so061
(せんりゅうつれづれそう)
第61号(19年1月)
姫橘(ひめたちばな)の章
(科 目)ミカン科 (花言葉)思い出
姫橘は金柑の別称。原産地は中国。中国の商船が遠州灘で難破し、修理のために
静岡港に寄港した時に地元の人が砂糖漬け金柑果実をもらい、その種子を播いたのが
栽培の始まりと言われる。初夏から秋にかけて、白い小さな花を2〜3 回咲かせる。
金柑はみかん類の中では最も小さい果実で、皮ごと食べるのが特徴。
さすが1月、題材は新年、正月のオンパレードである。やはり気分新たに始めようと
いう意気込みが感じられる。歳月の流れに区切りはないが、人間には必要のようだ。
川柳連れ連れ草も次の5周年めざして切磋琢磨、それぞれの記録を残そう。
(★印及び太字は英人の推奨句)
課 題 「 思い出 」 初恋の渡せなかったラブレター 美智優 思い出の引き出し覗くと君がいる さくら 思い出で終わってしまう寂しさよ ヒロ・アキニレ 思い出に静かに生きる人がある まつぼっくり 思い出のところどころに深い愛 みいちゃん 思い出は笑顔の妻に見守られ 柳立 思い出は誰にも言わず秘めるもの 酒仙 思い出に浸って私の時止まる ぺ天使 頂いた白菜漬けは母の味 ぺ天使叔母 思い出を置いてきぼりにする齢 ぺ天使兄 思い出を作って老後に備えてる ぺ天使妹 ふるさとは姿を変えて知らぬ町 悠澪 思い出にならない今日を生きている 靖坊 思い出も涙も谷に封じ込め 桃華 日記帳にある思い出に嘘があり 英人 |
「新しき年」 ぺ天使妹
初詣三社を巡り光さす
★柏手で持ち越した風邪吹き飛ばす
音のする賽銭投げて願多し
音の出ぬ柏手何度ももみじの手
願い込め金粉入りの御神酒受け
(参拝して新しい年が始まる、これが日本)
「 松の内 」 ぺ天使
松飾りつけた車と初詣
★氏神の確かな御利益信じましょう
あいさつが上手にできてお年玉
お年玉足し算だけは早くでき
ブランチで七草粥をおかわりし
(そしてお年玉、これも日本)
「 お正月 」 ぺ天使叔母華芳
★故郷があって嬉しいと息子言う
子とともに雑煮で祝う幸あれと
七草に思いを込めて粥を食べ
年重ねまだはね返すピンポン玉
ホームラン去年の憂さよ飛んでゆけ
(ぺ天使三人揃い踏み、新しい年が始まる)
・・英人の5周年記念・・ 「 16年課題に再挑戦 」
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「 年 末 」 美智優
子が巣立ちツリーを飾ることもなし
物々しいいでたちをして大掃除
★ガラス拭き小さな部屋が広くなる
ゴミの山出せば終わりだ大掃除
買出しに行けばメモだけ着いて来ず
(やることをやって、律儀なり)
「 雪 」 ヒロ・アキニレ
初雪に二歳の孫が雪覚え
冷たくてそれでもなぜか夢がある
★降る雪に願いを込めた若き日よ
庭の隅埋もれたビオラが耐えている
雪道に軽の4駆が頼もしい
(雪が楽しいのも若さゆえ)
「 始 ま り 」 靖坊
去る年にお辞儀して始まりを待つ
いつもより厳かな零時の時報
この時が新しい夢の始まり
始める気なくても年は動き出す
★始まればまた終わるのを待つばかり
(厳粛に、冷静に見つめる川柳に目)
(随想1) 「 抱 負 」 靖坊 年々や猿に着せたる猿の面 芭蕉 子供の頃は一年も経てば、背が伸びたり、読めない漢字が読めるようになったり、 走るのが速くなったりと、目に見えて自分の変化が分かったものですが、 齢を重ねるに連れて、そんな変化は徐々に緩慢になっていきまして、 一年経ったくらいでは大して代わり映えしないなあと思う事しきりのこの頃です。 年頭に当たって、それなりに抱負はあるのですが、去年の自分を思い出せば、 一昨年とほとんど同じ自分を演じていたに過ぎない訳でして、 あ〜、これじゃ面を着けて演技している猿回しの猿と同じで、 全然進歩していないんだよねと、冒頭の句を思い出してしまうのでした。 無季語ながら、句意から新年に分類されているこの一句、 年が改まっても何も変わらないという、なんとも意欲を削ぐ味わいでは ありますが、それでも努力する事に意義があると自分に言い聞かせ、 今年こそはもう少しマシな川柳を作っていきたいものよと思っております。 本年もよろしくお付き合いください。 新年の決まり文句さ「今年こそ」 靖坊 |
「 年 始 」 悠澪
起き出して初日を拝み夢描く
★元旦の空気吸い込み夢いだく
前向きに明るく行こう今年こそ
益々の発展皆にあるように
じいちゃんが孫に手ほどきコマ回し
(健康な目で新年を見る、これも川柳)
「謹賀新年」 柳立
★除夜の鐘蕎麦につないで初詣
車にも神さん呼ぶと縄をしめ
数え歳初日拝んで指を折り
寝正月こたつのままで餅も食べ
二日目は謹賀新年返事書く
(いろいろあってこれも新しい年の始まり)
「平凡な一日」 まつぼっくり
こまごまと動く体に感謝する
やらなくちゃいけないことが多すぎる
★とりあえず平穏な今ありがたく
病気せず学校へ行く背に安堵
元気よく帰ってくればそれでよい
(平凡、これに勝る平和ありや)
(随想2) 「 川柳について 」 まつぼっくり 一年前まで、川柳がどんなものなのかよくわかりませんでした。 何かを表現した いと思っても、長い時間をとることが出来ず、 何かお手軽に出来るものがあればな〜 と思っていました。 そんな折川柳と出会い、これなら私にもやれるかと思 い、始めてみました。 そして、今ではすっかりはまってしまったという わけです。 仕事で疲れた後も、川柳は別腹というかコロッと日常の空気と違って、 と ても新鮮なのです。頭をやわらかくする体操としてもベリーグッドです。 これからも できるだけ続けてみたいと思っています。 |
「 正 月 」 酒仙
正月に歳の数ほど食べたい餅
読めないのにおみくじせがむ児が一人
晴れ着着て初詣 祖父の愛
★歳を取る他人の姿もう一度
何をして何にもならず時がくる
(ここにも様々な正月)
「 新 年 」 さくら
★胸の奥静かにつぼみ開く春
初詣去年と同じ願い事
故郷の土産は車に積もる雪
体中おもりを付けた休み明け
年越しの蕎麦より嬉しい君の側
(つぼみが開いて、さくら咲くのを待とう)
「七十代の喜怒哀楽・56回」
みいちゃん
★手紙が五通 幸せ噛みしめる
継続の力川柳日に百句
驕りいる若さ土足で心踏む
返事は来ずともせっせと手紙書く
綺麗好きでもね人には押し付けない
(喜怒哀楽あって今年が始まりぬ)
「もうすぐ一年生」 桃華
踊りたくなるよ机がやってきた
机来てボクはもうすぐ一年生
★一年生とても気分のいい響き
一年生ボクは大きくなったんだ
ランドセル歩いているとパパはいい
(どんな一年生になるか楽しみだ)
(鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ ・音の出ぬ柏手何度ももみじの手(ぺ天使妹) まつぼっくり 幼子は何を熱心に祈っているのでしょう。「おばあちゃんの病気が早く治ります よう に」でしょうか。それとも「あのおもちゃ、お父さんが絶対買ってくれますように」 でしょうか。目をつぶり、小さな手を合わせて一心に神様にお祈りしている姿が いじ らしく、目に浮かぶようです。 ・故郷の土産は車に積もる雪(さくら) 桃華 楽しい里帰りをされたようですね。故郷があるというのはいいものです。 ホッとするひとときがあり、都会の喧噪を忘れさせてくれます。幼なじみにも 会えましたか。そのみやげはいっぱい詰まった思い出と、車に積もった雪。 絵を見ているようで温かいものが流れます。 ・ガラス拭き小さな部屋が広くなる(美智優) 英人 くもったガラスを拭けば外から差す光が増し、、部屋がグッと明るくなる。 それを部屋が広くなったと理解し、表現する作者。これが川柳の面白さ、 楽しさであろう。 第58号に、 窓磨く空がどんどん近くなる(まつぼっくり) という句があった。この理解の違いを考えるのも面白い。 投稿をお待ちしています |
「川柳連れ連れ草」への投稿案内 次の要領で川柳及び感想文を募集します。 投稿をお待ちしています。 1)毎月15日までに自由句を5句程度、課題句を2句程度 メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて ください。課題の題は2)の通りです。 2)2007年「課題」 (1月)思い出 (2月)青い (3月)レモン (4月)幼い (5月)つなぐ (6月)ブランコ (7月)ハンカチ (8月)読む (9月)泣く (10月)顔 (11月)似合う (12月)ラブレター 3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文 (150字以内)も募集いたします。 4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行 います。感想文もその句のページに随時掲載します。 掲載方法は一任してください。 5)始めて投稿される方は「川柳観」をご一読下さい。 川柳投稿 |