお待ちしています。

  1)毎月15日までに自由句を5句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  2)2007年「課題」
      (1月)思い出 (2月)青い (3月)レモン (4月)幼い
      (5月)つなぐ (6月)ブランコ (7月)ハンカチ (8月)読む
      (9月)泣く (10月)顔 (11月)似合う (12月)ラブレター
  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
    掲載方法は一任してください。
  5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。


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