so052
     (せんりゅうつれづれそう)


              
 第52号(18年4月)

桜 の 章

(科 目)バラ科  (花言葉)精神美、純潔、心の美
木之花咲耶姫(このはなさくやひめ)が富士の頂から、花の種をまいて咲かせたのが桜とされる。
そして、桜の語源は、この「さくや」が転化したのではないかといわれている。

桜が咲くと、こんなにも桜の木が多かったのかといつもびっくりする。
やはり日本は桜だと納得する。そして、今年の桜は長いこと楽しめた。
どこへ行っても桜は満開、ここも満開、川柳も季節を外して語れない。
          (★印及び太字は英人の推奨句)


 課 題   「 楽しい 」

ひだまりで過ごすひと時また楽し   酒仙
空想の中で旅するフランスへ   みいちゃん
友きたる時を忘れて談笑し    悠澪
西東仲間と過ごす旅の宿    ヒロ・アキニレ
雨天でも楽しく過ごす勢揃い    ぺ天使
水ぬるみ花一片の楽しさよ     ぺ天使叔母
楽しさが極まる後の侘びしさよ    ぺ天使兄
山芽吹き山桜咲き春が来る    ぺ天使妹
楽しくない日々は忘れてしまったよ   靖坊
子雀のさえずり楽し若葉揺れ     柳立
楽しそう言われて愚痴も吐けぬ友    さくら
鼻歌でてるてる坊主作る孫   美智優
散り際も楽しそうに舞うサクラ  桃華
楽しさがいまだ見えない退職後   英人



「 頭 痛 」   靖坊..........
 
花散らす嵐のような頭痛来る....
頭痛薬飲めば今度は胃が痛い......
★姿見に映る自分も頭痛持ち....
何も手につかぬが川柳だけは別....
頭痛の種育てばどんな花が咲く?....
(頭痛も生きている証でしょう?)



「 早 春 」    ぺ天使叔母・華芳

孫元気 祖父母は共にダウンする
★風花と遊んで老いを自覚する
菜飯炊き春の香り食べている
草萌ゆる春の光で日向ぼこ
お疲れ様飾りたる雛いとおしく
(老いてなおその若さの自覚でしょう?)



  「 春 」       さくら

  春霞自分の行方見失う
★幸せのそのまた先を探す春
つくしんぼ知らぬ顔してすくすくと
  県境一歩踏み出し旅気分
羽目外す全て桜のせいにして

  (春の欲深さに用心用心)



・・英人の20句抄・・ 「 退職1ヶ月 」

         守るもの守って過ぎた三十八年
         嬉しさが少し足りない定年で
 最後まで仕事のことを気にかける
 三十八年過ぎてこのごろ未練あり
              母入院ボク退職で妻無口
          祝福の電話戸惑う我があり
           律儀にも昔の傷痕うずき出す
             悔いがあり昔の話をしてしまう
                        忙しくして感傷を避けている
                        無職ですこの時ばかりと旅に出る
                   日本の最南端で異国気分
                 妻と見る八重山の海色深く
               海ながめ互いの月日かみしめる
             何見ても過去に行きつく島巡り
       礼状を出してすべてが終わりです
       けじめですライバルに出すお礼状
                    片づけを先延ばしにする未練
                     落ちそうで落ちないホコリ過失あり
              職業欄無職ですねと自問する
            二ヶ月の無職期間は短いな



「 歌 」        美智優

懐メロが忘れてた過去呼び起こす          
カラオケが沈む心を吹き飛ばす          
★人生の節目節目に歌がある            
唇に苦境乗り切る応援歌                  
子を寝かすごとく老母に子守唄      
(歌ありて川柳ありて明日ありて)
 



「七十代の喜怒哀楽・第四十七回」
                みいちゃん


CM  の通りにいけば苦労はない
 ★あの時の苦しみ今の糧になる
おしゃべりは心の曇り晴らします
赤ワイン飲むと血液滾るよう
長生き税空気の税も今に取る

(あの時ありて今の楽ありて)


             

「 暖 」     酒仙

   ふいの客何とかなったもてなしが
  好きな人誰にもまして暖かい
   ★触れ合って仲間が増えてぬくもりに
   手に触れてぬくもり感じ好きになる
  酔い覚めの夜寒に欲しい春の風

(時は春、季候も人も暖暖に)



      「 仕 事 」       悠澪

    終ったと思う間もなく来る仕事
       厭々する仕事に追われ地獄の日
  仕事漬けたまの休みにすることなし  
         ★寺の鐘仕事仕事で今日も暮れ
     仕事の愚痴こぼしつつ娘は爪を切る

         (思うようにならぬのが仕事なり)


  


( 随 想 ) 「さくら花」

            ヒロ・アキニレ

   

春爛漫のさくらを川面に写し、橋よりながめる川上も川下も、
しっとりと雨を含んだ花にうもれている。どこまでも続く花のトンネル。

桜花にうずもれた、この密やかな時、心満たしてゆったりと、
春が通り過ぎて行くのを感じる。いとおしい時が、私と共に。

 

数年前ある人に言われた。

「蝉は緑葉の桜木は知っているけど、花は知らない」と。
蝉は葉桜になった桜木に生まれ、一夏を鳴き通して、
緑葉のうちに死んで行くから、決して花を見る事はない。
それでも彼等は精一杯生きて死んで行くのだと。

 私は蝉ではない、人として生まれたのである。
だから、私は桜の満開の時も、緑葉も、緑葉から紅葉して行くのも、
枯葉の落ちたはだか木もみんな知っている。
知っている事の幸せと、知らない事の幸せ、どちらが幸せなのであろうか。

 蝉が緑葉を一番美しいものと思い、それで満たされているのなら、
それはそれで幸せだと思う。彼等には、花を見る必要が無いからであろう。

でも人は花を見る必要性があるのだと思う。
だから神様は人に全てを見せて下さっている。

 人は憂う心を持っているから。人は春爛漫の花にも、
暑い夏を憩う緑木にも、色鮮やかな紅葉にも、
北風の中に立つはだか木にも、それなりの美しさを
感じ取る心を持たされているから。
人は生きてゆくために、全てを見る必要性があるのであろう。


    



「 惜 春 」       柳立

うす紅のしかと張り付くボンネット
夜桜に雪が散る散る花の舞
惜春の力も強く若葉萌え
入学の声も新らし花も舞い
★雨の川行方も知らず花筏

(春は欲深、春は暖、春は惜しむもの)
  



  「桜づくし」     ぺ天使

つぼみかと思えば今日は花が笑む
約束の日はあいにくも花冷えで
夜桜へビール付きよと夫誘う
咲き誇る桜の園は花霞
★満開を見届けて吹く花嵐

  (春は桜、日本は桜、ここも桜)


「 散る桜 」    ヒロ・アキニレ

  寒い冬耐えて咲いたにもう散るの
  ★咲く花に寄せた想いを誰が知る
 散る花に未練はないかと聞いてみる
 散りながら恨みに思う春嵐
  散る花は青葉が芽吹く先ぶれか

(咲いたら散る、これが自然、人もまた・・・)



「年長組だよ」    桃華

桜咲く今日からボクは年長さん
ママの手を振り切り園へひと走り
いたわってあげよう泣く子も多いから
ひとまわり大きくなったような日だ
★青空が大きく揺れるブランコする
(独り立ちできるかな?)



    (鑑賞文・感想文) 気ままに一言・・・ 

  満開を見届けて吹く花嵐(ぺ天使)      英人
      どうせ吹くなら吹き甲斐のあるときに吹かねば・・・・嵐は時期を待っている。
     満開になると、ここぞとばかり吹き荒れ、花の命は短く終わる。憎らしい嵐ですが、
     これは人生にもたとえられる気がします。絶頂の時期は短いのです。横やりも
     あるのです。佳句からは人生が、人間が読み取れる、それが川柳です。

  散る花に未練はないかと聞いてみる(ヒロ・アキニレ)     桃華
      
十分に咲き誇らず散ってしまった花、この世のことをしっかり見つめて散った花、
     いろいろな思いで花は散るのだろう。花も人間も同じ、散るときに十分生きた、
     ありがとう、と言って散りたいと私は願う。
 


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  1)毎月15日までに自由句を5句程度、課題句を2句程度
    メール(下記)で送付してください。自由句には題をつけて
    ください。課題の題は2)の通りです。
  2)2006年「課題」
      (1月)雪 (2月)降る (3月)夜 (4月)楽しい
      (5月)燃える (6月)話す (7月)蛍 (8月)読む
      (9月)重ねる (10月)いつしか (11月)朝 (12月)別れる
  3)「川柳連れ連れ草」を読んでいただいた人から感想文
    (150字以内)も募集いたします。
  4)発表は「川柳連れ連れ草」として本ホームページ上で行
    います。感想文もその句のページに随時掲載します。
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